二十三帖 初音
光源氏.太政大臣 36 紫の上28 花散里22
明石の君:27 夕霧中将15 玉鬘 24 明石の姫君:8
帝の私的生活空間である『清涼殿』に近い建物ほど位が高い。
故・大納言の娘である光源氏の母・桐壺更衣はもっとも
遠い東北隅の『桐壺/淑景舎』をあてがわれていた。
桐壺帝が身分の低い桐壺更衣を溺愛するので、第一夫人の弘徽殿
女御をはじめ他の*女御や更衣が嫉妬、桐壺更衣をいじめ抜いた。
源氏が4歳のとき、桐壺更衣は精神と体調を崩して亡くなる。
桐壺更衣が苦しんでいるとき、一貫して心の支えになって
くれたのが麗景殿女御であり、その妹が花散里。
光源氏にとって、花散里は亡き母の恩人の妹なのだ。
新春という季節柄、まぶしい太陽の季節に花開く草花や樹木にはもちろん精彩がなく、広い庭は色彩に乏しく地味なたたずまいである。
邸内に入ると、気取らない花散里らしく、部屋などを過剰に飾り立てるようなことはせず品よく静かに暮らしている。
作者は、源氏と花散里と馴れ初めを明確には記していないが、ふたりの付き合いは長い。
遠い昔、母そして祖母を亡くして天涯孤独の身となった4歳の源氏が父・桐壺帝によって異例中の異例だが、宮中に引き取られ母にあてがわれていた【桐壺】に住んでいた頃にさかのぼる。
そしてこれも異例のことだが、桐壺帝は源氏が成人して葵の上と結婚するまで、女御や更衣の部屋を訪ねるとき息子をともなった。
麗景殿女御の部屋にも入ってゆくが、そこに花散里がいた。
といって、源氏と花散里との間に「何かあった」という記述はない。
何年もたってから、「実は~だった」と知らされることになる。
こういう「ほのめかし」は、『源氏物語』ではたびたび使われる。
紫式部は、読み手に「その後」を想像させようとしている。
たとえば、映画やドラマなど『源氏物語』を映像化した作品には、男女の具体的な性愛場面が繰り返し登場するが、そうした描写は原作にはなく、作者は一歩手前で「ほのめかす」。
この「ほのめかし」の部分を、観客動員数や視聴率を意識した製作者たちが想像力を発揮して埋める。
これが、一部に「『源氏』はエロ文学」という誤解を与えている。
源氏と花散里は長い歳月を共にしてきただけに、いまは心になんの隔てもなく、しみじみとした雰囲気のただよう夫婦仲である。
今は共寝することもなく、一緒にいることを楽しんでいる。
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*女御や更衣
大臣以上の家の娘は女御として、大納言の家の娘は更衣として
入内する。
更衣は、中宮=皇后 (帝の正夫人) にはなれなかった。
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ノーベル賞の京大vsウソつき官僚の東大
特に、昨今のイメージです。
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