コロッセウム
ローマに残る古代ローマ帝政期の円形闘技場。
西暦80年頃に完成。
内部は4階造りで、高さ48.5m。
約5万人を収容する階段状観覧席が、
放射状に設けられている。
人々と皇帝は、剣闘士と剣闘士あるいは猛獣と
剣闘士との血みどろの戦いを楽しんだ。
突然、ちっぽけな私を押し潰すように、眼前に黒い巨大
な物体が姿を現した。
黒々とした大きな塊が前方に立ちはだかり、異郷人を
威嚇したのである。
驚愕し、戸惑いながらも暗黒に目を凝らした。
コロッセウムである。
巨大なコロッセウムの廃墟である。
その途方もなく巨大な廃墟を見上げたとき、私は、
2千年前の古代ローマの闇夜に、茫然自失として
立ち尽くしていた。
暗澹たる歴史の深遠のただ中に放り込まれた、哀れな
遠来の東洋人であった。
ひとしきり激しくなった冷たい雨の中で、私は、彼我の
文明の底知れぬ隔たりを感じていた。
その奇怪で、おどろおどろしい瓦礫の山ほど、私に、
西洋文明との違和感、取り付く島のない
断絶感を覚えさせたものは、いまだかつてない。
私は、奈良に遊ぶときは光明皇后ゆかりの『新薬師寺』
の宿坊に泊まることが多い。
皇后が夫、聖武天皇の眼病平癒を祈願して建立
された古寺である。
あまり広くない境内の菩提樹の下に、古色蒼然と
した会津八一の歌碑が建っている。
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