二十四帖 胡蝶
光源氏.太政大臣36 紫の上28 蛍兵部卿宮 花散里22
秋好中宮27 夕霧中将15 明石の君:27
玉鬘 24 髭黒右大将 明石の姫君8
髭黒右大将
ひげくろうだいしょう
結び文
「これもまた、恋というものの不可思議なところでしょう」
源氏が何通かの懸想文を選り分けしている中に、小さく結んである『結び文』を見つけた。
玉鬘にたずねる。
「なぜ、この『結び文』は結んだままなのですか」
玉鬘は困った表情のまま、うつむいた
開いてみると、
○ 思ふとも 君は知らしな わきかへり
岩もる水に 色し見えねば
こんなに思っていても、あなたはご存知ないでしょう。
岩間にあふれる水には色がありませんからね。
筆跡はみごと、和歌も当世風でとても気が利いている。
源氏は女房の右近を呼んで、玉鬘に届いた懸想文に返事を書くべきか書く必要はないかなどを、自分の経験を踏まえて具体的に伝授していた。
源氏の話を聞いているのかいないのか、横を向いたまま恥かしそうにしている玉鬘の横顔がとても可憐で美しい。
筑紫から帰京したてのころの玉鬘は、美形ではあったが、まだ容姿や物腰が素朴で垢抜けない雰囲気が漂っていた。
そんな玉鬘も、六条院での生活に慣れ親しむにつれて女君たちの影響もあり、薄紙をはぐように日々華やかに洗練されていった。
「ほかの男の妻とするのは、まことに惜しい」
源氏は右近に語り聞かせながら、またも怪しからぬことを考えていた。
右近は、源氏と玉鬘を交互に眺めながら思っている。
「源氏の君は姫君の親というにはまだ若く溌溂としていらっしゃる。
ご夫婦としてみたほうが、よほどお似合いだわ」
『アイドルサイボーグ』とまで呼ばれていた渡辺麻友が
昨年末のAKB48卒業とともにアイドル風歌唱を脱皮しつつある。
〈女子三日会わざれば刮目して見よ〉
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