・朝餉あさがれいの間 帝が食事をする部屋
・台盤所だいばんどころ 女房たちが食事の準備をする部屋
【絵合】は台盤所で催された。
のちの冷泉帝をあやす桐壺帝。
左右に控えているのは冷泉帝の実の両親。光源氏と藤壺女御。
月岡芳年画 「在原行平 松風 村雨」 国会図書館所蔵
「中納言行平朝臣左遷須磨浦逢村雨・松風ニ蜑戯図」
光源氏のモデルの一人とされる在原行平 (818~893年 在原業平の兄) も、弟に負けず劣らずの艶福家。
流謫の地・須磨で、松風と村雨の美人姉妹と恋仲になる。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
【絵合】当日、冷泉帝に招かれて源氏と頭中将が参内すると、たまたま源氏の異腹の弟である帥の宮そちのみやが『殿上の間』にいた。
・殿上の間 清涼殿にある殿上人の詰め所
もしや、源氏があらかじめ声を掛けていたのだろうか。
帥の宮は浮世離れした風流人で、とりわけ絵に親しんでいる。
帝が、帥の宮を絵の優劣を判断する「判者」に指名した。
藤壺尼宮の御前で私的に催されたのに続いて、いよいよ公的な意味をもつ冷泉帝の御前での【絵合】がはじまった。
私たちには考えにくいが、これから始まる対戦は源氏と頭中将との権力闘争の一環として描かれている。
王朝風とでもいうのか、候補者の名前をやかましく連呼する味もそっけも意味もない当世の選挙戦に比べたら遙かに優雅である。
【梅壺】チームも【弘徽殿】チームも、さすがに秀作を揃えてきた。
しかも、左右にずらりと並ぶカウンターパート女房が掲げてプロモートする絵のレベルがことごとく拮抗している。
「判者」の帥の宮は、対戦ごとに頭を抱えてしまった。
絵画に精通している尼宮が「朝餉の間」の障子を開けて【絵合】の様子を眺めているのに気がついて、源氏はうれしくまた心強かった。
ついに勝敗がつかないまま、夜の帳が下りた。
まだ、3組残っている。
三番手と二番手はほぼ拮抗。
決着は、主将同士の対戦に持ち越された。
まず、【梅壺】チームの主将が、不遇時代の源氏が手すさびに描いた『須磨絵日記』をひときわ高く掲げた。
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オバマ前米大統領とは距離があるといわれていた安倍晋三さんは、トランプ氏とは馬が合いそう。
両者とも、気に入らない新聞社やメテレビ局には圧力をかける。
日本だけでなくアメリカにおいても、権力者が独善的に