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Channel: 吉備路残照△古代ロマン
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澪標⑲六条御息所、死去

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大殿油 おほとなぶら
宮中や貴族の邸宅でともした油の灯火


几帳 几帳きちょう 目隠し


六条院  六条院の部屋割り
六条御息所の邸宅を譲り受けて造営した『六条院』は、光源氏栄耀栄華のシンボル。
4つの町に分かれており、それぞれ春・夏・秋・冬の季節に合わせて庭が造られていた。


春の町には光源氏紫の上、夏の町には花散里夕霧、秋の町には秋好中宮 (六条御息所の娘/前斎宮)、冬の町には明石の君がそれぞれ住んでいた。

   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇

わが身を思い返しても、が生きるということは身に染みて辛いものでございました。
どうかどうか、色恋とは関わりなくを支えてやってくださいませ」

源氏
は、苦笑しながら

 
御息所は、いいにくいことをおっしゃる。
のようなものでも、齢を重ねて少しは思慮深くなっております。

昔のままの色好みのように言われるのは心外です。
そのうちにお分かりいただけましょう」



外はすでに夜の帳がおり、部屋には大殿油の灯りがほのかに揺らめいている。

源氏がそっと几帳の隙間からのぞくと、かすかな灯りのなかに尼削ぎにした御息所の髪が美しく浮かんでいる。


病身の御息所が脇息に頬杖をついて寄り伏している姿がはかなげで、胸を打った。

そばに付き添っているのが斎宮なのであろう。
 
小柄で、雰囲気が可愛らしい。

薄暗くてはっきりとは見えないが、器量も良さそうだ。


心惹かれるが、「御息所に釘を刺されたばかりなのに」と思い直した。


御息所が咳こんだ。

苦しくなりました。恐れ多いことですが、もうお引き取りくださいませ」

「おいたわしいことです。お具合は如何ですか」
 
源氏が几帳のなかを覗こうとするので、
 
わたしの最期の時にお越しくださいましたのは、まことに深いご縁であります。
また、気にかかっていたことをお話しさせていただき安心しました」

 
桐壺院前斎宮をご自分の皇女たちと同じように考えておられましたので、わたしと思うことにいたします。
わたしもいい齢になりましたが、年頃のがいないので寂しく思っていたところでした」



それから七、八日後、六条御息所は静かに息を引き取った。




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野趣ゆたかな「渉成園」のほうが、琴線に触れてペタしてね
 


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