....光源氏と惟光/これみつ
2008年 たけふ菊人形展:『源氏物語絵巻』から
惟光や良清ら光源氏の従者たちは、明石の君の父親と同じ受領階級/地方官=国司・国守、知事に相当
半蔀車/はじとみぐるま
牛車(ぎっしゃ)の一種。上皇・摂関・大臣・大将が使用した
in宇治市源氏物語ミュージアム
浜の館跡
明石入道の邸宅跡
須磨から明石についた光源氏は、「浜の館」で暮らすことになる
兵庫県明石市大観町 善楽寺戒光院
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
思えば、明石の君は、惟光(これみつ)らほんの数人の従者とともに侘びしく暮らしていたころの源氏しか知らないのだ。
たしかに、えもいわれぬ気品のある顔立ちをしていた。
しかし、華麗な衣装に身を包んでいたり、おおぜいの女房たちにかしづかれたりして何不自由なく暮らしている源氏を目の当たりにしたことは一度もない。
亡き桐壺帝の皇子だが臣籍に降っていることは父の入道から聞いてはいたが、今、目の前にしているような絶大な権勢を誇っている姿などもちろん想像したこともなかった。
あれこれ考えているうちに、少しずつ気持ちが晴れてきた。
「たまたま参詣の日が重なったのは、産まれたばかりの姫君がわたしたち両親のためにとりもってくれた縁なのかもしれないわ。
それにしても、さっき身分の軽い者が源氏の君にお仕えしていることをさも誇らしそうに話していたのに、片時も忘れずにお慕いしているわたしがまるで御参詣のことを知らなかったとは」
明石の君は不意に寂しくなって、両の目から涙があふれた。
惟光と良清(よしきよ)をはじめ、何人か見知っている源氏の従者たちの顔もある。
明石にいたころは女手のないなか、源氏のために食事の用意や掃除、洗濯など日常的な家事を甲斐甲斐しくこなしていた。
それが、今はそろって颯爽とした馬上姿。
あざやかな緋色の服装のためでもあろうか、まことに華やかな雰囲気を身にまとっている。
それぞれ、十名ほどの部下を率いているようだ。
行列の中央あたりに源氏をのせた牛車が悠然と進んでいるが、明石の君は心が締め付けられてまともに見ることができない。
源氏物語が面白いほどわかる本―日本が誇るラブロマンがマンガより楽しく読める/中経出版
読書と日本人 (岩波新書)/岩波書店
一般公募の「標語」があるとは知らなかった いざ、読書。
東京・江戸川の「本のソムリエ」はスゴイ!!