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夕顔⑥夕顔の二面性
【古今和歌集・仮名序】紀貫之
やまとうた(大和歌=和歌)は、人の心を種として、万の言の葉とぞなれりける。世の中にある人ことわざ繁きものなれば、心に思ふことを見るもの聞くものにつけて言ひ出せるなり。
花に鳴く鶯、水に住む蛙の声を聞けば、生きとし生けるもの、いづれか歌を詠まざりける。力をも入れずして天地を動かし目に見えぬ鬼神をもあはれと思はせ、男女の中をも和らげ猛き武士の心をも慰むるは歌なり。
恋心を和歌で伝えていた時代は、三十一文字を当意即妙に操れない者は男でも女でも恋愛できなかったというのは本当だろうか。
葛飾北斎 『北斎漫画』より
「葵上」の題で描かれた六条御息所の生霊(いきりょう:人の霊魂が体から抜け出して自由に動き回る)
源氏は、「もういいだろう」と覆面をとった。
ここで紫式部は明かすのだが、源氏は夕顔の家に通うときはいつも覆面をしていた。
源氏ほどの身分の者は、庶民の家が建て込んでいるような巷では顔を見られないようにしていたのだ。
初めて、明るい場所で顔を見せて一首。
○夕露に 紐とく花は 玉鉾の
たよりに見えし 縁にこそありけれ 光源氏
私がこうして顔をお見せする(or私とあなたが深い仲になった)のは、五条のあなたの家で出会った縁によるのですよ
先日、夕顔が源氏に詠みかけた和歌を踏まえている。
○心あてに それかとぞみる 白露の
光そへたる 夕顔の花 夕顔
あて推量ですが、「あの方(源氏の君)かしら?」と思っております。あなた様の白露のような麗しさで、夕顔の花が一段と美しく見えます
「どうですか、あなたが『白露の光』と詠んだ私の顔は?」という意味をこめた和歌は、冗談半分としても自分の容姿に相当の自信がないと詠めないだろう。
この得意げな詠みかけに対する、夕顔の返歌。
○光ありと 見し夕顔の 上露は
たそかれ時の そら目なりけり 夕顔
あなたが光り輝く露のように麗しく見えたのは、黄昏時の見まちがいでした
二人はすでに打ち解けているのか、夕顔は自信満々の源氏に肩透かしを食わせている。
「どうだい、僕の美しい顔は?」と尋ねた源氏に対して、「暗かったから、見まちがえたようです」と返しているのだ。
源氏に和歌を詠みかけたり軽くいなしたり、和歌を作る時の夕顔は、なよなよとして頼りなげな女ではない。
その夜、夕顔とめくるめく愛のひと時を過ごしてまどろんでいると、源氏の枕元に美しい女が座っている気配がした。
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… …… … …
夕顔⑦夕顔、襲われる
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源氏物語ゆかりの地 (京都市中心部) 【ざ・京都】から
映画 『源氏物語 千年の謎』 夕顔 (芦名星)をとり殺す六条御息所 (田中麗奈)
その夜、めくるめく愛のひと時を過ごしてまどろんでいると、源氏の枕元に美しい女が座っている気配がある。
なにやら怨みがましく呟いているようだ。
「わたしがこんなに想っているのに、このところちっとも訪ねて下さらない。しかも、よりによってこんなつまらない女と……。恨めしゅうございます」
そして、隣に寝ている夕顔を起こそうとする。
源氏は何者かに襲われているような気配がして、うなされながら目を開いた。
部屋の灯りが消えていて、あたりは闇。
用心のため、枕元の太刀を抜いて傍らに置いた。
右近は、わなわなと震えている。
「宿直の者を起こして、灯りを持ってこさせろ」
「足が震えて、立てません」
仕方なく、源氏が自分で廊下に出た。
廊下の灯りも消えている。
「誰かいないか。惟光はどこだ」
そのころ、惟光は源氏を見習って源氏を女の家に送ると、自分も馴染みの女を訪ねることにしていた。
どうやら、今夜もお楽しみのようだ。
源氏が手を叩いても、音が闇夜にむなしく反響するだけ。
だれ一人、聞きつけてやって来ない。
部屋に戻ると、夕顔はぐったりしている。
「夕顔、どうした。しっかりしろ」
抱き起こすと、気を失っている。
息もしていないようだ。
しばらくたって、従者が灯りをもってやってきた。
源氏が灯りを受け取って夕顔を照らすと、まどろみの中で見た美しい女が一瞬、見えた。
「あっ」
その女は短く叫ぶと、ふっと掻き消えた。
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夕顔⑧物の怪
夕顔を取り殺した美女は六条御息所の生霊であると『源氏物語』に書かれているわけではなく、状況証拠に過ぎない
石碑 【源語伝説 五條辺 夕顔之墳】 家屋の奥に
短く叫ぶと、物の怪のような女の幻影はふっと掻き消えた。
・物の怪…人に危害を加える邪悪な霊魂。
死霊や生霊や妖怪変化など様々な形をとる。
原因不明の病気や死は多く、「物の怪」のせいと考えられた。
この種の奇っ怪な出来事は昔の物語の中にこそあるものの、今の世の中で、これほどの異変が起こるとは。
ぞっとするほど恐ろしく、不気味である。
源氏の腕の中の夕顔はすっかり冷たくなって、早くも死相が現われている。
そして、事切れた。
右近が、恐怖に怯えて源氏にすがりついてきた。
このあと、右近は女房として源氏に仕える。
外では夜風が激しく吹きすさび、フクロウの陰鬱な鳴き声が聞こえてくる。
源氏はしばし呆然としていたが、「どうして、夕顔をこんな荒廃した邸なんかに連れてきたのか」と悔やんだ。
そして、12歳で元服した時からずっと心に秘めている「禁断の恋」に思い当たった。
「こんなに怖ろしい目にあうのは、今なお、あの方を心の深いところで求め続けている報いなのだ」と。
源氏はこれから夕顔の死体をどうすればいいのか、見当もつかなかった。
ただ、なんとしても秘密裏に事を運ばなければならない。
なぜなら、夕顔が義兄で友人の頭中将がさがしている愛人(or妻)と知りながら男女の関係をもち、事もあろうに死なせてしまったからだ。
源氏は、灯りを持ってきた従者に命じた。
「惟光を呼んでくれ。それから、もしいたら兄の阿闍梨(あじゃり)にも来るように伝えてくれ」
従者は惟光が訪ねていそうな女の家を何軒も探し回ったが、見つからなかった。
さすがに源氏の乳兄弟、惟光もなかなかの発展家である。
従者は源氏に復命した。
「阿闍梨殿は先日、比叡山に帰られたそうです。惟光殿は今どこにいるのか、分かりませんでした」
一番鶏が鳴くころ、ようやく惟光が戻ってきた。
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夕顔⑨光源氏、二条院に戻る
二条院候補地(陽成院跡) …夷(えびす)川児童公園前の説明板 中京区夷川通小川東入東夷川町
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二条院…光源氏の母・桐壺更衣の実家を桐壺帝が増改築した
一番鶏が鳴くころ、ようやく惟光(これみつ)が戻ってきた。
源氏はいつも近くにいてほしい惟光が出かけていたことに腹を立てているが、ぐっと我慢して何も言わず、その夜の顛末を説明しようとした。
しかし、あまりにもあっけない出来事で、何をどう切り出せばいいのか思いつかない。
惟光の顔を眺めているうちに気持ちが緩んで、悲しみが込み上げてきた。
夕顔の亡骸を抱き抱えたまま、さめざめと泣きはじめる。
涙を流しているうちに少しずつ落ち着いてきたのか、とつおいつ話し始めた。
「夜中に、奇怪なことが起きた。夕顔が、女の生霊(物の怪)に取りつかれて殺されたのだ。まずは誦経するのだろうが、やはり蘇生するよう願を立ててやりたい。そのために、お前の兄の阿闍梨(高徳の僧)に来てほしかったのだが……」
「兄は昨日、比叡山に戻りました。それにしても薄気味悪い事件ですね。夕顔殿は前から御気分でも悪かったのでしょうか」
「そのようなことは、なかった」
源氏の涙する様子がとても優美でつらそうなので、惟光も悲しくなって泣き始めた。
「これから、私はどうすればいい?」
源氏は惟光を頼りにするが、惟光とてまだ10代の若者。
豊かな人生経験を積んているわけではない。
「邸の留守番役に、相談してはなりません。留守番役は口が固くても、身内に口の軽い者がいるかも知れません」
「分かった」
「源氏の君はまず、この邸を退出して下さい」
「ここより人目につかない場所が、どこにあるというのだ」
「人々が起き出す前に、急いで二条院にお帰り下さい」
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トリノ五輪金の荒川静香さんとは東北高校→早稲田大学→オリンピックの金メダルと、先輩・後輩の関係のようです。
中・高時代、学校の成績はオール5だったとか。
二人の金メダリストを輩出した高校は、他にあるのだろうか。
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…… …… ……
夕顔⑩夕顔の亡骸を尼寺へ
「夕顔」巻の登場人物
光源氏 夕顔 頭中将 六条御息所 惟光 右近
御帳台(みちょうだい) 天蓋付きのベッド
「人々が起き出す前に、急いで二条院にお帰り下さい」
「夕顔の亡骸はどうする。私がいなくてもよいのか」
「亡骸を夕顔殿の家に運べば、女房たちが大騒ぎして泣き出す者もいるでしょう。隣近所の者が聞きつけて、噂が都中に広がるかも知れません」
「それでは、どうする」
「東山に、懇意にしている尼寺がございます。尼寺ならば、亡骸を運んでも誰ひとり怪しみません。牛車にお乗せして、私と右近が付き添います。源氏の君は、私の馬を使って下さい」
惟光が夕顔の亡骸を薄い布団に包んで、牛車に運んだ。
小柄で可愛らしく、死人を持ち上げている気味悪さはない。
布団からこぼれている夕顔の黒髪を見て源氏は泣いている。
「馬を飛ばして、早く二条院へお帰り下さい。人に見られます」
源氏は茫然自失として二条院に帰り着いた。
腑抜けた様子の源氏を見て、女房たちが噂しあっている。
「今頃どこから、お帰りなのでしょう。ずいぶん、ご気分が悪そうよ」
源氏はすぐに「御帳台」の中へ入った。
胸を押さえて波立つ気持ちを押さえようとするが、やはり悲しみがこみ上げてくる。
「どうして、私も牛車に乗って尼寺に行かなかったのだろう。もし夕顔が生き返ったら、どう思うだろう。自分を見捨てたとひどく悲しまないだろうか」
頭が痛くなり、身体も熱っぽくなってきた。
「こんなに弱っては、私も死んでしまうかも知れない」
日が高くなっても源氏が起きないので、女房たちは心配になってお粥などを勧めた。
そこへ、宮中から使者が来た。
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夕顔⑪薄幸の佳人
光源氏 夕顔 頭中将 四の君 桐壺帝 弘徽殿女御 左大臣 空蝉 右大臣
源氏の間@石山寺 「紫式部の執筆風景」一陽斎・歌川豊国筆……滋賀県大津市
そこへ、宮中から桐壺帝の使者が来た。
使者は、頭中将ら左大臣家の子息たちである。
帝は、源氏の行方が分からずたいそう心配しているという。
源氏は、夕顔の死をもっとも知られたくない頭中将だけを近くへ呼んだ。
頭中将は、物の怪に襲われて亡くなった夕顔と愛しあっていた仲である。
しかし、ある日突然、夕顔は頭中将の正妻・四の君に脅迫されて姿をくらました。
その隠れ家にいたとき、夕顔は源氏らしき男を見かけると、当時の常識ではありえなかったことだが女の方から誘うような和歌を詠みかけた。
おとなしくはかなげな人柄が魅力の夕顔だが、性的には奔放な面がある。
それ以来、源氏と夕顔は深い仲になった。
この融通無碍なありようは、少し前、源氏に心を寄せながらも、「人妻だから」と毅然として拒み通した空蝉(うつせみ)と好対照をなしている。
頭中将は『雨夜の品定め』の恋愛談義の中で、常夏の女(夕顔)を忘れられないと言っていた。
亡くなったことを知らない今も、きっと探しているのだろう
夕顔を夫と別れさせた四の君は時の権勢家・右大臣の娘で、源氏の母・桐壺更衣をいじめ抜いて死に至らしめた弘徽殿女御(こきでんのにょうご)の妹である。
姉に似て、気性がすこぶる激しい。
頭中将は左大臣家、四の君は右大臣家の出身。
ふたりは政敵である両大臣家の子供だが、残念ながら「ロミオとジュリエット」ではない。
悲劇性もなければ愛情もない、政略結婚である。
源氏の妻・葵上(あおいのうえ)は左大臣家の出身で、頭中将の妹。
源氏が弘徽殿女御の右大臣家に迫害されることを恐れた桐壺帝が、左大臣に頼んで葵上を源氏に嫁がせたのだ。
こちらの夫婦にも愛情は通っていず、初夜からしてよそよそしかった。
だからというわけでもあるまいが、源氏と頭中将は名うてのプレイボーイである。
ただ、ふたりとも1度でも関係した女は、必要な場合は終生面倒を見ている。
夕顔ほど、男運には恵まれたが薄幸の人生を終えた女は珍しい。
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夕顔⑫光源氏の作り話
河原左大臣・源融(822~895) 嵯峨天皇の12男。 光源氏のモデルのひとり。 … … 『源氏物語』の中で、源融(とおる)ゆかりの故地が数多く源氏の土地や建物に擬せられている。
百人一首
陸奥の 忍ぶもぢずり 誰ゆゑに
乱れそめにし 我ならなくに
夕顔ほど、男運には恵まれたが薄幸の人生を終えた女は珍しい。
当代ナンバーワンの源氏と№.2の頭中将に真剣に愛された。
だが、№.2の正妻(四の君)に脅されて巷に隠れ住むことを余儀なくされ、挙げ句の果ては№.1の愛人(六条御息所)によって命を奪われてしまった。
女流作家の手になるからか、女の戦いが凄まじい。
紫式部は、よくもこんな劇的な「女の一生」を思いついたものだと感心する。
子細は忘れたが、数日前の天声人語(朝日新聞)が、「さまざまなパターンの恋愛を描き分けた『源氏物語』は、大学入試として出題するには難しい」旨のことを書いていた。
もっとも、受験生はこの頃の源氏よりも年上である。
それはともかく、恋愛体験が豊富だったとは思えない紫式部がなぜ、世界的にも傑出した「愛の文学」といわれる『源氏物語』を書けたのか、私はずっと不思議に思っている。
実体験の反映も中にはあるだろうが、わずかだろう。
紫式部が仕えた中宮彰子のサロンなどで、おしゃべり好きな女房たちの噂話を聞いて、それらの話を作家の非凡な想像力によって膨らませたとしか考えられない。
源氏は、きのう参内せず二条院にもいなかった理由を帝の使者である頭中将に説明する。
「乳母(めのと)が、5月頃から重い病に罹りました。快癒を願って出家し身を清めたからでしょうか、一時、少し良くなったようです。しかし、この頃、また弱ってしまいました」
「それは、いけません」
「『もう1度、見舞ってほしい』と言ってきたので、幼い頃から世話になっている乳母ですし、薄情には思われたくないので顔を見に行ってきました」
「どうでしたか」
「思いもしなかったことですが、乳母ではなく、病に臥せていたその家の下女がにわかに亡くなってしまいました」
「それは、大変でしたね」
「宮中は神事の多い時期でもあり、穢れた身で内裏へ参るのを遠慮しました」
「そうでしたか」
「しかも今朝から風邪を引いたのか、気分が悪くて頭が割れるように痛い」
「そういう事でしたら、そのように帝に申し上げましょう。昨夜も、管弦の遊びの折に心配されていました。それでは、失礼します」
帰りかけた頭中将が、戻ってきた。
「どんな穢れに遭われたのですか。先ほどのお話は、どうも本当とは思えませんね」
源氏は内心、ギクッとした。
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夕顔⑬何ごとも惟光頼み
『千年の恋 ひかる源氏物語』堀川とんこう監督 吉永小百合(紫式部) 天海祐希 常盤貴子 高島礼子 松田聖子 森光子 渡辺謙(藤原道長&藤原宣孝) 風間杜夫
・藤原宣孝(のぶたか)、紫式部の夫(父藤原為時の友人)
紫式部像 源氏の間@石山寺
紫式部が石山寺に参籠しているとき、『源氏物語』の着想を得たとされる。
源氏は内心、ギクッとした。
「とにかく、私が思いがけず穢れに触れたと帝に申し上げて下さい。参内しなかったこと申し訳ございませんでした、とも」
頭中将が帰ると、彼の弟の蔵人の弁(くろうどのべん 帝の衣食住を司る役人)を呼んだ。
「先ほどそなたの兄上に話した通りのことを、帝によろしくお伝えください。左大臣殿にも、くれぐれも宜しく」
自分の説明に疑問を持った頭中将があれこれ詮索して、「夕顔の死」に辿りついたら困るのだ。
桐壺帝のそば近くに仕えている蔵人の弁の方が、頭中将よりも先に帝にお目にかかるだろうと読んだ。
日が暮れようとする頃、惟光(これみつ)がやって来た。
二条院はすでに人影は少なく、ひっそりとしている。
「夕顔はどうだった。やはり、もうだめか」
袖を顔に押し当てて泣きながら尋ねると、惟光も涙を流した。
「はい、残念ながら亡くなられました。亡骸(なきがら)を、いつまでもあそこに置いてはおけません。明日は日柄が良いので、葬儀のことを知り合いの貴い老僧にお願いしました」
「夕顔に付き添っていた女房は、どうした」
「右近のことでしょうか。今朝、取り乱して谷底に身を投げようとしました。あわてて抱き止めると、『みなさんに、お知らせしなければ』と申します」
「夕顔の死」が夕顔の姉妹や女房たちに知れたらすぐに世間に広まって、遠からず頭中将の耳に届くだろう。
「それは困る」という源氏の本心を、惟光は分かっている。
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安倍晋三氏は、自分の思想傾向に近い人物を周辺に集めています。
閣僚、首相補佐官、政府委員、日銀総裁、内閣法制局長官、NHKの籾井勝人会長と二人の経営委員(百田尚樹 長谷川三千子両氏)ら。
第一次安倍内閣のときも『お友達内閣』と揶揄されたが、今回は選挙に大勝して権力基盤が強固でかつアベノミクスが成功しているような雰囲気があるので、『お友達~』とからかってすむ話ではない。
今現在は、公共放送で不偏不党であるべきNHKの3人の、「公平性と客観性そして実証性を欠いた言説」が目立っています。籾井勝人氏は安倍政権の走狗を自認しているし、他の二人は安倍さん以上の極右のようです
東京や横浜の図書館で、『アンネの日記』関連の本を300冊以上破っている国辱的なまでに恥ずかしい事件が、安倍政権下でのわが国の「空気」を象徴しているような……。国際社会ではまったく理解を得られない、内向きの独善的な言動がまかり通っています。
私はかつて、アンネ・フランクが隠れ住んでいたアムステルダムの狭苦しい屋根裏部屋を訪れたことがあります。幼い少女がどんなにナチスの恐怖に怯えながら暮らしていたか想像するだに胸の痛むような密室でした。
… … … …
夕顔⑭亡骸と対面へ
クリック→拡大 … … 『源氏物語』 主要登場人物系図
牛車
『紫式部日記絵詞』第三段 藤田美術館蔵
「それは困る」という源氏の意向を、惟光(これみつ)は分かっている。
「『死んではならない。落ち着きなさい』。右近をなだめました。右近はまだ、あの尼寺におります」
「私も気持ちが沈んで、死んでしまいそうだ」
「何がそんなにお辛いのでしょう。何ごとも、前世からの因縁でございます。秘密が漏れないよう、万事わたしが取り計らいます。ご安心ください」
「前世からの因縁と思いたいが、私のせいで夕顔が亡くなったことが辛い。私の軽はずみな浮気心がひとりの女を殺したと世間は非難するだろう。このこと、誰にも話してはならぬぞ」
「葬儀を頼んだ老僧にも、話しておりません」
源氏は、惟光の確かな気配りに安堵した。
二人のやりとりを漏れ聞いた女房らがひそひそ話している。
「何ごとでしょう。源氏の君は穢れたとか、参内しなかったとか。なにやら悲しそうね」
「惟光よ、そなたは反対するだろうが、火葬にする前の夕顔の亡骸を見ておきたい。牛車では人目につくから、馬で行く」
「そんな、軽率な」と、惟光は思ったが、
「心残りになってはいけません。早く出かけて、夜が更けぬうちに戻りましょう」
源氏は目立たないよう狩衣(かりぎぬ:普段着)に着替え、惟光と随身(ずいじん:ボディ-ガード)を伴って、ひそかに二条院をあとにした。
東山への夜道が、ずいぶん遠く感じられる。
立待ちの月(17日の夜の月)が昇ったころ、賀茂の河原にさしかかった。
東山の鳥辺野(とりべの:清水寺の南に広がる野 葬送地)あたりを見やると、いつもは気味が悪いのに今夜は怖いと感じなかった。
惟光の案内で板葺の質素な尼寺に入ると、夕顔の亡骸(なきがら)と屏風1枚隔てて右近がうつ伏していた。
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夕顔⑮源氏、馬から落ちる
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国宝 『随身庭騎(ていき)絵巻 藤原信実作?』
惟光の案内で粗末な板葺の尼寺に入ると、夕顔の亡骸(なきがら)と屏風1枚隔てて右近がうつ伏していた。
夕顔の亡骸はまだ生前の姿のまま、楚々として可愛らしい。
源氏は夕顔の手を取って、声を限りに泣いた。
「どうか声だけでも聞かせておくれ。私たちはどんな前世の因縁だったのか。あんなに愛し合ったのに、先に逝ってしまうとは……」
しばらく涙に暮れてから、右近に声をかけた。
「わたしの邸へ行こう」
「幼いころから夕顔様にお仕えしております。亡くなられたからといって、今更どこへ行けましょう。火葬の煙にまじって、お供いたします」
「お前の気持ちも分かるが、この世は所詮無常なもの。後の世に、良寛和尚という御坊がおっしゃったそうだ。和歌とはいわず、俳諧とか俳句とかいうらしい」
○ 散る桜 残る桜も 散る桜
、
「今日か明日かは分からずとも、人は必ず散る。死に急ぐことはない。これからは私を頼りにしなさい」
心強いことを口にしたと思ったら、こう付け加えるところがいかにも源氏らしい。
「そういう私自身、これから生きていけるだろうか」
思わぬ時間の経過に気がついた惟光が促した。
「そろそろ夜が明けます。早く戻りましょう」
源氏は馬に跨って走り出しても後ろ髪を引かれ、何度も何度も後ろを振り返った。
夕顔との短いが楽しかった思い出がよみがえるのか、目には涙があふれている。
乗りなれている馬だが、夜道に涙、手綱さばきがたいそう危なっかしい。
賀茂川にさしかかったころ、身体がふらついてとうとう馬から滑り落ちた。
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…【鴨川+賀茂川→カモガワ】 ということなんでしょうね。
…… ……
夕顔⑯右近、二条院へ
陰陽師 安倍晴明公像
【安倍晴明神社】 大阪市阿倍野区阿倍野元町
【晴明神社】本殿 …… 上京区堀川通一条上ル晴明町
賀茂川にさしかかったころ、意識と身体がともにふらついてとうとう馬から滑り落ちた。
馬の背から地面までの高度差はかなりのものだ。
源氏は、身体をしたたかに打ち付けた。
「こんな川べりで、死んでしまうのか。二条院までとても戻れそうもない」
息も絶え絶えである。
「何をおっしゃいますか」
惟光は、「やはり連れてくるのではなかった」と悔やんだ。
しかしすぐに気を取り直して、賀茂川の水で手を清め、清水寺の観音に祈り始めた。
源氏も、うつ伏せになったまま仏に救いを求めている。
東山の空が白みはじめた頃、源氏は惟光と随人の助けを借りて立ち上がり、やっとの思いで二条院に辿り着いた。
帰りつくと、そのまま御帳台(みちょうだい)に入って寝込んだ。
しかし、日が経つにつれて快復するどころか病状がますます重くなり、目に見えて衰弱してゆく。
桐壺帝は心配して都中の僧侶や陰陽師(おんみょうじ)を動員して、病気平癒の加持祈祷や占術を行わせた。
世間の人々も、源氏の容体を案じた。
「源氏の君ほどの美男子は、やはり短命なのだろうか」
平安の世には、「美しい男の寿命は短い」という考え方があったわけだ。
平成の今、「美しい女は早死にする」という意味で「佳(美)人薄命」というが、「美しい男は早世する」という意味合いの言葉はないような気がする。
もしかしたら、浅学菲才を自ら暴露しているのかも知れないが……。
ちなみに一部の女性から怒られるかも知れないが、私は「器量」という言葉に、女の場合は「ルックス」を、男の場合は「器の大小」をまず想起する。
源氏は右近を二条院に招いて自分の御座所近くに部屋を与え、女房として仕えさせた。
新天地で心細そうにしている今や天涯孤独となった右近を、惟光が親身になって励ましたり仕事の段取りを教えたりした。
右近はほどなく他の女房たちと馴染んでいった。
右近はとりたてて美人でもなければ不器量でもない、若い女房である。
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引退の近いBIG3(タモリ たけし さんま)の後継者筆頭は有吉弘行?
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…… …… ……
夕顔⑰夕顔の素性
加持祈祷(かじきとう)
病気・災難などを祓うために行う祈祷orその儀式。印を結び真言を唱え、幾つかの象徴的器具を用いて行う。
右近(うこん)はとりたてて美人でもなければ不器量でもない、若い女房である。
9月中旬を過ぎたころ、源氏はすっかり快復した。
そんな秋の日の夕暮れ、右近を呼んで気になっていることを尋ねた。
「亡くなった夕顔は、なぜ私に素性を明かそうとしなかったのだ。他人行儀ではないか」
「夕顔様も、『お遊びのつもりだから、ご身分をお隠しなのでしょう』と切ないご様子でした。源氏の君であることは、はじめから察しておられました」
源氏も、夕顔は頭中将が『雨夜の品定め』のとき話していた常夏の女であることに気がついていた。
あのとき、頭中将が、「中流の女はいい」といっていた「中流の女」である。
「お互いつまらない意地を張り合ったものだな。ほんの短い逢瀬だったのに、どうしてこんなに恋しいのだろう。前世からの因縁があるに違いない。夕顔のことをいろいろ教えてほしい」
「御両親は早くに亡くなられました。御父上は三位中将でした。ふとした御縁で、その頃はまだ少将だった頭中将様と恋仲になられ、3年ほど通って下さいました」
ところが、去年の秋のことです。
「頭中将様の北の方から、脅迫めいたことを言ってきました。夕顔様はご存知のように気のやさしい方です。かつての乳母(めのと)を頼って、逃げるように西の京に隠れ住まわれました。しかし、いつまでも乳母の家に厄介にはなれません」
源氏の君と出会われた「五条の家」に移り住まれたのです。
「幼い娘もいなくなったと頭中将殿が顔を曇らせていたが、その子は今どこにいる」
「おととしの春、とても可愛い姫君(のちの玉蔓 たまかずら)がお生まれになりました」
「その姫君はどこにいる。内密に私に預けてくれないだろうか。夕顔の形見と思って大切に育てたい。父親の頭中将殿に知らせるべきなのだろうが、私は彼に取り返しのつかない事をしてしまった」
事情を話せば、私を恨むであろう。
「西ノ京の乳母にうまく話しをつけて、その子を連れてきてくれないか」
「願ってもない事でございます」
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夕顔⑱源氏の理想の女とは
鳥辺野 (とりべの)
光源氏のモデルの一人で、紫式部に『源氏物語』の執筆を依頼した藤原道長は、鳥辺野で荼毘(だび)に付されている。道長をはじめ藤原一族の火葬の地であり、親鸞聖人の荼毘所もこの地域にある。
「願ってもない事でございます」
「ところで、夕顔は何歳だったのだ」
「19歳におなりでした。私は夕顔様の亡くなった乳母の娘でございます。母を亡くした私を三位中将様が憐れんで、夕顔様のおそばで育てて下さいました」
「頼りなげな夕顔様を頼りとして、暮らしてまいりました」
源氏は、夕顔が自分より2歳年上だと知って驚いた。
「頼りなさそうな女のほうが可愛い。理屈をこねたり、人の言うことにいつも逆らったりする女は好きになれない」
源氏はここで、結婚当初からうまくいっていない4歳年長の理知的で冷たい印象の正妻葵の上を意識している。
「私自身が優柔不断なせいか、素直でやさしい女がいい。そういうタイプの女を若い頃から自分の思い通りに躾けたら、いつまでも仲睦まじく暮らせると思う。それが私の夢なのだ」
夢は、若紫(のちの紫の上)の出現によって叶った。
「夕顔様は、そういうお好みにぴったりの方でした。本当に、残念でなりません」
源氏はしんみりとして、独り言のように和歌を詠んだ。
○ 見し人の 煙を雲と 眺むれば
夕べの空も 睦ましきかな
もしやあの雲は恋しい夕顔を葬った煙だろうかと思って空を眺めると そこに夕顔の息づかいを感じていつもなら寂しい秋の夕暮れの空が懐かしい
右近は、胸が一杯になっている。
「源氏の君としみじみとお話をしているのが私ではなく、夕顔様であれば……」
夕顔の49日が、比叡山の法華堂にてひっそりと執り行われた。
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2011年(平成23)3月11日(金)14時46分18.1秒
東日本大震災、発生
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若紫①源氏、北山へ
鞍馬寺:「北山の寺」に擬せられている
鞍馬弘教(天台宗系)の総本山で、宇宙の大霊(尊天)を本尊とする信仰の道場
源氏は、瘧病にかかっていた。
・瘧病(わらわやみ) 悪寒と発熱を繰り返す病気
呪術や加持祈祷など、いろいろ試みたが一向に効き目がない。
たびたび発作がおこるので、ある人物が薦めた。
「北山のあるお寺に、すぐれた行者がおられます。去年の夏、世間に瘧病が流行った時、たちどころに治した例が多数ございました。こじらせると厄介です。早くその行者の加持祈祷をお享けになればと思います」
その行者を二条院に招くと、断わってきた。
「すっかり老衰して腰が曲がり、岩屋を出ることさえ叶いません」
「しかたがない。私の方から出けよう」
お供に親しい4、5人ほどを連れて、夜明け前のまだ暗いうちに出発した。
行者の岩屋は、山の奥まった所にあった。
3月の末で、都の花盛りは過ぎていたが山桜は満開である。
山を深く入って行くにつれて、春霞の棚引いている景色が趣の深さをましてゆく。
寺の佇まいにも、凛とした風格がある。
高い峰の岩屋の奥に、行者は籠っていた。
「勿体のうございます。あなた様のような方に、こんな所へ来て頂くとは。私は現世のことはすっかり忘れ、加持祈祷の行法も長く打ち捨てております。どうして、わざわざお越しになったのでしょうか」
口では愛想のない言葉を並べながら、顔は笑っている。
見るからに、尊い高徳の相貌である。
護符を作って源氏に飲ませ、加持祈祷などをしているうちに、日が高くなった。
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若紫②寺域に女たちが
『お力の宝棒の護符』
ウエサク祭の起源はブッタ(釈尊)の生誕と開悟の日が、インド暦第2月の第1満月の夜であったという伝承から来ている
護符を作って源氏に飲ませ、加持祈祷などをしているうちに、日が高くなった。
源氏はしばらく岩屋(洞窟)の外に出て、洛北の眺望を楽しんだ。
高い峰からは、あちらこちらに鞍馬寺の伽藍や僧坊などを見下ろせる。
すぐ下の九十九折の坂道に沿って、他の僧坊と同じような小柴垣だが、一際すっきりと張り巡らし、その中にこざっぱりとした家屋が建っている。
庭の木立も、なかなか風情がある。
従者の一人にたずねた。
「どんな人が住んでいるのか」
「どこかの僧都が、2年ほど籠っておられるそうです」
・僧都(そうず) … 僧正の下で僧尼を統轄する
「立派な人が住んでいるのだね。私はこんな身なりだ、聞きつけて挨拶にでも来られたら困るな」
かわいい女童(めのわらわ:少女)や大人の女たちが、大勢庭に出て来た。
仏に供える水を汲んだり、お供えの花を折ったりしている。
従者たちが、口々に騒ぎだした。
「ほら、あそこに女がいるぞ」
「まさか僧都が、女を囲っておられるのではあるまい」
「どんな関係の女たちだろう」
下りていって小柴垣からこっそり覗き見し、戻って報告する者がいた。
「きれいな女や若い女房、かわいい女の子が大勢いました」
源氏は寺に戻って勤行をつとめたが、いつ発作が起こるか不安でならない。
「何かに気分を紛らして、御病気のことをお忘れになった方がよろしゅうございます」
従者のアドバイスに従って、源氏は寺の後背をなす山に登り、鞍馬寺周辺の風光や春霞にかすむ京の都を眺めた。
洛北の自然の美しさに感動した源氏は、
「こんなに美しい所に住んでいる人々は、何も思い残すことはないだろう」
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あつみなデュエット
前の4曲は『新堂本兄弟』、最後は『東京ドーム卒業公演』から。
「AKB48とは、前田敦子の未来のことである」
「AKB48とは、高橋みなみのことである」秋元康。
ここから分かるのは、前田敦子は卒業してAKBを離れたのではなく、グループの中の「独立峰」になったということだ。いわば、もの凄いプレッシャとともに、「八ヶ岳の主峰」から「富士山」に転身した。「AKBの未来は、女優・前田の活躍如何にかかっている」秋元総合プロジューサー。
家でテレビを観なくなって久しいが、番組におけるタレントたちの「セリフ」は、その番組限定のものでしかないということが最近ようやく分かった。
真偽は二の次で、番組という「作品」の中で、テレビ局側の制作意図にそって言葉を「やりとり」している。だから、番組ごとに矛盾することも言う。そこに、悪意があるわけではない。
ただ、タレントの発言を聞いて、「そうなんだ」と真に受けてはいけない。
あくまで、その番組の中での役割分担である。
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