それから、事情が分かっていたのか、ネズミはすぐにスサノオが放った矢を咥えて持って来てくれた。
一方、スセリビメは、オオクニヌシが焼け死んだと思って、泣きながら葬式の準備をしている。
スサノオは、さすがにこれでオオクニヌシは終わりだろうと思っているところへ、羽根こそ破れているものの約束の矢を手に戻って来た。
仕方なくオオクニヌシを家に入れ、自分の頭の虱(シラミ)を取るように命じた。
ところが、頭をうじゃうじゃ這い回っているのは、虱ではなく無数のムカデ。
スセリビメは、オオクニヌシに椋(ムク)の実と赤土をさずけた。
オオクニヌシが椋の実を噛み砕き、赤土を口に含んで吐き出していると、ムカデを噛み砕いているのだとスサノオは勘違いした。
「こいつ、意外に素直でかわいい奴だ」と思っているうちに寝入ってしまう。
オオクニヌシはこの隙に逃げようと思い、スサノオの長いぼさぼさの髪を部屋の柱に結びつけ、大きな石で部屋の入口をふさいだ。
それから、スサノオの大刀と弓矢とスセリビメの琴を手にもち、スセリビメを背負って逃げ出そうとした時、琴が木に触れて大きく鳴りひびく。
スサノオは、その音に驚いて目が覚め、部屋の柱を引き倒してしまった。
スサノオが柱に結びつけた髪を解いている間に、オオクニヌシとスセリビメは遠くへ逃げることができた。
スサノオは黄泉津比良坂(この世とあの世の境)まで追いかけたが、そこで追いかけるのをやめ、オオクニヌシに告げる。
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