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Channel: 吉備路残照△古代ロマン
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賢木⑥走馬灯

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渉成園 渉成園(枳殻邸:きこくてい
六条御息所の邸宅跡であり、のちに光源氏が豪華絢爛たる「六条院」を築いたとされる
ただし、渉成園の図録はそのことを否定している

枳殻邸 渉成園から京都タワーを望む
池泉回遊式庭園をもつ東本願寺の飛地境内
徳川家光から約一万坪を寄進され、石川丈山の趣向を入れた作庭がなされた

    ◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇

源氏御息所(みやすどころ)は、およそ1年ぶりに顔を見交わした。


かつて御息所源氏を恋い慕っていた歳月は、源氏はその気になればいつでも会えるので安心しきっていた。

男を安心させる女は、恋の手練れではない。

しかも御息所の情が深すぎることが鬱陶しくなって、だんだん足を運ばなくなった。

そんなとき。

あろうことか源氏は激しい嫉妬にかられた御息所の生霊が、夕顔葵の上に襲いかかってとり殺すところを目撃した。

源氏の気持ちは急速に冷め、嫌悪感すら覚える。


でもやはり、御息所が都を遠く離れて伊勢へ下るときくと心穏やかではなく、最後の別れを告げるために野の宮に駆けつけたのだった。

久しぶりの対面は、走馬灯のように昔のさまざまなことを二人に思いおこさせた。

源氏は来し方行く末を思い、たまらなく切なくなって泣いている。

御息所は、「貴方のことをそんなに思ってはおりません」と気持ちをけんめいに隠そうとしているが、隠しきれていない。

源氏はますます気の毒になって、伊勢への下向を思いとどまるよう繰り返し勧めた。


月は、もう山に入ったのだろうか。




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