光源氏と末摘花
雪あかりの中ではじめて末摘花の顔をみて仰天する源氏、
『千年の恋 ひかる源氏物語』
天海祐希の光源氏と鷲尾真知子の末摘花(すえつむはな)
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
身分からすれば、藤壺の宮と六条御息所そして葵の上という、源氏と縁の深い三貴婦人と比べていささかも遜色ない。
紫式部の突き抜けた天才をもってしても、平安期の「身分社会」という時代の制約から逃れられなかったのかと次第にゲンナリしてくるころ、ステレオタイプな女性描写を打ち砕くかのように、正反対の末摘花がやっと舞台に登場してくれる。
こういうことだ。
『源氏物語』では、宮家や大臣家など地位の高い家柄に生まれた女たちは、当然のように、気品があって教養が高くまた詩歌管弦にすぐれている。
しかも、目の覚めるような美人ぞろいだ。
『源氏物語』のはじめのほうでは、そんな「上流」貴族の女たちが妍を競い、つぎに<雨夜の品定め>をきっかけとして、地方官の娘である「中流」の女たちが姿を見せる。
ただし、「中流」の女たちの品性や教養にはほとんど触れず、ルックスを並みあるいは並み以下とした。
しかし、<雨夜の品定め>においては、「中流の女はユニークで面白い」と肯定的に書いている。
ちなみに、受領階級(国司)の娘である紫式部は中流。
それから、いまは零落しているとはいえ、宮家の娘である末摘花が登場する。
末摘花は三貴婦人と身分は対等だが、気品とたしなみに欠け教養はなく詩歌管弦のレベルは凡庸だ。
しかし何といっても、末摘花の特徴はその容姿。
源氏は雪あかりのなかで初めて末摘花を見たとき、そのあまりの醜さに驚愕した。
失礼にもほどがある。
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女君たち⑨ステレオタイプ
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