在原行平関連系図 動画像編集ソフト付
弟の業平(『伊勢物語』の主人公)は後世、「今業平 いまなりひら」という言葉ができたほどの美男子。
女性でいう「今小町 小町娘」だが、両方ともすでに死語?
関守稲荷神社(須磨の関跡)
喜多川歌麿画 『在原行平と松風』
月岡芳年画 「在原行平 松風 村雨」
「中納言行平朝臣左遷須磨浦逢村雨松風ニ蜑戯図」
光源氏のモデルのひとりである行平もなかなかの艶福家。
流謫の地・須磨で、松風と村雨のふたりの女性と恋仲に。
国立国会図書館デジタルコレクション
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
朱雀帝の意向を無視して政治向きのことを取り仕切っている祖父の右大臣と母の弘徽殿大后の横暴ぶりを、「困ったことだ」と苦々しく思ってはいるものの、抑えることができない。
須磨では、いつともなく物思いを誘う秋風が吹きはじめた。
海はすこし離れているが、行平中納言(在原行平)が、「関吹き越ゆる」と詠んだ波の音が、夜毎、耳元に身に染みるように聞こえてくる。
〇 旅人は 袂涼しく なりにけり
関吹き越ゆる 須磨の浦風 在原行平
須磨の関を越えて吹いてくる須磨の海辺からの風によって、旅人の袂(たもと)が涼しくなった (行平が須磨に流されていたときに詠んだ)
源氏は従者たちが寝静まっている夜中、ひとり目を覚ました。
枕を立てて激しく吹きすさぶ嵐の音を聞いていると、波が枕元まで打ち寄せてくる。
気がつかないうちに、枕が涙で浮くほどになっていた。
源氏は思いたって琴を掻き鳴らしたが、われながら気が滅入ってしまうほどに物寂しく聴こえるので弾くのをやめた。
そして、
〇 恋ひわびて 泣く音にまがふ 浦波は
思ふ方より 風や吹くらむ
恋しさに耐えかねて泣くわたしの声と波の音が似ているのは、私が恋しく思う人たちのいる都の方から風が吹いてくるからであろうか
声に出して歌を詠んでいると、従者たちが目を覚ました。
横になったまましばらく感傷に浸っていたが、たまらず起き上がった。
そして、それぞれ人目を忍んでそっと鼻をかんでいる。
源氏はいまさらに従者たちを気の毒に思った。
「わたしがひどく沈んでいる様子をみれば、彼らはきっと私のことが心配になるし心細くもなるだろう。
彼らもまた、愛しい妻や子供たちを都に残して、須磨あたりまで行動を共にしてくれているのだ」
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サウジアラビアとバーレーンとスーダン(スンニ派)、イラン(シーア派)との断交を宣言。同じイスラム教だが
宗派間の対立で中東の混迷がますます深
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須磨⑬恋ひわびて
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