…いざさらば 涙くらべん ほととぎす 我もうき世に ねをのみぞなく
建礼門院は和歌を二首、ふすまに書き記した。
○此ごろは いつならひてか わがこころ
大宮人の こひしかるらん
仏門に入ってからは昔の華やかな暮らしぶりなど忘れていたのに、このところ宮中の人々がしきりに恋しく思われる
○いにしへも 夢になりにし 事なれば
柴のあみどの ひさしからじな
昔の栄耀栄華は夢になってしまった。柴で編んだ草庵の生活はもう長いことはなく、ほどなく極楽浄土に迎えられることだろう
後白河のお供で来ていた徳大寺左大臣実定は、庵の柱にこう書き付けた。
○いにしへは 月にたとへし 君なれど
そのひかりなき 深山辺の里
昔は月にたとえられるほど光り輝いていたあなた様ですが、今はその輝きはなく、深い山里で侘びしく暮らしておられます
建礼門院は、来し方行く末のことに考えをめぐらして感傷にひたっていた。
ちょうどその時、ほととぎすが二声三声鳴いて飛んで行った。
○いざさらば 涙くらべん ほととぎす
我もうき世に ねをのみぞなく
さあホトトギスよ、わたしと涙比べをしよう。私も、鳴いてばかりいるおまえと同じように、このつらい世の中で泣いてばかりいるのだから
壇の浦で捕虜となった20人余りの平家の公達は、ある者は都大路を引き回されて首を刎ねられ、ある者は妻子と引き裂かれて遠い流刑地に送られた。
清盛の異母弟の頼盛だけは、母・池禅尼が、かつて清盛に源頼朝の助命嘆願をしていたお蔭で京都で暮らしている。
40人ほどの女房たちには何らお咎めはなく、耐えがたい思いはあっただろうが親類や縁者を頼っていた。
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平家物語の群像 建礼門院⑱いにしへも 夢に~
平家物語の群像 建礼門院⑲父祖の善悪は子孫に及ぶ
建礼門院徳子
平家方のどんなに高貴な女房も御簾の中まですきま風が入ってくる屋敷に住み、そうでない身分の女房は粗末な家で塵に埋もれて暮らしていた。
枕を並べていた夫は、幽明境を異にするか、はるか遠隔の地に流されてしまった。
一緒に暮らしていた親と子は、離散した。
これらはひとえに、平清盛が上は天皇を恐れず下は万民を顧みず、死刑や流罪、官職の解任や停止などを誰はばかることなく行使した報いである。
「父祖の善悪は必ず子孫に及ぶ」ということは、どうやら間違いないようだ。
建礼門院は寂光院で空しく年月を送っていたが、ある日、ひどく体調を崩して病の床に臥せった。
日頃から覚悟していたことではある。
阿弥陀仏の御手に掛けた五色の糸の片方を持って、念仏を唱えた。
「南無西方極楽世界の教主・阿弥陀如来 本願を過(あやま)たず必ず極楽へ導きたまえ」
左右に控えている大納言典侍(だいなごんのすけ:平重衡の妻 建礼門院の兄嫁にあたる)と、
阿波内侍(あわのないし:清盛の一代前の権力者 藤原信西の娘)が、今生の名残りを惜しんで泣いている。
念仏の声が次第にか細くなると、西の空に紫雲が棚引いた。
芳香が部屋に満ち、空から音楽が聞こえてきた。
建久2年(1191)2月中旬、建礼門院は息を引きとる。
建礼門院が中宮(皇后)の位に就いてから片時も離れず仕えていた大納言典侍と阿波内侍は、臨終のときは身も世もなく泣き叫び、そして崩れた。
ふたりとも身を寄せる身寄りも場所もなくなっていたが、折につけ平家一門の供養の仏事を営んだことは感慨深く哀れであり、健気であった。
ともに、立派に極楽浄土に往生を遂げたという。
(平家物語の群像 完)
★次回から、『前田敦子とAKBグルーブの群像(4~5名)』にしたかったのですが、材料不足を否めないので他にします。
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出雲神話①出雲と高天原
「日本を代表する神社をふたつ挙げよ」といわれたら、出雲大社(だいこくさま)と伊勢神宮(お伊勢さん)と答えておけばさほどの異論はあるまい。
「代表的な神話を二つ」ということなら、ほとんどの人が出雲神話と高天原神話とに指を折るだろう。
そして、出雲神話と高天原神話が対極的な世界観をもっていることは何となく分かっているのではないだろうか。
それでは、ふたつの神話の基本的な違いはどこにあるのか。
まず、出雲神話には出雲大社をはじめ出雲地方(島根県)という具体的な土地があり、土地と神話が不可分のものとして結びついている。
代表的な神は、(素戔嗚尊・建速須佐之男命などと表記する)スサノオと、(大国主命・大穴牟遅神・八千矛神などの別称がある)オオクニヌシだ。
★以下、すべて「スサノオ」・「オオクニヌシ」と表記
縁結びの神としてつとに名高く、若い女性の参拝が多いそうだ。
記・紀神話では、支配される側としての位置づけである。
一方、高天原神話はどうか。
現地というものがもしあるとすれば、いうまでもなく高天原だが、彼の地へ赴く術はわれわれ現代人の能力を超えている。
というより、神代の昔から平成の今日まで、史実としては誰ひとりとして足を踏み入れた者はいないはずだ。
天孫降臨の地とされる高千穂(宮崎県)と、
(天照大御神・大日孁貴神などと表記する)アマテラスや(豊受大神・豊宇気毘売神などと表記する)トヨウケを祭る伊勢神宮(三重県)などは、高天原神話との因縁は浅からぬものがあるが、もちろん現地ではない。
★以下、すべて「アマテラス」・「トヨウケ」と表記
それでは、高天原はいったいどこにあるのか。
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出雲神話②高天原ってどこ?
名前からすると、髙天原は、「高い天にひろがる原っぱ」にある。
イメージとしては、ドラえもんにタケコプターを借りて、大空に浮かんでいる雲の層を幾つも幾つもぐんぐん突き抜けて上昇しているうちに、いつしか辿りつきそうだ。
髙天原に着いて周囲を見わたすと、『古事記』や『日本書紀』に登場する神々が日常の生活に勤しんでいるかも知れない。
アマテラスと出雲に追放される以前のスサノオが、姉弟で争っている場面に遭遇することだってあろう。
もしかしたら、アマテラスが天岩戸に隠れてしまったため、髙天原は真っ暗闇かもしれない。
その場合、アマテラスを外へ引っ張り出して光を取り戻そうと、エロチックな身なりをしたアメノウズメが岩戸の前でダンスに興じ、神々を爆笑させていることだろう。
以上は、『記・紀』に書かれている通りに髙天原の場所を垂直方向に想像したものだが、ついさっき、ふと思いついた。
思いつきをすぐに書くのもナンだが、髙天原の位置を垂直ではなく水平方向に考えたらどうだろうか。
にわかに神話が現実味を帯びてくるではないか。
神話といっても、何らかの現実の反映であることには間違いないだろうから。
髙天原の位置を垂直ではなく水平方向に考えると、髙天原は、今現在、竹島や慰安婦問題などでギクシャクしている韓国か、その向こうの核兵器をもった突っ張り外交の困窮しきった北朝鮮か、あるいは軍事超大国に邁進している巨大な一党独裁体制の中国にある、ということになる。
それらの地域のどこかに住んでいた軍事力に秀でた種族が海を渡って九州へ攻め込んで征服したことを、あたかも地上より格上の天から降りて来たかの如く装って天孫降臨と名付け、瀬戸内海沿岸を東へ侵攻して大和地方を平らげたことを、神武東征ということにしたのではないか。
いささかキーポードが踊ったが、今日のところはこのままにしておこう。
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出雲神話③騎馬民族征服王朝説
江上波夫・東京大学名誉教授(1906~2002年) 考古学者
「髙天原は、朝鮮半島か中国大陸のどこかにあった」という気まぐれな思いつきは、近年まったく顧みられなくなった江上波夫著、『騎馬民族国家』の主張につながっている。
江上氏は、満洲にいた騎馬民族が4世紀後半から5世紀にかけて日本に侵攻して、大和朝廷を立てたと唱えている。
いくさ慣れした満洲の騎馬民族が、日本土着の農耕民族を征服して、大和に中央政権を樹立したということであろう。
ただ、「騎馬民族征服王朝説」は一般の考古学ファンには大いに人気を博したが、専門家の間では根拠が十分ではないということで受け入れられなかったようだ。
いずれにしろ、形は違っても、朝鮮半島か中国大陸に住んでいた種族が、その地域での勢力争いに負けたかなにかで、海を渡って列島に押し寄せたということではないだろうか。
『天孫降臨』などという芝居がかった造語からしても、海の向こうからやって来たのだろう。
「われわれ天孫族は、この国の絶対的な支配者である。お前たち土着の者どもは、平伏してわれわれに従わなければならない」という高飛車な意識が透けて見える。
平成の今もなお、多くの日本人に被支配者としての意識(無意識を含めて)が根強く残っているようだ。
しかも、被支配者としての意識が強い者ほど政界などで力をもち、二次的な支配者になっていることは歴史の皮肉以外の何ものでもない。
ある意味、1300年ほど前に書かれた『記紀神話』の日本人の内面に与えた影響がどれだけ大きかったか、また依然として大きいかの証明であろう。
横道にそれた。
今回のテーマは『髙天原神話』ではなく、土地と一体化している『出雲神話』である。
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出雲神話④天弟降臨の地
「須佐之男命」(スサノオノミコト) 歌川国芳画
どこかしら天のはるか高い所にあるとされる高天原と、地上にある出雲(島根県)とをストレートにつなぐ神がいる。
アマテラスの弟、スサノオだ。
アマテラスの孫、ニニギの降り立った高千穂(宮崎県)が天孫降臨の地ならば、スサノオが降り立った出雲は天弟降臨の地といえなくもない。
父のイザナキが黄泉の国からもどって禊祓いをしているとき、左目を洗っているとアマテラスが、右目のときツクヨミが、そして鼻を洗っているとスサノオが生まれた。
・黄泉の国(よみの国) 死者が住むとされる地下の国
・禊祓い(みそぎはらい) 罪や穢(けが)れを除いて心身を清める行為
イザナキはアマテラスに高天原を、ツクヨミに夜の国を、そしてスサノオに海原を統治するよう命じる。
アマテラスとツクヨミはすぐに命じられた場所に赴くが、スサノオだけはいっこうに出かけようとしなかった。
亡き母・イザナミのいる黄泉の国へ行きたいと大人になっても泣き叫ぶばかりで、天地に甚大な被害を与えた。
黄泉の国にイザナミを連れ戻しにいって穢れにまみれたばかりのイザナキは、烈火のごとく怒ってスサノオを追放した。
スサノオは、アマテラスに別れを告げてから黄泉の国へ旅立とうと、天の浮橋をわたって高天原へ向かった。
・天の浮橋(あめのうきはし) 天と地の境にある橋
だが、暴風雨の神でもあるスサノオが大きな足音を立てて近づくにつれて、山や川が鳴り響き大地がぐらぐら揺れ動くので、アマテラスは弟が高天原を奪いに来たと警戒、武装して待ち構えた。
スサノオは、「別れの挨拶に来ました。他意はありません」と弁明するが、アマテラスは信用しない。
そこで、スサノオは身の潔白を証明するため誓約の勝負を持ちかけた。
アマテラスは、誓約に応じた。
・誓約(うけい) あらかじめ定めた二つの事柄のどちらが起こるかによって、吉凶や正邪、また事の成否などを判断すること。(三省堂 大辞林)
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48グループではポスト前田敦子21をAKBの渡辺麻友19と島崎遥香19、SKEとAKB兼任の松井珠理奈16の3人に競わせているようですが、『前田敦子はキリストを~』の著者は、ぱるると予想しています。
昨年のレコード大賞あたりからまゆゆが事実上センターのようだが、まだ「絶対的エース」とは呼ばれていないのかな。
AKBのセンターから女優のセンターへ。
楚々とした佇まいは吉永小百合さんを彷彿としませんか。
7年ものあいだ背負っていたものを下したからか、表情が明るい。
出雲神話⑤スサノオvsアマテラス
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アマテラスとスサノオの誓約(うけい)
アマテラスがスサノオの十拳剣(とつかのつるぎ)を受け取り、3つに折って噛み砕いて吐き出すと、その息の霧から三柱の女神(宗像三女神:むなかたさんじょじん)が生まれた。
次に、スサノオがアマテラスの玉飾りを受け取って、同じように噛み砕いて吹き出すと、その息の霧から五柱の男神が生まれた。
すると、アマテラスはおもむろに、「玉飾りは私のものだから、五柱の男神は自分の子である」と宣言する。
スサノオは、「十拳剣は私のものだから、宗像三女神は私の子。よって私は潔白です」と誓約の勝利を宣言した。
宗像三女神はアマテラスが十拳剣を噛み砕いて吐きだした息から生まれたのだが、アマテラスの子ではなく、十拳剣の持ち主であるスサノオの子供とみなされたのだ。
このことを、「物実(ものざね)交換」という。
それではなぜ、宗像三女神を生んだことがスサノオの誓約の勝利につながり、身の潔白を証明することになるのか。
こういうことらしい。
女神は「陰気」のあらわれであり、国を奪おうとする心は「陽気」の発露だ。
よって、女神を産んだスサノオには高天原を乗っ取ろうとする気持ちは一切なかったことが証明された。
一方、男神を生んだアマテラスには戦う意思があった。
誓約の勝利におごったスサノオは、高天原で勝手気ままな振る舞いを始める。
姉の大事な食料の糧である田の畔を壊したり、水を引く溝を埋めたり、神聖な御殿に糞尿を撒き散らしたりと、これみよがしに乱暴を働いた。
だが、アマテラスは先にスサノオを疑った負い目があって、他の神々の困惑と憎悪の視線から弟をかばい続けた。
「糞尿を撒き散らしたのは、酔っていたのでしょう。田の畔を壊し溝を埋めたのは、土地がもったいないと思ったのです」
そのことに気をよくしたスサノオの乱暴な振る舞いは、一段とエスカレートする。
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出雲神話⑥岩戸隠れ
宮崎県西臼杵郡高千穂町大字岩戸
アマテラスが、神に差し上げる衣装を機織女(はたおりめ)に織らせていたときのこと。
スサノヲはその機織小屋の屋根に穴をあけ、馬の皮を剥ぎ取って部屋の中へ投げ込んだ。
それを見て慌てふためいた機織女が、梭で陰部をついて死んでしまった。
・梭(ひ) 機を織る時、縦糸の間に糸を通すのに使う道具
機織女を死に至らしめたスサノオの暴挙に、さすがに怒ったアマテラスは、天の岩戸に閉じこもってしまう。
有名な、岩戸隠れである。
『古事記』は、この辺の事情に警鐘を鳴らす。
すなわち、アマテラスは天の浮橋を昇ってくる弟を見たとき高天原を奪いにやってきたと疑った。
一方、スサノオは姉の寛大な態度をいいことに暴虐の限りを尽くした。
「男は慢心にて身を滅ぼし、女は疑心にて身を滅ぼす」
太陽神であるアマテラスが身を隠したから、高天原と地上はすっかり闇に閉ざされてしまった。
そこで、八百万(やおよろず)の神々が天の安河に集まって、知恵者のオモイカネ(思金神)を中心に、アマテラスに岩戸から外に出てもらうための方策をさまざま思いめぐらした。
「三人寄れば文殊の知恵」ならぬ、「八百万の神々の知恵」を結集したのだ。
ブレーンストーミングをやるにしても、三人よりも八百万柱のほうが遙かに有利で、素晴らしい知恵に結晶するだろう。
ブレーンストーミングの結果、何をもって彼らはアマテラスを外に誘い出すことに決めたのか。
武力や威嚇ではない、美味しい物や財宝でもない。
それは、笑いだった。
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出雲神話⑦アメノウズメ
「笑い」といえば、例年は涙・涙の感動のフィナーレを演出をしていた「AKB48選抜総選挙」で、今年は指原莉乃(さしこ)というオモシロ人間が首位をとったことで、会場にどよめきと「笑い」が起きた。
彼女はよく「ヘタレ」とか「さしこのくせに」とか、からかいの対象になっているが、それはそのまま「愛されキャラ」ということではないか。
余人をもって代えがたい、とぼけた味がある。
似たような事件?を起こしながら、ややヘタレている感のある先輩・峰岸みなみに対して、その事をバネに、自身を「笑い」つつ周りからは明るく「笑われ」ながら、真剣にやるべきことに取り組んでいるような印象を受ける。
自虐的ながら前向きに自分を客観視できる、聡明な20歳だ。
「7月の福岡ドームでの卒業」を表明した篠田麻里子とともに、テレビ番組のインタビューを受けていたニューヨークから帰って来たばかりという(涙の演出の張本人)前田敦子も「笑い」ながら、「(今年は、)涙は出てこなかった」
アマテラスを岩戸から外へ誘い出すため、八百万の神々はどういう方法で「笑い」を巻き起こすことにしたのか。
平成を生きる者には具体的な像を脳裏に結ぶのはいたって難しいが、概略こういうことのようだ。
タマノオヤに玉飾りを、イシコリドメに鏡を作らせて、それらを真榊(マサカキ)に結び付ける。
アメノコヤネ(中臣氏・藤原氏の祖神)が祝詞を唱えている中を、真榊を手にした神々が岩戸の外に待ち構える。
岩戸のわきに、力自慢のアメノタヂカラオが隠れる。
準備万端整ったところへ登場するのが、高天原のトップアイドル・アメノウズメだ。
そして、神代のむかしのストリップショーが始まる。
ご覧になった方がいるかも知れない。
アメノウズメが頭に鬘(かずら)をかぶり、手草(たぐさ)をもった巫女の姿で、ステージ代わりの大きな伏せた桶に乗って、面白おかしく桶を踏み鳴らす。
「胸乳をかき出で 裳諸を陰に 押し垂れき」
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どうもAKB48における「センター」の使い方が混乱している。
じゃんけん大会にしても選抜総選挙にしても、優勝者は、「次に発売するシングルのセンター」であって、「年間を通したセンター」ではない。
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出雲神話⑧もどった光
アメノウズメは、踊っているうちに神がかりになった。
神が、神がかりになるのは至極当然のことだが……。
踊りはエスカレートし、アメノウズメのあられもない姿や動きが余りにもセクシーでおかしいので、八百万の神々は思い思いにはやしたて、大きな笑いの渦が高天原中にさんざめいた。
ちょうどその時、何羽ものにわとりが声をそろえて、「コケコッコー」、「コケコッコー」といっせいに時を告げたものだから、耳をつんざくほどのけたたましい騒ぎになった。
外のバカ笑いと喧噪を不審に思ったアマテラスは、「何ごとか」と戸をわずかに開けた。
すると、岩戸の前でアメノウズメが、ほとんど何も身につけずに腰をくねらせている。
「ウズメよ。太陽神であるわたしは岩戸に隠れていた。髙天原も地上も真っ暗なはず。おまえは何が面白くて踊っているのか。ほかの神々はなぜ、あんなに笑い転げているのか」
「アマテラス様より尊い神様がいらっしゃったからです。みんなで喜んでおります」
アマテラスの目の前に、真榊の鏡が差し出された。
そこには、なんとも高貴な神の姿が映っている。
アマテラスは、鏡のなかの顔をよく見ようと思わず身を乗り出した。
その一瞬、岩戸のわきに隠れていた力自慢のタヂカラオがアマテラスの手をつかんで、怪力でぐいと外に引っぱり出した。
そしてすぐにフトダマが岩戸に注連縄(しめなわ)を張って、「これで二度とお隠れになることはできません」と岩戸の前に立ちはだかった。
そのとき、タヂカラオが力任せに岩戸を開けた勢いで戸がはずれ、外れた戸はしばらく空に弧をえがいて地上に落ちた。
落ちたところが信州(長野県)の戸隠山で、そこには今も戸隠神社が鎮まっている。
こうして、髙天原も地上もふたたび光をとりもどした。
笑いが、世界の再生ともいうべき力を発揮したのである。
神々は、以前にもましてアマテラスを崇めるようになった。
お手柄のアメノウズメは、芸能の神となり神楽の祖となった。
さて、高天原が暗黒の闇となり大きな騒ぎになったのは、元はといえばスサノオの傍若無人な振る舞いが原因だ。
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⑩クシナダヒメ
出雲の地で、「荒ぶる神」は「英雄神」へと変貌を遂げる。
スサノオが出雲に下って最初に目に留めたのは、肥の河(現・斐伊川)の上流から流れてくる箸(はし)だった。
スサノオは上流にだれかが住んでいると思い、訪ねて行く。
しばらく川をさかのぼると、少女を真ん中にして老夫婦が泣いていた。
アシナヅチとテナヅチ、そして娘のクシナダヒメの3人である。
「どうして、お前たちはそんなに悲しそうに泣いているのだ」
「私たちには娘が8人いたのですが、ヤマタノオロチが毎年やってきては、娘を1人ずつ食べてしまいました。今年もまた、オロチがやってくる頃で、この8番目の娘がきっと犠牲になってしまいます。だから、泣いているのです」
「ヤマタノオロチとは、どんな奴なんだ」
「目は鬼灯(ホオズキ)のように真っ赤で、胴体には8つの頭と8つの尾が付いています。身体には苔とヒノキと杉が生えていて、その長さは8つの谷と8つの峰にも渡るほど巨大です。腹はいつも、血でただれております」
それを聞いて、髙天原で悪行の限りを尽くしたスサノオが、「彼らを救おう、オロチを退治しよう」と心に決めた。
そして自分がアマテラスの弟であることを明かし、クシナダヒメを妻にもらうことを条件に、「オロチを退治しよう」と申し出た。
「まことに畏れ多いことですが、娘を差し上げましょう」
時代は下るが、天孫・ニニギは高千穂に降臨してほどなく、国つ神(土着の神)の娘・コノハナサクヤビメを娶った。
スサノオも出雲に降り立って間もなく、国つ神の娘であるクシナダヒメに求婚した。
髙天原からやってきた神は地上に降り立つと、最初に出会った国つ神の娘を見初めて結ばれる。
新婦の父親は、もろ手を挙げて賛成だ。
このことは、何を意味するのだろう。
朝鮮半島か中国大陸から海を渡ってきた種族が、日本人の女性を娶ったと強調することによって、平和裏にその土地を支配下においたということを言いたいのか。
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「侵略の定義は学界的にも国際的にも定まっていない。国と国との関係でどちらから見るかで違う」とする安倍晋三氏の認識と似たような感覚だ。
なぜか、自分の国の歴史を正視できないらしい。
中国と韓国はもとより、欧米諸国の不審をも招いている。
17日、神戸における高市早苗氏の、「福島第一原発で事故が起きたが、それによって死亡者が出ている状況ではない。(原発は)最大限の安全性を確保しながら活用するしかない」という発言も暴論に過ぎる。
⑪ヤマタノオロチ退治
スサノオはアシナヅチの返答を聞くと、クシナダヒメを櫛(くし)に変えて、自分の角髪(みずら:髪全体を中央で二つに分け、耳の横でそれぞれ括って垂らす)に差した。
それから、老夫婦に指示した。
「できるだけ強い酒を造ってほしい。それから、垣根を張りめぐらせて八つの門を構えよ。門ごとに台を設えて、その上になみなみと酒を注いだ酒樽を置いて、待っていよ」
準備を整えて、隠れて待っていると、あたりの様子が一変。
空には不気味な黒雲が垂れこめ、稲妻が光り、雷鳴が轟いた。
地鳴りがして、大木の裂ける轟音が聞こえたかと思うと、四方の山々が崩れ落ちる。
と同時に、八つの鎌首をもたげた、凄まじい形相の巨大なヤマタノオロチが姿を現した。
ひとたび息を吐けば、それは嵐となり、大きな岩が飛んでいく。
スサノオは、その様子を息を殺して見つめていた。
ほどなく、オロチは酒の匂いに気がついたのか、地を這い空を窺いながら、匂いの出所を捜している様子。
酒の匂いに釣られるように、酒樽の方へ巨体を動かしていった。
それから、八つの頭をそれぞれ八つの酒樽につき入れ、飲み始める。
赤い目をさらに充血させ、がぶがぶと喉を波打たせながら8つの酒樽を飲みほしてしまったオロチは、したたかに酔いつぶれ、大いびきをかいて寝てしまった。
その時を待っていたスサノオは、足音を忍ばせてオロチに近づき、十拳釼(とつかのつるぎ)に手を掛ける。
そして、オロチの八つの頭をばらばらに斬り落とした。
胴体から、大量の血が吹き出す。
血の海に、オロチの八つの首がごろんごろんと転がった。
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世界遺産としての正式名称は、「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」
⑫草薙の剣
三種の神器 上から ・八咫鏡(やたのかがみ) ・天叢雲剣=草薙剣(あめのむらくものつるぎ=くさなぎのつるぎ) ・八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)
あふれでた大量の血しぶきは肥の河に流れ込み、川面が真っ赤に染まった。
スサノオは首を失ったオロチに止めを刺そうと、八つの尾を順番に斬り落としはじめる。
そして、いくつ目かの尾に十拳剣(とつかのつるぎ)を振り下ろした時、「ガチッ!!」という鈍い音がして、剣の刃が折れた。
最強を誇っていた十拳剣の刃が、である。
怪訝に思って、その尾を切り裂くと、中から光り輝く太刀が現れた。
取りだすと、あまりにも見事な太刀ゆえ、スサノオはアマテラスに献上しようと高天原に出向いた。
これが三種の神器の一つの草薙の剣(天叢雲剣)であり、今は熱田神宮(愛知県名古屋市)にご神体として祀られている。
こうして、高天原では乱暴の限りを尽くした「荒ぶる神」・スサノオは、ヤマタノオロチを退治することによって出雲地方を救った「英雄神」となり、オオクニヌシをはじめとする出雲の神々の祖神となった。
そもそも八つの首と八つの尾をもつヤマタノオロチとは、何を表わしているのか。
肥の河が真っ赤に染まる、とはどういう意味なのか。
これらは単なる奇想天外な作り話ではなく、当時の出雲地方の地形や産業を踏まえた伝承なのだそうだ。
ある日、スサノオと妻のクシナダヒメが、愛の巣を探し求めるために周辺を歩き回っていた時、すばらしく見晴らしの良い土地を見つけた。
思わず、スサノオは叫ぶ。
「おお~、ここは何と清々しい土地なんだ!!」
その地を、「清々(すがすが)しい」の読みから「須賀」と名づけ、ふたりのための宮殿を建てることにした。
やがて宮殿が完成したとき、ふたりを祝福するかのように、むくむくと雲が湧き上がってきた。
その情景を、スサノオは三十一(みそひともじ)文字に詠む。
〇八雲立つ 出雲八重垣 妻籠みに
八重垣作る その八重垣を
和歌(短歌)のはじまりである。
『万葉集』、『古今和歌集』から斎藤茂吉の『赤光』、はては俵万智の『サラダ記念日』などへ連綿と受け継がれていく。
スサノオは、アシナヅチを須賀の宮殿の長に任命した。
この場面からしばらく、愛すべきスサノオに活躍の場はない。
いよいよ、出雲神話の主役・オオクニヌシの出番である。
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大国主①八十神と兎
いよいよ出雲神話の「不動のセンター」、出雲大社の「主神」・オオクニヌシ(大黒様)のお出ましだ。
スサノオは高天原神話でアマテラスに次ぐ準主役だったように、出雲神話においても主演をオオクニヌシに譲っている。
両神話において、スサノオはド派手な演技により、「助演男優賞」の呼び声が高かったようだ。
さて、オオクニヌシは、出典や、その出典における成長過程や役回りに応じて、大国主神(おおくにぬしのかみ)、大穴牟遅神(おおなむぢ)、八千矛神(やちほこ)、葦原色許男神(あしはらしこを)、大物主神(おおものぬし)、大国魂大神(おほくにたま)など、実にさまざまな異称をもっている。
『古事記』において4つ、『日本書紀』と『出雲国風土記』ではそれぞれ6つずつ、少なく見積もっても16もの称号を与えられているのだ。
葦原中つ国(地上)におけるオオクニヌシの存在が、いかに大きかったかということだろう。
だが複雑で多種多様な呼び名を、ここでは人口に膾炙していることでもあるし、「オオクニヌシ」で通したい。
私はかつて、ヨーロッパの文学や美術を味わうためには、底流をなす『ギリシャ神話』と『ローマ神話』に通じておかなければならないと意気込んで読みすすめた。
そのとき、神話に登場する無数の神々の名前を覚えるのがどれだけ苦痛だったことか。
目が回って、か弱い脳ミソが何度もパンクした。
オオクニヌシにはたくさんの腹違いの兄弟、八十神(やそがみ)がいた。
ある日、八十神が、美形で評判のヤガミヒメに求婚しようと因幡の国(鳥取県)に向かったとき、従順でおとなしいオオクニヌシに自分たちの荷物を全部持たせた。
まるで従者扱いである。
一柱の女神にプロポーズするために、何人もの兄弟神が連れだって出かけるというのも理解しがたい。
どういうことか。
気多の岬(鳥取市)に着くと、赤裸の兔が苦しそうな様子で伏せっていた。
八十神は、「海水を浴びて、高い山の上で強い風に当たって寝ていろ。そうすれば治る」と教えた。
その通りにすると、海水が乾くにつれて身体の皮がひび割れ、痛くて仕方がない。
痛みに苦しんで泣いているところに、オオクニヌシが、背負いきれないほどの荷物を持たされてやって来た。
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ルーピー鳩山由紀夫が香港フェニックステレビのインタビューに対し、尖閣諸島(沖縄県)について、「中国側からみれば、盗んだと思われても仕方ない」と語った。
日本ではもちろん「言論の自由」は保障されているが、バカでもチョンでも元首相の発言ともなると国際政治における影響が大きい。
中国が、日本国元総理の「ありがたいご発言」を国内外に向けてどれだけ吹聴することか。
これは、首相退陣後、2度目の国賊的発言だ。
在任中は、アメリカとの関係を滅茶苦茶にした。
大臣以上の経験者には、「言論の自由」に一定の枠をはめられないものか。
「国をもたせる」ためにも、今すぐにルーピーを保護監察下におかなければならない。
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なぜこんな手合いを党代表とし総理大臣にまで押しあげたのか、そこに民主党の致命的な欠陥があるのではないか。
まさか、結党資金を鳩山兄弟が母親から受け取っていた莫大な「子供手当て」に頼ったからだけではあるまい。
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大国主②因幡の白兎
ワニの背中を跳ぶ白兎
「ウサギさん、どうして泣いているの?」
オオクニヌシが、たずねた。
「ぼくは隠岐の島に住んでいるのですが、ずっとこちらに来たいと思っていました。でも、海を渡る方法がありませんでした。そして、ある日、ある計略を思いついて、ワニたちに持ちかけたのです。
『ワニさんたちとぼくたちウサギと、どちらが仲間が多いか比べてみましょうよ。仲間をみんな集めて、ここから気多の岬まで並んで下さい。ぼくが、ワニさんたちの背中を跳びながら数えましょう』
ワニたちは海面に一列に並んでくれました。ぼくはワニの背中を跳んで、こちらへやって来ました。そして、最後のワニの背中を跳びはねて陸地に下りようとした時、つい本心を漏らしてしまったのです。
『や~い、お前たちは騙されたんだぞ~』
すると、怒ったワニたちはぼくを捕えて、皮を剥いでしまいました。騙したのだから、自業自得です。
それから、先ほど通りかかった八十神に教えられた通りにしたら、このありさまです」。
オオクニヌシは、やさしく教えた。
「川へ行って、真水で傷をきれいに洗いなさい。それから、蒲(ガマ)の花粉を敷いて、その上で転がりなさい。きっと治るよ」
兎がその通りにすると、身体がすっかり元通りになった。
そういうこともあって、オオクニヌシは、「医療の神」としても崇められている。
兎はのちに、白兎神(しろうさぎのかみ)と呼ばれるようになる。
また、兎はオオクニヌシに予言した。
「ヤガミヒメは、八十神ではなく、あなたを選ぶでしょう」
なお、この神話から、白兎を祭る白兎神社(はくとじんじゃ 鳥取市)は、「未知の異性との出会い」ではなく、「意中の人との結縁」にご利益があるとされている。
八十神たちはヤガミヒメに求婚するが、きっぱりと断られた。
「私は、オオクニヌシ様と結婚します。どうぞ、皆さんはお引き取りください」。
怒った八十神は、オオクニヌシを殺そうとする。
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大国主③死と再生
伯耆国(ほうきのくに 鳥取県)の手前山(てまのやま)の麓にさしかかったところで、八十神はオオクニヌシに命じた。
「赤い猪がこの山にいる。われわれが谷に追い落とすから、お前は下で待ち受けて猪を捕えよ」。
オオクニヌシが腰を落として待ち構えていると、火で真っ赤になるまで炙った猪に形の似た大きな石を転がし落とした。
オオクニヌシはその石を抱き止めると、瞬時にして全身を焼かれて即死。
息子の死を聞いた母親のサシクニワカヒメは嘆き悲しんで高天原に昇り、天地開闢の神カミムスビに救いを求めた。
カミムスビは、キサガイヒメ(赤貝の女神)とウムギヒメ(ハマグリの女神)を遣わした。
キサガイヒメの殻の粉末とウムギヒメの乳汁を混ぜ合わせた膏薬のおかげで、オオクニヌシは息を吹き返す。
しかも、意地悪な兄弟神に付き従うだけの気弱な少年から、見目麗しい青年に成長していた。
オオクニヌシが生き返ったことを知った八十神は、再び殺害するための計略をめぐらす。
そして、大木を切り倒して楔(くさび)で割れ目を作った中にオオクニヌシを入れ、楔を引き抜いて挟み殺してしまった。
サシクニワカヒメが泣きながら探し回ってその大木を見つけると、すぐに木を裂いて息子を引き上げ、今度は自分の力で立派な男神に蘇生させる。
この辺は、オオクニヌシが死と再生を繰り返しながら一皮ずつむけていく、成長ドラマになっている。
「あなたはここにいたら、八十神によっていつか殺されてしまいます」
つらい別れに耐えて、母は息子を木の国(紀伊の国 和歌山県)のオオヤビコの元へ逃した。
しかし、八十神がしつこく追いかけて、オオヤビコにオオクニヌシを引き渡すよう求めた。
オオヤビコは、オオクニヌシにスサノオのいる根の堅州国に向かわせる。
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7/1 富士山、山開き。
これ、ビックリ!!
大国主④試練か殺意か
東京 大阪 隠岐 福岡 と結ぶ
オオクニヌシがスサノオの屋敷へやって来ると、娘のスセリビメが出て来た。
ふたりは互いに一目で恋に落ち、その場で、すぐに男女の交わりをして結婚。
神代の恋人たちは、清々しいほど一直線で屈託がない。
それから、スセリビメは、オオクニヌシを父に紹介した。
「父上、立派な男神が来られました」
スサノオはなぜか、オオクニヌシを、毒蛇がとぐろを巻いている部屋に通す。
オオクニヌシが毒蛇を見てたじろぐと、スセリビメが、スカーフのような布をオオクニヌシに持たせた。
「もし毒蛇が襲ってきたら、このひれ(薄く細長い布)を3度振って追い払って下さい」
言われた通りにすると、荒々しく攻撃的だった毒蛇がすっかり大人しくなって、無事に一晩を過ごすことができた。
次の夜は、ムカデと蜂のいる部屋へ案内されたが、やはりスセリビメのひれのお蔭で事なきを得た。
しかし、試練なのか嫌がらせなのか殺意なのか定かではないが、スサノオのオオクニヌシに対する荒っぽい仕打ちは続く。
ある日、スサノオはオオクニヌシを広い野原へ連れ出すと、音の鳴る矢を思いっきり遠くへ放って、その矢を取って来るように命じた。
だが、オオクニヌシが矢の飛んだ方向に走って行くと、スサノオは野原に火を放つ。
オオクニヌシがなす術もなく恐怖の中で途方に暮れていると、どこからかネズミが現れて、「内はほらほら、外はすぶすぶ」(穴の内側は広い、穴の入り口はすぼまって狭い)という。
意味を解したオオクニヌシが、足元の土を強く踏むと、地面の中にぽっこり穴が空いていて、そこに身を隠すことができた。
そして、野火が頭上を通り過ぎるまで、穴の中に身を潜めた。
野火が過ぎ去ると、オオクニヌシとネズミは外に出た。
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