長谷川一夫の光源氏
内裏 右端上に桐壺
紫宸殿(ししんでん)
内裏(だいり)の正殿 上の図のまんなか下
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この年齢になって、「后」どころか娘である斎宮の伊勢下向に付き添う形で、ふたたび内裏を目の当たりにするとは---。
16歳で故・東宮(皇太子)に嫁ぎ、20の時に先立たれ、30のいま伊勢下向にあたって再び内裏(だいり)を訪れている。
ちなみに、光源氏は当時23歳である。
ここで、23年間に関わった女君たちをざっと並べておこう。
まず、母・桐壺更衣に生き写しの藤壺の宮。
初恋の人であり、片時も忘れられない「永遠の女性」だ。
幼いころ、源氏は父・桐壺帝の特別の計らいで、内裏の桐壺で暮らしていた。
母が生前、住んでいた部屋である。
そのころ、藤壺が女御として(入内(じゅだい)した。
源氏は女房たちから、「藤壺の宮様は、亡くなった母上と生き写しでございます」と繰り返し聞かされる。
わたしの勝手な解釈だが、源氏の<恋路の源流>は幼くして亡くした母への慕情、つまり「母恋し」である。
そして、母の面影をみる藤壺が、源流から流れだした<恋路の本流>だ。
憧れから恋心に変わるが、藤壺はしょせん父・帝の女御(のちに中宮)である。
その寂しさを紛らわすために、源氏はあくなき恋の狩人となる。
腕の立つハンターは、獲物を取り逃がすことはまずない。
「夫のある身ですから」と遠ざかった女君も、こころは源氏にあった。
藤壺も、そのひとり。
本流から分かれて、<恋路の支流>が源氏と女君たちとの多様な関係性をもってそれぞれ流れはじめる。
「ただの浮気者ではないか」といえばいえなくもないが、それでは身も蓋もない。
また、源氏が関わった二番目の女君であり正妻の葵の上だけは<恋路>とは無縁である。
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賢木⑩母恋し
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