夕月夜 夕方に出る月orその月の出ている夜
源氏は、待ちくたびれたとばかりに庭先から簀の子に上がった。
ちょうどそのとき、空にのぼった明るい夕月夜(ゆうづくよ)が、源氏の比べようもなく美しい姿を照らしだした。 御簾(みす)
御息所は御簾の向こうに端然と座っている。
源氏は今日までの無沙汰を詫びるのも面映ゆいので、榊(さかき)の枝を御簾の中へ差し入れながら恨み言をいった。
榊 『源氏物語』第10帖「賢木(さかき)」の由来
「常緑の榊の葉のように変わらないあなたへの気持ちに導かれて、禁制の垣根を越えて参りました。このように冷たい扱いを受けるとは」
御息所が、御簾の中から詠った。
○ 神垣は しるしの杉も なきものを
いかにまがへて 折れる榊ぞ
野の宮には訪れる目印の杉もないのに、どう間違えて(お出でになって)榊を折られたのですか
○ おとめ子が あたりと思へば 榊葉の
香をなつかしみ とめてこそ折れ
貴女の娘の斎宮の辺りにいらっしゃると思って参りました。常緑の榊の葉を折って香りを差し上げましょう 長押(なげし)
野の宮は、いうまでもなく潔斎(けっさい 身を清める)の場所。
なにかと憚られる雰囲気だが、源氏はかまわず御簾のなかへ上半身をいれて長押に寄り掛かった。
源氏と御息所は、およそ1年ぶりに顔を見交わした。
源氏物語が面白いほどわかる本―日本が誇るラブロマンがマンガより楽しく読める/中経出版
¥1,512
Amazon.co.jp
ウクライナ危機の実相と日露関係 (友愛ブックレット)/花伝社
¥1,080
Amazon.co.jp ルーピーだろうと鳩ポッポだろうと国賊まがいだろうと、相手国にとって利用価値の
高い「元首相」の肩書きは付いて回る
↧
賢木⑤焼けぼっくり
↧