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薄雲⑫梅壺、里下り

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第十九帖    薄雲

光源氏内大臣時代  31歳冬~32歳秋

 

 

光源氏31歳 紫の上23 朱雀院34 女院/藤壺尼宮36 

冷泉帝13 秋好/梅壺女御22 権中納言/頭中将36

 

◆         ◇         ◆         ◇         ◆

 

源氏がかねて期待していたとおり、斎宮の女御/梅壺女御は若い冷泉帝の守り役を果たしてくれているし、一番のお気に入りでもある。

 

母の故六条御息所の血を引いているだけあって、梅壺女御はすこぶる聡明ですべてに嗜みが深く、人柄もまた申し分ない。

 

源氏は、養女として女御をとても大切に思っている。

 

 

 

 

秋が深まったころ、女御は二条院に里下がりした。

 

その翌日、源氏が几帳を隔てて女御に声をかける。


「前庭の秋草が、すっかり咲きそろったようです。

今年は、藤壺尼宮がお隠れになったり不気味な天変地異にひどく驚かされたりと縁起の悪いことか続きました。

しかし、秋草だけは例年通り情趣深く咲いております」

 

源氏は日常身辺の話とともに、亡き六条御息所との懐かしい思い出をしみじみと語って聞かせた


女御は母・御息所と過ごした日々を思い起こしているのだろうか、几帳の向こうでしのび泣いている気配が伝わってくる。

 

女御の顔や姿をまだ一度もまともに見たことのない源氏は、そのことが残念でならず妙に胸がときめいた。

 

 

 

 

わたしは若いころから何不自由なく暮らしてきましたが、色恋に関しては絶えず苦しんでいました。

生来、わたしは世間的には許されない恋に夢中になることが多くて、相手の方を苦しめたことが度々ありました。

 

お互いに最後まで心のわだかまりが解けず、胸が晴れないままに終わったつらい恋も二回ほどあります。

その一つは、母君の六条御息所との恋でした」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

NMB48の太田夢莉(17歳)は一万年に一人の美少女だそうです。 

 

 

アイドルに限らず、十代や二十代前半の芸能人が政治家なみに積極的に領地拡大/ファン獲得に励んだことがかつてあっただろうか。

選抜総選挙』は彼女たち

人生にどんな影響を


薄雲⑬多情

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第十九帖  薄雲

 

光源氏内大臣時代  31歳冬~32歳秋

 

夕顔1

映画 『源氏物語  千年の謎』

夕顔(芦名 星)に襲いかかる六条御息所(田中麗奈)の生霊。

死者の霊が【死霊】、

生者の霊魂が肉体を離れて飛び回る霊が【生霊】。

 

六条御息所1

六条御息所

【元東宮妃】で、すべてに恵まれた才色兼備の貴婦人。

主要な女君たちの中で最年長。源氏より7歳年上。

 激しい嫉妬に駆られて『生霊』と化し、

二人の女 (源氏の正妻葵の上&愛人の夕顔) を取り殺した。

東京国立博物館所蔵

 

梅壺女御は、六条御息所の愛娘。

臨終のとき、御息所は天涯孤独となる源氏

に託すが、決して恋愛の対象とみなさないよう釘を刺した。

 

 

〇●〇〇●〇 

しばらくは【囲碁】よりも藤井聡太四段という

新星が現れた【将棋】がもてはやされるでしょうね。

 

 

「お互い最後まで心のわだかまりが解けず、胸が晴れないまま終わったつらい恋も二度ほどあります。

その一つは、母君の六条御息所との恋でした。

 

御息所わたしの不実をお恨みになられたまま亡くなられたことは、生涯の痛恨事です。

 

娘であるあなたをこうしてお世話させていただいていることが、せめてもの罪滅ぼしと思っております。

それでも、やはり気が晴れることはありません」


もう一つの「恋」については口を閉ざして、話題を変えた。

 

母親の生前の恋愛を母親の愛人だったが頼まれもしないのに語ることはやや違和感があるが、源氏はそれ以上に理解しがたいことを話し始める

 

 

 

 

「むかし、流謫地 (須磨と明石) で侘しい暮らしをしていましたが、いつの日か都に戻ることがあれば、『あれもしたい、これもしたい』と色々なことを想像しておりました。

 

朱雀院のお許しを得て、帰京することができました。

 

そして朝廷の政務を執るようになって以来、それらの事はたいがい実現しましたが、以前、思っていたほど大した喜びではありません。

 

そういうことよりもーー、

 

わたしは、自分の『想い』を抑えることができない性分のようです。

 

あなたのお世話をしている時、わたしあなたへの『想い』を懸命に抑えていることに気付いておられましたか。

 

せめて、『気の毒にー』とだけでも一言おっしゃっていただけなければ、いかにも張り合いがございません」

 

 

 

 

養父の源氏からいきなり艶めいたことを聞かされた梅壺女御は、几帳の向こうで困惑しきっているようだ。

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本における沖縄県の立場を思うと、状況こそ違え

スペインにおけるカタルーニャ州の『独立宣言』は他国事ではない。

 

 

 
 
 

だて男①国際列車 (ジェノバ~バルセロナ)

カタルーニャは「カタロニア」と表記

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

AKB48の黄金期から常に主要メンバーだった渡辺麻友

【卒業】がなかなか盛り上がらないのはナゼ?

 

薄雲⑭花鳥風月

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第十九帖 薄雲

 

光源氏内大臣時代  31歳冬~32歳秋

 

 

花鳥風月の「細密画」 伊藤若冲

 

 

○●○  ○●〇

 

 

養父の源氏からいきなり艶めいたことを聞かされた梅壺女御は、几帳の向こうで困惑しきっているようだ。

 

源氏は亡き母・六条御息所の愛人だった男である。

 

さっき、母親との恋愛を「つらかった」と話したばかりではないか。

 

どう答えればいいのか、言葉が見つからない。

 

 しばし沈黙が流れると、

 

「なにも仰ってくださらないのですね。情けないことです」

 

源氏はそういうと、意外な方面に話題を転じた。

 

 

 

 

「来世における心の安寧のため、朝廷の仕事が一区切りついたら、山にこもって仏道に精進しようと考えております。

 

今になって悔やんでももはや仕方のないことですが、わたしはこの世を生きてきた中で、美しい記憶として残る「思い出」を何ひとつ持ち合わせておりません。

 

ただただ、自分の感情の赴くままに日々を暮らしてきました。

 

 

わたしには成長を楽しみにしている幼い姫がおりますが、わたしが死んだ後、けっしてお見捨てにならないようお願いいたします」

 

梅壺女御は、几帳の向こうで笑みをたたえ頷いていた。

 

 

 

 

 

「この年齢になると、もはや世の中のことに望みなどありません。

これからは花鳥風月を友として、四季折々の季節の移ろいを何よりもの楽しみとして生きてゆこうと思っております」

 

四季折々の道①歩く楽しみ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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薄雲⑮春秋の好み

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第十九帖  薄雲

 

光源氏内大臣時代  31歳冬~32歳秋

 

仁和寺の桜

仁和寺にある法師、年寄るまで石清水を拝まざりければ~

すこしのことにも先達はあらまほしき事なり 『徒然草』吉田兼好

 

 

下鴨神社の紅葉

 

『源氏物語』 第九帖 「葵」 第一章

賀茂祭/葵祭の御禊の日、行列に参加する光源氏

晴れ姿を一目見ようと、葵の上が乗っていた牛車と

六条御息所の牛車が場所取りをめぐり【車争い】が起きた。

 

 

○ ● ○  ○ ● 〇

 

 

「この年齢になると、もはや世の中のことに望みなどありません。

これからは花鳥風月を友として、四季折々の季節の移ろいを何よりもの楽しみとして生きてゆこうと思っております。

 

春にあでやかに咲く桜か、秋にしみじみと照り映える紅葉か。

 

どちらがより素晴らしいか、昔からたびたび比べられてきましたが、今なお決着はついておりません。

 

春秋の花々の色彩や鳥のさえずり、虫の音の美しさなどの優劣をにわかに判別することができません。

 

唐土では春の花の華麗さに勝るものはないとしている一方、わが国の和歌では秋の紅葉のしみじみとした情緒をとくに優れたものとして愛でております。

 

あなたは、春と秋のどちらを好まれますか」

 

 

 


梅壺女御は答えるのを躊躇したが、黙っているわけにもいかず、

 

源氏の君さえお決めになれないことを、どうしてわたくしなどに春と秋の優劣を判別できましょうか。

 

どちらが素晴らしいということではありませんが、

古歌に、秋の夕べはあやしかりけり」と詠まれておりますし、

母上の亡くなられたのも「秋の夕べ」。

それゆえ、【秋】ということに--」

 

飾り気のない言い方がとても可憐なので、源氏は恋心を抑えることができず、

 

○ 君もさは  あはれを交はせ  人知れず


      わが身にしむる  秋の夕風

 

あなたも秋の夕にしみじみとした趣を覚えるのなら、思いを同じくするわたしとも心を通わせてください。

秋の夕風が人知れずわたしの身にしみているのですから。

 

 

 

 

源氏のたびかさなる求愛に嫌気がさして、梅壺女御は几帳の奥の方へ入っていった。

 

「本当にわたしのことがお嫌いなのですね。

情けを知る人は、そのような振る舞いはしないものですよ

 

 

 

 

 

 

源氏物語の女君たち①恋愛事情

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

薄雲⑯

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第十九帖  薄雲

 

光源氏内大臣時代  31歳冬~32歳秋

 

格子

廂の周囲の柱間に設ける建具で、

多くはひさしと簀子すのこの間にはめられる。

格子は場所によって一 枚格子と二枚格子があり、

表裏ともに黒塗で その間に薄い板が挟んであるのが正式。

風俗博物館 京都市

 

○ ● ○  ○ ● 〇

 

 

「本当にわたしのことがお嫌いなのですね。

情けを知る人は、そのような振る舞いはしないものですよ

 

源氏はそう言いのこして、部屋を出て行った。

 

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紫の上のいる【西の対】に戻ったが、物思いに沈んでいる源氏はすぐには部屋に入らず、縁側で横になって薄暗い庭を眺めていた。

 

わたしには相変わらず無理な『禁断の恋』に熱中しがちだ」

 

過去に経てきた恋愛を振り返っている。

 

:(例) 源氏が初めて恋したのは父・桐壺帝の妃(藤壺の宮)で、

      いま夢中になっている梅壺女御は息子(冷泉帝)の妃

 

女御への想いに比べると、亡き藤壺宮との『秘め事』ははるかに危険で罪深いことであった。

もしかしたら、若気の至りということで神仏は許してくださったのかも知れない」。

 

 

 

紫の上に、


「女御が、秋に心を寄せていらっしゃるのも感心されますし、あなたが、春の曙に心を寄せていらっしゃるのももっともです。

 

季節折々に咲く木や草の花を鑑賞しがてら、あなたのお気に入るような催し事などをしてみたいものだと、公私ともに忙しい身には相応しくないが、何とかして望みを遂げたいものですと、ただ、あなたにとって寂しくないだろうかと思うのが、気の毒なのです」
 などと親密にお話申し上げになる。

 

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「山里の人も、どうしているだろうか」などと、絶えず案じていらっしゃるが、窮屈さばかりが増していくお身の上で、お出かけになること、まことにむずかしい。

 

吉備路残照①吉備路へ

このブログを始めたキッカケになった拙文です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

薄雲⑥袴着の祝

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第十九帖 『薄雲』

 

光源氏内大臣時代  31歳冬~32歳秋

 

二条院

明石の姫君の【袴着はかまぎ】が執り行われた。

左:紫の上  右:光源氏

京都市【風俗博物館】  『明石の姫君の袴着』展示

 

 

◆         ◇         ◆         ◇         ◆

 

 

幼い姫君の寂しげな表情を見るたびに、紫の上に仕えている

女房たちは噂しあい残念におもった。

 

「どうして、こちらにはお子様がお生まれにならないのでしょう。

こちらにお生まれになれば、何の問題もございませんのに」

 


 

 

二条院で暮らすようになった姫君は、しばらくは母親のいない

寂しさに半べそをかいたり、明石以来の女房たちの姿が

見えないと探しまわっては泣いたりしていた。

 

しかし、生まれつき快活で素直な性質。

 

姫君紫の上になついて慕うようになるまで、

さほど時間はかからなかった。

 

一方、子供好きの紫の上は、姫君を養女に

迎えたことを心から喜んでいた。

 

「本当にかわいいができたわ」

 

一日も何度も、あやすように話しかけたり

抱き上げたりしていた。

 

姫君紫の上に親しむにつれて、姫君つきの乳母は、以前ほど

遠慮するもことなく紫の上の部屋で過ごすようになった。

 

紫の上は、身分が高く乳のよく出る乳母をもう一人加える。

 

 

 

 

【袴着の祝い】はことさら盛大に準備することはなかったが、

源氏紫の上の愛情ゆたかに滞りなく執り行われた。

 

飾り付けは、3歳の女の子にふさわしい雛遊びのように愛らしい。

 

特に、姫君が襷を掛けている胸元が実にかわいらしい

と居合わせた人々が感心してささやきあった。

 

 

袴着はかまぎ】 皇族や貴族の子供が、初めて袴を着用する儀式。

男女ともに、古くは3歳、後には5歳か7歳のときに行った。

 

 

 

 

【大堰の館】では、明石の君一人娘を手放したことを

今さらながらに悔やみ、身分の低いわが身の不幸を嘆いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

縁あって (たまたま瀬戸内地方に住んでいるだけです)

STU48を応援していたのが、いつの間にか欅坂46も。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

安室奈美恵、2018年9月16日に芸能界を引退予定。

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薄雲⑯禁断の恋

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第十九帖 薄雲

 

光源氏内大臣時代   31歳冬~32歳秋

 

 

光源氏31歳 紫の上23 冷泉帝13 女院/藤壺尼宮36 

冷泉帝13 秋好/梅壺女御22

 

○ ● ○ ○ ● 〇

 

 

「本当にわたしのことがお嫌いなのですね。

情けを知る人は、そのような振る舞いはしないものですよ

 

源氏はそう言いのこして、退出した。

 

 

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紫の上のいる【西の対】に戻ったが、物思いに沈んでいる源氏はすぐには部屋に入らず、縁側で横になって薄暗い庭を眺めていた。

 

わたしは相変わらず無理な『禁断の恋』に熱をあげている」

 

過去の恋愛を振り返った。

 

---------------          ---------------

(例) 源氏が初めて恋したのは桐壺帝の妃(藤壺の宮)で、いま夢中になっている梅壺女御息子(冷泉帝)の妃である。

 

千年後の平成の世のいま、世間を賑わしている政治家や芸能人の【不倫】どころの騒ぎではない。

天皇家中枢の【乱脈】を白日の下に曝すような話であることに驚く

 

『源氏物語』は、文化を好む一条天皇の足を娘・彰子の部屋に向けさせるために藤原道長紫式部に書かせた作品。

道長はともかく、一条は読むのを楽しみにしていたという。。

---------------        ---------------

 

女御への想いに比べると、亡き藤壺宮との【秘め事】ははるかに危険で罪深いことであった。

もし発覚すれば、わたしはいうに及ばず、冷泉帝も刑死か宮廷追放は免れなかったであろう。

幸い露見しなかったのは、若気の至りということで神仏が許してくださったのかも知れない」。

 

 

 

 

源氏紫の上

 

あなたは春の曙がお気に入りのようですが、梅壺女御は秋の風情がお好みのようです。

時間ができれば、四季折々の木や草の花々を愛でながら管弦の催しを楽しみたいものですね。

いまは公私ともに忙しく、残念ながらその余裕はありません」

 

 

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源氏はいつも大堰の里の明石の君のことを気にかけているが、『内大臣』という重い身分の今、そう気楽には出かけられない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

薄雲⑰かがり火

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第十九帖 薄雲

 

光源氏内大臣時代  31歳冬~32歳秋

 

篝火かがりび

古来の照明具の一つで、主に屋外で用いる。

移動するときは松明たいまつ を、固定するときは篝火を使う。

 

 

漁火いさりび

夜間、魚を呼び寄せるために漁船でたく篝火

 

 

 

毛越寺の遣水における【曲水の宴】

毛越寺:岩手県西磐井郡平泉町

遣水やりみず

外から池に水を引き入れるための水路

曲水の宴きょくすいのえん

参加者が曲水に臨んで着座して、上流から

流される杯が自分の前を通り過ぎる前に詩歌を詠じ、

杯を取り上げて酒を飲み、あとで宴を開いて詩歌を披歴した。

 

 

○ ● ○  ○ ● 〇

 

 

源氏はいつも大堰の里に住む明石の君のことを気にかけてはいるが、『内大臣』という重い身分の今、そう気楽には出かけられない。

 

明石の君はめったにしか会えない夫婦の仲をつまらないと思っているようだが、どうしてそのようなことがあろう。

もしそうであれば、すぐにでも『二条院』で暮らせばいいことだ」

 

そうはいうものの、源氏は気の毒に思い、紫の上の手前いつもそうするように、御堂での「不断念仏」にかこつけて出かけていった。

 

 

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人家のまばらな寂寥とした大堰の里は、住み馴れるにしたがってますます寂しさが募ってくる。

 

明石の君のように特に深い事情がない人も、長く住み続けていればきっと日ごとに悲哀が増すであろう。

 

それだけに、たまに源氏が姿を見せると、明石の君は、「やはり二人の宿縁は浅くはない」ということが心にしみて悲しさが増した。

 

源氏はどう慰めればいいのか途方に暮れる。

 

 

 

 

山里の木立の間から、いくつもの篝火が、遣水に沿って飛び交う螢の光のように見えるのは野趣めいて趣深い。

 

「昔、明石の水辺で暮らした体験がなければ、あのような景色はさぞかし珍しいものに思えることでしょう」
 

そう源氏がいうと、明石の君、

 

○ 漁りせし  影忘られぬ  篝火は


      身の浮舟や  慕ひ来にけむ
 

明石の浦の漁り火を思い出させるあの篝火は、はかない浮舟のようなわたしを追ってやって来たのでしょうか

 

○ 浅からぬ  したの思ひを  知らねばや
       

       なほ篝火の  影は騒げる


けっして浅くはないわたしの気持ちを知らないで、水面の篝火のようにゆらゆらと心が揺れ動いているのです


いったいどなたが、わたくしに世の中をつらいものと思わせてるのでしょう。

 

 

 〇  ムームードメイン  ○ 

 

 

森羅万象がひっそりと静かな時節なので、源氏はいつもに増して御堂での勤行にはげみ滞在が長くなった。

 

それで、明石の君はすこしは胸が晴れたとか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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STU48の【船上劇場】はどうなっているんだろう。

まだ出航しない。

 

 

 

 

 

国民の人権が【安倍政権】によって侵されつつあることに最も無自覚なのは当の日本人なのかもしれません。

特定秘密保護法共謀罪などをヤクザまがいの実力行使によって強行採決しました。

こういう野蛮な国会運営を全体として許してしまう日本人の政治意識を、国際的な観点からすれば理解できないのです。

 

 

 


朝顔①朝顔姫宮

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第二十帖 朝顔

 

光源氏の内大臣時代 32歳九月~冬

 

 

光源氏 朝顔の姫宮/朝顔斎院 式部卿宮 六条御息所

桐壺院 

本文中の女五の宮は桐壺院の妹、光源氏の叔母

 

 

5月15日午前10時、葵祭の御腰輿およよは『路頭の儀』として御所

の建礼門を出発し、堺町御門を出て下鴨神社へ行列する。

午後、下鴨神社を出発し北大路通りから賀茂街道を

通り、上賀茂神社で『社頭の儀』をして終了。
斎王代の行列は、葵祭の華

 

○ ● ○  ○ ● 〇

 

 

斎院を務めていたの朝顔の姫宮は亡き父、式部卿の宮の服喪のため【斎院】の職を退いた。

 

・斎院/斎王代 賀茂神社の祭神に仕えた未婚の皇女または王女

 

源氏には若いころから一度でも思いをよせた相手はけっして忘れない諦めないという性癖があった。

 

六条御息所の情の深さにいささか辟易してきたころ好きになった朝顔の姫宮はその一人である。

 

しかし、愛されて捨てられた御息所の噂を耳にしていた姫宮は、彼女の二の舞になることを怖れて源氏の求愛を頑なに拒んでいた。すんでいるので

 

そのうち【斉院】となり賀茂神社に仕えるようになって、ようやく源氏からの懸想文から解放される。

 

 

しかし、姫宮の服喪のために【自邸】にもどると、源氏はさっそく喪中のお見舞いにことよせて恋文を書き送った。

 

姫宮は、源氏のあまりのしつこさに返事を書く気にもなれない。

 

 

 

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九月にはいって、姫宮が亡き式部卿宮の旧邸である【桃園邸】に移ったことを聞いた源氏は、【桃園邸】には叔母の女五の宮がもとから住んでいるので、叔母のお見舞にかこつけて訪ねた。

 

朝顔の姫宮女五の宮は、それぞれ【桃園邸/寝殿造り】の西の対と東の対に分かれて住んでいた。

 

式部卿宮がなくなってまだそれほど日数はたっていないのに、邸の周辺は早くも荒廃して、もの寂しげな気配が漂っている。

 

 

 

 

久しぶりに甥の源氏が来てくれたことが嬉しかったのか、女五の宮はさっそく源氏と対面した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

哲学少女・須藤凛々花の名講義です。

是非ご覧ください。

ソクラテスなど西洋の哲学者たちの例を挙げながら、大人たちに分かりやすく『哲学的生き方』を説いています。

 

 

 

 

 

朝顔②

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アメンバー限定公開記事です。

薄雲➈藤壺尼宮、崩御

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第十九帖   薄雲

光源氏内大臣時代  31歳冬~32歳秋

 

几帳 

几帳 きちょう

 二本のT字型の柱に帳(薄絹)を下げた間仕切り。

風や視線を遮るとともに装飾とした。

 

◆         ◇         ◆         ◇         ◆

 

源氏は思いもよらなかった藤壺尼宮の重篤の知らせに驚き、取るものも取り敢えず見舞いに訪れた。

 

几帳の前で泣いている女房たち尼宮の容体をたずねた。

 

「ここ数か月ご気分がすぐれなかったのに、お勤めを怠らずなさった疲労が積もってますます衰弱されたところに、最近は柑子もお口にされなくなりました
 

几帳の向こうから、尼宮の震えるような微かな声が聞こえてくる。

 

「故桐壺院のご遺言どおり、のご後見をしてくださっていることを心から感謝しておりました。

何かの機会に、お礼申し上げようと思っていたのですがー」

 

 

「つい先日、太政大臣がお隠れになって、この世の無常がしみじみ沁みておりましたのに、尼宮もこのように病に伏せておられますと、心がとり乱して、の命ものこり少ないような気がいたします」


源氏が几帳ごしに静かに語りかけているうちに、藤壺尼宮燈火消えるように亡くなってしまった。

 

あの時から、尼宮は息子である冷泉帝を守るためだけに生きてきた

 

幼いころから片時も源氏のこころを去ることのなかった永遠の女性との、永遠の別れである。

 

 

四十九日の法要が済んだころ、母后のころから仕えていた比叡の夜居僧都が、人目のない頃合い見計らって、冷泉帝に、亡き藤壺尼宮が生涯をかけて守ってきた『出生の秘密』を打ち明けた。  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝顔②女五の宮

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第二十帖 朝顔

 

光源氏の内大臣時代 32歳九月~冬

 

寝殿造平面図

朝顔姫宮女五の宮が【西対】と【東対】にそれぞれ住んでいた。

 

 

朝顔の宮

 女五の宮関連系図

光源氏 女五の宮 桐壺院 大宮  桐壺院

朱雀院 式部卿宮/桃園式部卿宮

 

  

○ ● ○  ○ ● 〇

 

 

久しぶりに源氏が訪ねてくれたことが嬉しいのか、女五の宮は取るものも取り敢えずと対面した。

 

すっかり老け込んでいて、ときどき苦しそうに咳き込んでいる。

 

にあたる源氏の義理の母、大宮はまだ姿も声も若々しいのに、は肌に衰えが目立ち声にも張りがない。

 

桐壺院がお崩かくれになってからというもの、何もかもが心細く思われます。

その上、式部卿宮まで先立たれました。

わたくしなど、かすかに命を永らえております。

 

しかし、こうして光君の立派なお姿を拝見していると日頃の憂さを忘れられそうです」

 


 

 

源氏叔母上もお年をとられたものだと思いながら、

 

桐壺院がお隠れになられて以来、すっかり世の中が変わってしまいました。

 

昔、わたしは身に覚えのない罪によって海辺の寒村で侘しい暮らしをしておりましたが、急に朱雀院から都に戻るようお許しが出ました。

 

帰京すると朝廷での政務に忙しく、ここ数年、気にかけてはおりましたが、叔母上をお訪ねすることはできませんでした」

 

女五の宮は声を震わせながら、


光君はお年を重ねられるにつれて本当に立派になられました。

お小さいころ初めてお目にかかった時など、こんなに美しく輝く皇子がよくぞお生まれになったものと心底おどろいたものです。

 

それからお会いするたびに、あまりの美しさに薄命ではないかと心配になりました。

 

今上帝光君は瓜二つと世間では噂しておりますが、やはりのほうが見劣りするとわたくしは思っております」

面と向かって褒められ、源氏は面はゆかった。

 

 

 

 

「時々でも光君にお目にかかれたら、余命いくばくもないわたくしの寿命もその度ごとに延びることでございましょう

今日は老いを忘れ、憂き世の悲しみも消えてしまったようです」 

 

そういうと、女五の宮はまた泣いた。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「最終的かつ不可逆的に解決」

したはずの慰安婦問題を、大統領

朴槿恵パク・クネから文在寅ムン・ジェイン

変わったとたんに蒸し返す韓国には困ったもの。

 

しかも手をつないでいる三人は韓国と

中国と親日国であるフィリピンの少女たち。

 

こんなに大きな『慰安婦像』が

公有地建っていれば、サンフラ

コ市

朝顔③廂の間

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第二十帖 朝顔

 

光源氏の内大臣時代 32歳九月~冬

 

簀子すのこ

竹や細い板などをすきまをあけて並べた床。

水はけが必要な場所に用いる。

 

 

ひさし=ひさし=廂の間

寝殿造りで母屋もやの外側に付加された細長い下屋げや部分。

その外に簀子縁を設けた。

 

 

御簾みす

平安時代の寝殿造りなどで、目隠しに用いた。

宮殿や神殿などに用いるすだれ。

 

 

○ ● ○  ○ ● 〇

 

 

「時々でも光君にお目にかかれたら、余命いくばくもないわたしの寿命もそのたびに僅かでも延びることでございましょう

今日は老いを忘れ、憂き世の悲しみも消えてしまったようです」 

 

そういうと、女五の宮はまた涙声になった。

 

光君を婿になさった姉の大宮がお羨ましい。

に恵まれ、光君とも親しくお目にかかっておられます。

亡くなられた式部卿宮も、光君を婿に迎えられなかったことをずいぶん悔やんでおられました」


「式部卿宮」と「婿」という言葉に、源氏の耳が動いた。

 

想い人の朝顔姫宮は、式部卿宮の娘だからである。

 

は、源氏に嫁がせたかったようだ。

 

女五の宮が今さらのように、


「もし光君と親しくお付き合いさせていただけていたなら、どんなにか嬉しいことでございましたでしょう」

 

 

 

 

源氏朝顔姫宮のいる部屋の方に目をやると、前庭の草花がうら枯れていて野趣深く見える。

 

姫宮の容姿や表情がゆかしく偲ばれ、無性に会いたくなった。

 

女五の宮に、

 

「こちらにお伺いした機会にあちらにも顔を出さないと情が薄いと思われますので、あちらへもお見舞いに参ります」


そう告げると、簀子を通って姫宮の部屋へ向かった

 

乳母めのと宣旨せんじがあいさつに現れ源氏を南の「廂ひさしの間」に案内した。

 

「廂の間」は、いまの廊下に近い。

 

つまり、客の源氏を座敷である「母屋もや」には上げないのだ。

 

「御簾みす越しとは、若者にでも対するような冷たい扱いですね。

 

わたしは当家のためにはこれまで色々と尽くしてきました。

そのことをお考えていただいて、御簾の内への出入りをお許しくださるものとばかり思っておりました」

 

源氏は、「廂の間」に留め置かれた不満を口にした。

 

 

 

 

朝顔姫宮は、宣旨を通して答える。

 

の在世中のことは、今となっては、何もかも夢の中の出来事のようでございます。

その夢から覚めた今、の生前にお世話いただいたことは、これから静かに考えさせていただこうと存じます」 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝顔④花の盛りは

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第二十帖 朝顔

 

光源氏の内大臣時代 32歳九月~冬

 

 

 

間垣 まがき

竹や柴などで目を粗く編んだ垣根。

 

 

○ ● ○  ○ ● 〇

 

 

の在世中のことは、今となっては、何もかも夢の中の出来事のようでございます。

その夢から覚めた今、の生前にお世話いただいたことは、これから静かに考えさせていただこうと存じております

 

姫宮の距離のある返答を聞いた源氏

 

○ 人知れず  神の許しを  待ちし間に

 

      ここらつれなき  世を過ぐすかな

 

あなたが「斎院」としてのお務めから自由になられるのを待っている間、わたしはずっと切ない思いで暮らしておりました

 

源氏は若いころから朝顔姫宮に思いを寄せていたが、源氏の異性関係を噂に聞いている姫宮は、巻き込まれるのを怖れて源氏の求愛を一も二もなく拒絶していた。

 

そしてとうとう、姫宮は賀茂神社の「斎院」となって手の届かない所へ行ってしまったのである。

 

 

 

 

朝顔姫宮の返歌、

 

○ なべて世の  あはればかりを  問ふからに

 

        誓ひしことと  神やいさめむ

 

世間並みに源氏の君とお付き合いしようものなら、(賀茂神社の)神に誓ったことに背くと戒められましょう

 

あいかわらず素っ気ない姫宮を怒らせて気を引くつもりか、源氏

 

○ 見しをりの  つゆ忘られぬ  朝顔の

 

      花のさかりは  過ぎやしぬらん


美しい朝顔のような姫宮を見たときのことが忘れられません。そんなあなたも、もはや花の盛りを過ぎたことでしょう

 

しかし、姫宮源氏の嫌味を軽く受け流した

 
○ 秋はてて  梅雨のまがきに  むすぼほれ

 

         あるかなきかに  うつる朝顔


秋が去って霧のかかる垣根にしっとりと絡みついている、あるかなきかに容色が衰えている朝顔、それがいまの私です

 

 

 

 

朝顔姫宮を怒らせようとしたが、「その手に乗るものか」とばかりに源氏は軽くいなされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さっそく、ドンパチが始まった。

主要国の首脳で、トランプ親分を批判していない臣・晋三は際立っている。

無制限に、アメリカべったりでいいはずがない。

 

朝顔➄紫の上と姫宮

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第二十帖 朝顔

 

光源氏の内大臣時代 32歳九月~冬

 

 

朝顔の宮

 女五の宮・朝顔姫宮 関連系図

 紫の上   光源氏   朝顔姫宮   女五の宮

 

 

○ ● ○  ○ ● 〇

 

将棋の羽生善治永世七冠47とともに『国民栄誉賞』授与

候補になっている囲碁の井山裕太十段28を、ご存知ですか。

 

【将棋界】には、多くの国民

知られている藤井聡太四段15や先に

引退したひふみん/加藤一二三九段77らがいます。

歴史的にも、魅力的な奇人変人を含めて

有名な棋士がたくさんいます。

 

 

一方、【囲碁界】はどうか?

囲碁ファンでもない限り、ほとんど知らないのでは。

この知名度の格差はどこから来るのでしょう。

 

 

 

 

朝顔姫宮を怒らせて気を引こうとしたが、「その手に乗るものか」とばかりに源氏は軽くいなされた。

 

 

そんな源氏に対する姫宮の突き放した態度を、世間の女たちはあちらこちらで噂しあった。

 

源氏の君を袖にするなんて、ずいぶん変わった姫宮ね」

 

ところが、一方ではこんな流言が広がった。

 

源氏の君朝顔姫宮に心を寄せておられるので、叔母の女五の宮がずいぶん喜んでおられるらしい。

本当に釣り合いのとれた、とてもいいカップルだ」

 

 

 

 

ほどなく、源氏姫宮にまつわる様々な噂が紫の上の耳に入った。

 

「もしそういうことがあれば、光君はお隠しにはならないはず」


とは思うものの、紫の上は心配になって、それから源氏の一挙手一投足を気をつけて見るようになった。

 

なるほど、物思いに耽っていることが多くなった。

 

なにか話しかけても上の空のときがあり、紫の上が情けない思いをすることが重なるようになった。

 

朝顔姫宮わたしと同じ皇族の血筋だが、【桃園宮家】は昔から声望の高い家柄。

わたしの方は宮家でも末端であり、しかもわたしは幼いころ光君に拉致されてきた身。

正妻のような扱いを受けてはいるが、『正妻』ではない。

 

 

後ろ盾のないわたしは、これまで光君の愛情だけを頼りとして生きてきた。

光君のお気持ちが姫宮に移れば、わたしはどうなることやら。

今回の浮気は、今までのとは違う」

 

源氏朝顔姫宮への想いを知って以来、紫の上は人知れず思い悩んでいる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

川端康成が21世本因坊秀哉の引退碁の観戦記を

小説にしたすごく緊迫感のある名文です。

 

 

 

 

 

 

 

 

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朝顔⑥悲しみ

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第二十帖 朝顔

 

光源氏の内大臣時代 32歳九月~冬

 

紫式部

紫色の実の清楚な美しさを紫式部にたとえた。

11月5日の「誕生花」   花言葉は「上品」

 

土佐光起筆『紫式部』 石山寺所蔵

藤原為時の娘。

平安中期の人 天延1/973年ごろ~長和3/1014年以降?

長保元/999年、藤原宣孝のぶたかと結婚。

大弐三位だいにのさんみ/賢子けんしを生む。

作品に、「源氏物語」・「紫式部集」・「紫式部日記」

 

 

○ ● ○  ○ ● 〇

 

 

源氏朝顔姫宮への想いを知って以来、紫の上は人知れず思い悩んでいる。

 

「お見捨てになることはないとしても、幼いころから馴れ親しんできただけに軽々しく扱われるかも知れない」

 

紫の上は、あれこれと思い乱れた。

 

たいした浮気相手でなければ焼き餅のひとつも焼いてみせようが、相手が相手だけに事は深刻である。

 

しかし、紫の上としては嫉妬しているような素振りをみせることはプライドが許さない。

 

 

 

 

そのころ、源氏は宮中に泊まることが多くなっていた。

 

しかし、仕事には身が入らず手紙を書いていることが多いと聞く。

 

「世間のうわさは本当のようだわ。

それならば、ほんの一言おっしゃってくださればよいものを」

 

頼りにできる後見人はなく、源氏の愛情だけを頼りに生きてきた紫の上はつらく悲しいが、客観的状況は源氏姫宮と浮気していると考えるほかないようだ。

 

 

 

 

雪のちらつく風情のある黄昏時、ほどよく着馴れた衣装に上等の香を薫きしめて、源氏叔母の女五の宮を訪ねようとしていた。

 

その旨を紫の上に告げる。

 

女五の宮がご病気で伏せておられるので、お見舞いに伺います」

 

しかし、姫君 (源氏明石の君との娘) をあやしている紫の上は振り向きもしなかった。

 

しかも、なにか思い詰めているようで横顔が険しい。

 

  紫の上は、朝顔姫宮女五の宮が同じ邸に住んでいることを知っている

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝顔⑦浮気の虫

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第二十帖 朝顔

 

光源氏の内大臣時代 32歳九月~冬

 

光源氏の引っ越し

母の実家で誕生内裏の淑景舎/桐壺

二条院(母里を増改築)→六条院 /六条御息所旧邸を増築

約3年間は、「須磨」それから「明石」で暮らした。

 

二条院

 

桐壺更衣の実家のち二条院

 

平安京内裏 

内裏だいり

淑景舎しげいしゃ/桐壺 右列の上から2つ目

 

六条院 

六条院 復元模型

東本願寺の別邸、【渉成園しょうせいえん】/【枳殻邸きこくてい】が擬せられている。

三代将軍徳川家光が、東本願寺に寄進した。

もとは光源氏のモデルの一人・源融/河原左大臣の所領地。

 

 

○ ● ○  ○ ● 〇

 

 

しかも、なにか思い詰めているようで横顔が険しい。

 

「このところご機嫌斜めのようですが、わたしはなにも悪いことはしておりません。

馴れすぎるのは良くないと思って、宮中で夜を過ごすことが多くなっておりますが、まさかそのことが理由ではないでしょうね」

 

源氏がなだめようとすると、紫の上は顔を背けたまま尖った声で
 

「おっしゃる通りです、あまりにも馴れるのは良くありません」

 

 

 

 

不機嫌なままの紫の上を残して外出するのは気が進まないが、源氏女五の宮と約束しているそうで、【桃園宮邸】に出かけようとしている。

 

紫の上は耐えきれない思いである。

 

光君の気持ちがいつか離れてゆくかも知れないということを考えることもなく、わたしくは安心しきって暮らしてきたのだわ」

 

隣の部屋で源氏が、紫の上に聞こえるように女房たちに弁解がましく話している。
 

わたしはもう、宮中以外の場所に出かけることがひどく億劫になりました。

しかし女五の宮のお世話を先日亡くなられた式部卿宮に長年お任せしていたので、これからはわたしが時々顔を見せなければならないだろうと思っております」

 

源氏に対していつも辛辣な紫の上女房たちは囁きあった。


「さあどんなものでしょう。

源氏の君には浮気の虫が住みついていますからね。

そのうち、きっと何かよからぬことが起こるでしょうよ」
 

 

 

 

【桃園宮邸】に着いて従者に案内を乞わせると、源氏が今日訪ねてくると思っていなかった女五の宮は驚いて門を開けさせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2017年度紅白歌合戦

 

大トリ

 

 

 

トリ

 

 

朝顔⑧色好みの老女

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第二十帖 朝顔

 

光源氏の内大臣時代 32歳九月~冬

 

よもぎ

若葉を草餅の材料にし、葉の下面の毛から「もぐさ」をつくる。

葉は、腹痛薬や吐瀉剤として利用される。

ヨモギの名はときにヨモギ属の総称として使われることもある。

 

 

岸田今日子源典侍げんのないしのすけ

映画 『千年の恋 ひかる源氏物語』から 2001年

知性も教養も地位もある色好みの老女

60歳頃、20歳の光源氏頭中将と関係をもった。

 

 

○ ● ○  ○ ● 〇

 

 

【桃園宮邸】に着いて従者に案内を乞わせると、源氏が訪ねてくるとは夢にも思っていなかった女五の宮はひどく驚いた。

 

門番が寒さに震えながら出てきたが、錠が錆びついているのか門はなかなか開かない。

 

「この門番以外に男手はないのだろうか」

 

父宮を亡くした桃園宮家の零落ぶりが源氏の胸を突いた。


「いつの間に、この宮邸の庭一面に蓬よもぎが生い茂るようになったのだろう」


源氏従者たちも手伝って、無理やり門を押し開けた。

 

 

 

 

女五の宮例によってとりとめなく昔話をしているうちに眠くなったのか、欠伸を繰り返した。


「先ほどから眠くて、もうお話できません」


ほどなく鼾が聞こえたので、源氏はこれ幸いに立ち上がろうとすると、年寄りくさい咳払いをして老女が近づいてきた。

 

「恐れながら、源氏の君わたくしが当邸にご厄介になっていることをお聞き及びと思っておりましたのに、この老婆をひとりの人間としてお認めになってはおられないようです。

桐壺院わたくし祖母殿と仰せになっておられましのに」
 

源氏はすぐに分かった。

 

好色で聞こえた源典侍げんのないしのすけである。

 

男を見ると色目を使い色っぽいしなを作っていた。

 

二十歳のころ、源氏頭中将は面白がって還暦の源典侍と関係を結んだことがある。

 

 

 

 

尼になって女五の宮のお弟子として勤行していると聞いてはいたが、年齢からしてまだ生きているとは思っていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「苦悩を突き抜けて歓喜に至れ」

苦悩の人、ベート―ヴェンには他にも名言が多いようです。

音楽とは、男の心から「炎」を打ち出すものでなければならない。

そして女の目から「涙」を引き出すものでなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本列島に生きるあなたは、

いったん事あればー。

 

良いお年を!!

 

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謹んで初春のお慶びを申し上げま

 

 

いま現在、『源氏物語』54帖のうちの第20帖【朝顔】。

 

「もう」そんなになのか、「まだ」それだけなのか。

 

2013年8月8日に船出しているので約4年5か月の航海。

 

今のペースだと、『源氏物語』読了に要する

時間は単純計算で15年以上かかる。

 

ただ、飽きることはなさそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『絶望の名言』というラジオ番組がとても

面白かったので、次回から一つずつ紹介します。

 

『絶望の名言』とは?

反対のことを考えると分かりやすいです。

 

心が弱っていたり病気で寝込んでいたり受験勉強など

不安かつ緊張したりしている時に、「もっと頑張れ!!」、

「元気を出せ!!」、「根性が足りん!!」などと叱咤激励

されると、あなたはどんな気持ちになりますか。

 

『絶望の名言』とは、「しっかりしろ!!」お尻

叩くような言葉ではなく、「それでいいんだよ」

悩んでいる人の気持ちに寄り添うような言い回しです。

 

 

  

 

竹内栖鳳画 『下駄と戯れる子犬(仮題)』

 

 

 

 

 

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