第十九帖 薄雲
光源氏内大臣時代 31歳冬~32歳秋
花鳥風月の「細密画」 伊藤若冲
養父の源氏からいきなり艶めいたことを聞かされた梅壺女御は、几帳の向こうで困惑しきっているようだ。
源氏は亡き母・六条御息所の愛人だった男である。
さっき、母親との恋愛を「つらかった」と話したばかりではないか。
どう答えればいいのか、言葉が見つからない。
しばし沈黙が流れると、
「なにも仰ってくださらないのですね。情けないことです」
源氏はそういうと、意外な方面に話題を転じた。
「来世における心の安寧のため、朝廷の仕事が一区切りついたら、山にこもって仏道に精進しようと考えております。
今になって悔やんでももはや仕方のないことですが、わたしはこの世を生きてきた中で、美しい記憶として残る「思い出」を何ひとつ持ち合わせておりません。
ただただ、自分の感情の赴くままに日々を暮らしてきました。
わたしには成長を楽しみにしている幼い姫がおりますが、わたしが死んだ後、けっしてお見捨てにならないようお願いいたします」
梅壺女御は、几帳の向こうで笑みをたたえ頷いていた。
「この年齢になると、もはや世の中のことに望みなどありません。
これからは花鳥風月を友として、四季折々の季節の移ろいを何よりもの楽しみとして生きてゆこうと思っております」
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