箸墓(はしはか)古墳
しかし夫婦になっても、大物主(オオモノヌシ)は夜にしか、百襲姫(モモソヒメ)を訪ねてこない。
しかも、夜が明ける前にいつも帰ってしまう。
そこで、百襲姫は夫に頼んだ。
「どうか、お願いだから朝まで一緒にいて下さい。あなたの麗しいお姿を拝見したいのです」。
大物主は、「いいだろう。明朝、わたしは箱の中に入っている。百襲姫よ、わたしの姿を見て、決して驚かないように」。
だが、翌朝、百襲姫は箱を開けると、腰を抜かさんばかりに驚いて叫んでしまった。
そこには、小さな美しい蛇が……。
百襲姫が初めてのぞき見た、夫の正体は蛇だったのだ。
大物主は怒って、「決して驚いてはいけない、と言ってあったのに。お前はわたしに恥をかかせた。お前も恥を見ることになろう」と言い残すと、空を駈けて、三輪山に帰って行った。
後悔と悲しみに打ちひしがれた百襲姫は泣き崩れ、座り込んだ拍子に陰部を箸で突いて絶命してしまった。
このことから、百襲姫の亡骸が葬られた墓が「箸の墓」、つまり箸墓古墳と伝えられている。
わが国最初の、巨大古墳(前方後円墳)である。
一方、箸墓古墳を卑弥呼の墓に比定する説がある。
もし、これら二つの言い伝えを採ると、百襲姫はすなはち女王・卑弥呼であり、三輪山麓の纒向(まきむく)遺跡こそ、邪馬台国ということになる。
そして、それが邪馬台国九州説に対する、畿内説の有力な根拠になっているのだ。
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のぞきの系譜@記紀神話 大物主と百襲姫③
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