二十二帖 玉鬘
光源氏.太政大臣 35歳4月~10月
玉鬘 21歳 京・九条
映画 『源氏物語 千年の謎』 2011年
光源氏と同衾していた夕顔(芦名 星)に襲いかかる、
嫉妬に狂った六条御息所(田中麗奈)の生霊。
死者の霊が【死霊】、
生者の霊魂が肉体を離れて飛び回る霊が【生霊】。
光源氏 夕顔 玉鬘
大宰少弐 乳母 豊後介
三条、
「姫君はもう立派に成人されました。
乳母さまに、右近さまがいらっしゃることを知らせてきます」
乳母が驚くまいことか。
「そうですか、屏風の向こうに右近さまが、右近さまが--。
うれしい奇遇ですね。
それもこれも、『観音様』のおかげです」
双方を隔てていた屏風を取り払うと、乳母と右近は互いに駆け寄ってひしと抱き合った。
夕顔を想う者同士の、20年以上の時の流れをへた邂逅である。
言葉にならず、いつまでも泣いている。
乳母、
「夕顔さまは、どうしておられますか。
せめて夢の中ででもお会いしたいと長年ねがっておりました。
しかし、都から遠い筑紫におりましたので、風の便りにも夕顔さまのお噂を伝え聞くことがございませんでした。
恥ずかしながら、老残の身をこの世に生きながらえております。日々、悲しいことばかりでございます。
ただ残された幼い姫君(玉鬘)がいじらしく気の毒で、20年前、夫(大宰少弐)の赴任のさい筑紫の大宰府へお連れしました」
右近は、乳母の悲しみが如何ばかりかと案じつつも、
「夕顔さまは、とうにお亡くなりになられました」
日が暮れかかったころ、御灯明の用意を済ませた豊後介が乳母たちをせかせた。
「早く、(長谷寺に)参りましょう」
右近が申し出る。
「ご一緒に参りませんか」
お互いの供の者が怪訝に思うかも知れないので、乳母たちが一足先に長谷寺に向かった。
右近が前を歩いている乳母一行に目を凝らした。
すると、一行の中に際だって優美な後ろ姿の女人が歩いている。
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8月11日は「山の日」
『夜叉神峠』を登り切ったとき目に飛び込んできた
『鳳凰三山』の息を呑むような威容が忘れられません。
私にとって、いい人生とは、どれだけ美しい風景を
目に焼き付けてきたかで決まるような気がしています。
鳳凰三山を縦走しました。
地蔵岳2764m 観音岳2841m 薬師岳2780m