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Channel: 吉備路残照△古代ロマン
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朝顔⑭雪の玉

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第二十帖 朝顔

 

光源氏の内大臣時代 32歳 九月~冬

 

御簾みす

平安時代の寝殿造りなどで、目隠しに用いた。

宮殿や神殿などに用いるすだれ。

 

 

3.汗衫かざみ     4.衵あこめ

 

 

衵姿女童めのわらわ

「衵」とは、女性が肌近くに着た丈の短い衣服。
女童は衵を「汗衫」の下に着るが、上着とすることもあった
衵だけを着ている姿を「衵姿」という。

 

風俗博物館   京都市

 

 

○ ● ○  ○ ● 〇

 

 

降り積もった雪の上に、今もちらほら雪が舞っている。

 

白一色に覆われた松と竹の形状の違いが趣深く見える夕暮れ、源氏の容姿が一段と光り輝いて見える。

 

紫の上に、


「昔から人々が称賛してきた花や紅葉の季節よりも、冬の夜、冴えわたる月の光に照らされながら雪が舞い落ちてくる光景のほうがよほど情緒深いものです。

 

色のない世界ですが、まことに身に染みます。

あの世のことまでが思いやられるところなど、ほかの季節にはありません。

『冬は無味乾燥でつまらない』などと書き残している人の心のなんと浅いことでしょう」

そういうと、源氏女房たちに御簾を巻き上げさせた。



 

 

源氏は、女童(以下、少女)たちを庭に下ろして、雪ころがしをさせた。

 

活発な少女たちは、小さな歓声を上げながら小雪の舞う庭に駆け下りた。

少女たちのかわいらしい姿や髪の形なとが、清々しい月の光に照り映えている。

 

色とりどりの「衵」を着て楽しそうにおしゃべりをしている年かさの少女たち、真っ白な雪を背景にして可憐さが引き立っている。

 

小さい子たちははしゃいで走り回っているが、そのなかの一人が扇を落とした。

 

 

 

 

少女たちが雪の玉をもっと大きくしようと欲張って転がしているうちに、だんだん転がるスピードが落ちてついに止まってしまった。

 

縁先に残っている少女たちは、止まった雪の玉を指差しながら可笑しそうに笑っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

絶望名言

快適な暮らしの中で想像力を失った人たちは、
無限の苦悩というものを認めようとはしない。
でも、ある、あるんだ!
どんな慰めも恥ずべきものでしかなく、
絶望が義務であるような場合が。

ゲーテ

ドイツの詩人、小説家、劇作家、政治家。

代表作に、「若きウェルテルの悩み」、「ファウスト」など。

 

 

 

 

「ギョーテとは俺のことかとゲーテ言い」 斎藤禄雨

 

 

 

 

 

 

 


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