第十九帖 薄雲
光源氏内大臣時代 31歳冬~32歳秋
格子
廂の周囲の柱間に設ける建具で、
多くは廂ひさしと簀子すのこの間にはめられる。
格子は場所によって一 枚格子と二枚格子があり、
表裏ともに黒塗で その間に薄い板が挟んであるのが正式。
風俗博物館 京都市
「本当にわたしのことがお嫌いなのですね。
情けを知る人は、そのような振る舞いはしないものですよ」
源氏はそう言いのこして、部屋を出て行った。
紫の上のいる【西の対】に戻ったが、物思いに沈んでいる源氏はすぐには部屋に入らず、縁側で横になって薄暗い庭を眺めていた。
「わたしには相変わらず無理な『禁断の恋』に熱中しがちだ」
過去に経てきた恋愛を振り返っている。
:(例) 源氏が初めて恋したのは父・桐壺帝の妃(藤壺の宮)で、
いま夢中になっている梅壺女御は息子(冷泉帝)の妃
「女御への想いに比べると、亡き藤壺宮との『秘め事』ははるかに危険で罪深いことであった。
もしかしたら、若気の至りということで神仏は許してくださったのかも知れない」。
紫の上に、
「女御が、秋に心を寄せていらっしゃるのも感心されますし、あなたが、春の曙に心を寄せていらっしゃるのももっともです。
季節折々に咲く木や草の花を鑑賞しがてら、あなたのお気に入るような催し事などをしてみたいものだと、公私ともに忙しい身には相応しくないが、何とかして望みを遂げたいものですと、ただ、あなたにとって寂しくないだろうかと思うのが、気の毒なのです」
などと親密にお話申し上げになる。
「山里の人も、どうしているだろうか」などと、絶えず案じていらっしゃるが、窮屈さばかりが増していくお身の上で、お出かけになること、まことにむずかしい。
このブログを始めたキッカケになった拙文です。
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