末摘花すえつむはな=紅花 ベニバナ
象の鼻のような末摘花の鼻先は、赤みがかっていた。
漫画家・故赤塚不二夫氏による末摘花のイメージ。
紫式部の悪意すら感じる容姿に描かれた末摘花を、映画やテレビドラマで演じた女優はだれだ?
蓬 よもぎ
常陸宮邸の庭は、蓬などの雑草が荒れ放題に生えていた。第15帖「蓬生よもぎゅう」は、蓬が荒れ放題に生えていたことから。帖名は、その帖の「和歌」のなかで使われている言葉から採ることが多い。
築地塀が崩れ落ちてキツネが棲みつき、朝・夕はフクロウの鳴き声が不気味である。
盗人たちは邸内をのぞき込むこともなく素通りした。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
顔の真ん中に象の鼻をぶら下げた究極の醜女に描かれている末摘花も、宮家ながら厳しい貧窮生活の中で源氏の来訪をひっそりと待ちわびていた。
末摘花の非現実的なまでに醜悪な容姿の描写には、作者である紫式部の悪意すら感じる。
わら人形に五寸釘を打つような思いで、ある忌ま忌ましい女房に意趣返しをしていたのかもしれない。
父の常陸宮が亡くなってからというもの、経済的支援者のいない末摘花は年を追って困窮の度を深めた。
邸の庭は荒れ放題で、蓬などの雑草が所かまわず伸びている。
そんな時、ひょんなことから源氏が通うようになった。
常陸宮邸は宮家らしい体裁を整え、庭は四季折々の花々が華やかに妍を競うようになった。
当時、その家が栄えているか零落しているかは、庭がきちんと管理されているか雑草が伸び放題かで判断した。
源氏は末摘花を気に入って足しげく通っていたわけではないが、いつからともなく、なんの挨拶もなく姿を見せなくなった。
使いの者が来るでもなく、便りもない。
源氏の経済的支援がなくなった常陸宮邸は、元の木阿弥。
年月が経つにつれて、ふたたび困窮の度を深めていった。
ほどなく、地方で財を成した受領たちがやって来るようになる。
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