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初音⑤夏の御殿へ

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二十三帖 初音

 

光源氏.太政大臣36  紫の上28  花散里22

 明石の君:27  夕霧中将15   玉鬘 24  明石の姫君:8

 

寝殿造平面図

これが【夏の御殿】と仮定すると、玉鬘は『西(の)対』に住んでいる。

花散里夕霧がどこで暮らしているかは定かでない。

花散里は主人用の『寝殿』を使っているのか、

北の方(正妻)用の『北対』なのか。

源氏が訪れるときのために『寝殿』を空けているのかどうかだ。

夕霧は『東の対』と思われる。

 

 

 

 

 

源氏花散里は長い歳月を共にしてきただけに、いまは互いの心になんの隔てもなく、しみじみとした雰囲気のただよう夫婦仲である。

 

共寝することもなくなって久しく、一緒にいることを楽しんでいる。

 

一方、互いに異性であることを超越した境地に達すると緊張感を失い、身なりを整えようという意識が薄れてゆくのも事実だ。

 

「年の暮れに贈った装束を花散里はうまく着こなしていない。

髪の色つやも盛りが過ぎて薄くなっている。

*かもじなどを付けて、手を入れたらいいのに。

 

他の男が見たらさぞかし興ざめすることだろう。

浮気性の女たちのように、もしから離れていたら今頃どうなっていることやら」

 

 

 

 

源氏は内心そんな勝手なことを思いながらも、自分の寛容さと花散里の育ちの良さからくる穏やかな性格に満足していた。

 

旧年中に印象に残ったことや古い思い出話などをいっとき花散里と語り合ったあと、玉鬘のいる『西の対』へ向かった。

 

 

 

 

玉鬘は引っ越してきたばかりにしては部屋などを趣味よく整えていた。

 

部屋の飾りつけには余分なものがなく、小さっぱりとして気分がいい。

 

また花散里の計らいで、かわいらしい女童ときれいな女房が大勢そろっている。

 

玉鬘自身は、どうか。


年の暮れに贈った山吹襲の装束に身を包んでいる姿は、一段と華やかで輝くばかり美しい。

 

 

 

*かもじ髢

 髪を結ったり垂らしたりする場合に地毛の足りない部分を補う ため

 の添え髪

*渡り廊下

 建物と建物をつなぐ廊下。渡廊

*薫物 たきもの

 香をたくこと、またその香り

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

IZONE』をご存知ですか。

 

 

 


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