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Channel: 吉備路残照△古代ロマン
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賢木⑪もう、ここに

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沢田研二光源氏
 沢田研二の光源氏 1981年 TBSテレビドラマ

   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇

ただし、源氏が関わった二番目の女君である葵の上だけは、「恋路」とは無縁だった。

<恋路の本流>でもなければ、支流でもない。

葵の上との結び付きには、源氏自身の意思が働いていないからだ。

親同士の利害が一致した、しかし二人にとっては不幸な「政略結婚」であった。

左大臣の娘である葵の上は、もともと東宮妃になるべく育てられてきた。

本人も、ずっとそのつもりだった。

ところが、急に源氏との縁談を知らされる。

東宮妃から、ゆくゆくは中宮(皇后)になる夢が破れたことが不満だったようだ。


源氏は、より内面的に失望する。

初夜に結婚の実態を知った源氏は、自分が好きでたまらないのは藤壺であることに改めて気がついた。

夜が明けると走って内裏へもどり、藤壺の部屋に駆け込もうとするが、御簾の向こうから凛とした声が聞こえてきた。

御簾 御簾(みす)

「もう、ここに来てはいけません」

藤壺の声である。

$吉備路残照△古代ロマン-光源氏の元服の場面
 光源氏、元服の儀 京都 風俗博物館

このとき、源氏は元服を終えたばかりの12歳。

義理の母の藤壺は16、正妻の葵の上は15。

現在の感覚からすると、10歳ほど若い。

源氏が17のとき、『源氏物語』でも有名な<雨夜の品定め>で、頭中将ら恋愛経験ゆたかな先輩たちから、「上流階層の女よりも中流の女のほうがユニークでが面白い」ときく。



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