二十四帖 胡蝶
光源氏.太政大臣36 紫の上28 蛍兵部卿宮 花散里22
秋好中宮27 夕霧中将15 明石の君:27
玉鬘 24 髭黒右大将 明石の姫君8
*胡蝶の夢
『荘子』「斉物論」
光源氏 玉鬘 柏木 内大臣
蛍兵部卿宮 夕顔 髭黒右大将
懸想文への返信についての心得を聴いているとき、右近は、珍しく近くにいる源氏と玉鬘を見比べながら思っていた。
「源氏の君は、姫君の父親というにはまだ十分お若くて溌溂としていらっしゃる。
ご夫婦として見たほうが、よほどお似合いだわ」
源氏は先ほどから気になっていたが、玉鬘がなぜか恥ずかしがって答えようとしないことを右近にたずねた。
「ところで、この『結び文』の贈り主はいったい誰なのだ」
「内大臣のご嫡男の柏木さまです。
女童のみるこに預けられたそうでございます」
「そうか。
今はまだ官位は低いが、内大臣の子息に恥をかかせてはならない。
宮廷での声望も高く、きわめて冷静な若者だ。
いずれ、想う相手が他ならぬ異母姉ということが耳に入るであろう。
こちらから先に知らせるようなことはしない。
それにしても、筆跡も文面もみごとな『結び文』だ」
源氏は柏木の人物評をしたついでのように、ふたりの求婚者の品定めを始めた。
まず、異母弟の蛍兵部卿宮。
「宮は独身だが、たいそう浮気者のようだ。
通っている女が多く、あろうことか複数の*召人と関係があるとも聞いている。
そうした宮の素行を憎むことなく大目に見過ごせる性分ならいいが、嫉妬したり怒ったりするようであれば、宮に嫌がられて結婚しても夫婦生活は遠からず破綻しよう。
妻になる前に、その辺の見極めをしなければならない」
次に、髭黒右大将。
「右大将は長年連れ添った北の方が齢を重ねて容貌がひどく衰えたことに嫌気がさして姫に求婚しているということだが、そんな自分勝手な言い草を回りの者たちは口にはしないが迷惑がっているようだ。
ふたりとも姫の結婚相手としてふさわしいか、決めかねている」
玉鬘に視線を移して、
「親と結婚について話し合うのはなかなか難しいものですが、姫はもう十分成長しています。
恥ずかしいと思わず、何ごともご自分で判断してください。
時には、私を亡くなった母君(夕顔)と思って相談してください」
*胡蝶の夢
・中国の思想家荘子が「胡蝶=蝶」になった夢をみて目覚めたとき、
自分が夢のなかで蝶に変身したのか、蝶がいま夢のなかで自分に
なっているのかと疑ったと伝える『荘子』「斉物論」の故事による。
夢と現実との境が判然としない例え
人生の儚いことの例え
*召人 めしうど
ここでは、そば近くで仕えている女性。
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カルロス・ゴーンのような守銭奴にこそ
飽くなき金銭欲から解放されるため
老子や荘子が説く『無為自然』の
道を今からでも学んでほしい。
〈コストカッターで名を上げたゴーンが、
最後の仕事で最大最悪のコストをカットした〉
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I love how you love me
忘れたいのに