なるほど、こじんまりとした盆地にひろがる京都の中心部からは、広々とした海原や天空に連なる巨大な山塊などの一大パノラマは見るべくもない。
現光寺(源氏寺)
阪神・淡路大震災による倒壊後、再建。浄土真宗本願寺派
源氏が都を落ちて侘び住まいした住居跡。神戸市須磨区
「須磨」の帖は、ここでの話。もうすぐ、「明石」へ旅立つ。
近くに、『平家物語』ゆかりの須磨寺 ← 一見の価値あり
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「わたしがひどく沈んでいる様子をみれば、彼らはきっと私のことが心配になるし心細くもなるであろう。
彼らもまた、愛しい妻や子供たちを都に残して、須磨あたりまでわたしと行動を共にしてくれているのだ」
そのことに思い至ると、源氏は努めて明るい表情で彼らと接しようと心に決めた。
冗談を言い合ったり、ふざけ合ったり---。
音楽、絵画、文芸、舞い、学問、書道。
源氏はどれをとっても見事にこなす。
暇を見つけては、紙を継ぎ足して和歌を何首も認めたり、さまざまな色の紙に絵を描いたりしては、それらを屏風に貼り付けて楽しんだ。
絵を描くとき、昔は地方に出かけた者たちから土地土地の山や海の風景を聞いてはるかに想像するほかなかったが、今は目の当たりに土産話では思いも寄らない広大な須磨の海が広がっている。
たしかに、盆地にひろがる京都の中心部から見える景色は閉鎖的でこじんまりとしている。
源氏は、 季節によって微妙に変化する磯のたたずまいや海原をこちらに押し寄せてくる複雑な波の様相などを何枚も何枚も心ゆくまで描いた。
それらの絵のあまりの素晴らしさに、従者たち、
「名人と言われる千枝や常則などを呼んで、彩色して欲しいものだ」
ある日の夕まぐれ、源氏はなんとはなしに海をみわたせる廊下に出た。
沖合を、なん艘もの舟に乗り合わせた人々が、大声で楽しげに歌いながら漕いで行くのが小鳥たちのように見える。
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中東と北アフリカから110万人以上もの難民・移民を受け入れているドイツ(人)に対する、目を覆うばかりの、
恩を仇で返す暴動や集団レイプや窃盗--