埋草③葵の上×六条御息所

　家柄別・主要登場人物

　風俗博物館　京都市
出産に苦しむ葵の上に付き添う光源氏。
出産直後、葵の上は六条御息所の「生霊」に襲われた。

　第九帖『葵』から　車争い
「車争図屏風」東京国立博物館　　車争い/葵の上vs六条御息所

葵の上は妊娠のため気分が優れないが、周囲の勧めで「葵祭り/賀茂祭」の見物に牛車で出かけた。
一条大路は、「禊の儀式」に同行している光源氏をひと目見ようとやってきた見物の牛車で立て込んでいて、車を止める場所がない。

葵の上の従者たちは前の車を押しのけて止めようとしたが、それは六条御息所の牛車だった。
双方の従者が乱闘となり、無勢の御息所の牛車は破壊される。
足が遠のいている光源氏の姿を見たいとお忍びで来ていた御息所は、都中に醜態をさらした。

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葵の上は正妻ゆえ第一グループに入れるべきなのかも知れないが、政略結婚ということもあってか、源氏との精神的なつながりが弱い。

結婚当初から、ずっと冷戦状態がつづいた。

彼女なりの理由はある。

幼少期から東宮妃候補として育てられたので、東宮の異腹の弟で臣籍に降っている源氏との結婚は身分的に不満だったのだ。

しかも結婚して間もないころ、夫の心の中には、「だれか他の女がいる」ということに気づいてしまう。

一方、源氏は左大臣家に寄り付こうともしなかった。

長い時を経てようやく源氏と葵の上のあいだに心が通い合うようになり、葵の上が身ごもって出産する。

そこへ突然、六条御息所の「生霊」が現れて葵の上に襲いかかった。

御息所はかつて、葵祭のときの「車争い」で、葵の上にいたくプライドを傷つけられたことがあった。

あの時なぜ、葵の上は牛車を止める場所を御息所から奪おうとしている自分の従者たちを止めなかったのか。

赤ん坊(夕霧)は無事に産まれたが、母親は絶命した。