高千穂神社 日向三代夫妻らを祀る
ワニに姿を変えて出産している様子を、夫がのぞき見たことを知ったトヨタマビメは、悲しくもまた恥ずかしくもあって、生まれたばかりの子を地上に残したまま、海の道を塞いでワタツミの宮へ帰ってしまった。
その子が、ほとんどの人は覚える必要もないが、ウガヤフキアエズだ。
ニニギ……山幸彦……ウガヤフキアエズの三代を、日向三代という。
日向三代は、記紀の編纂者によって、高天原と地上を結ぶ役割を与えられているようだ。
ニニギの妻・コノハナサクヤビメは、山の神ヤマツミの娘。
山幸彦の妻・トヨタマヒメは、海の神シオツチの娘。
ここに、記紀神話の気宇壮大な目論見がある。
つまり、高天原から降臨した天孫族が、地上の山と海を支配下におさめたという象徴にしたのだ。
ワタツミの宮へ帰ったトヨタマビメは、置き去りにしてきたわが子・ウガヤフキアエズの養育係として、妹のタマヨリビメを地上へ遣わした。
タマヨリビメとウガヤフキアエズは叔母と甥の関係だか、のちに結婚して4人の子を儲ける。
その末子がイワレビコ、のちの神武天皇である。
ここまでが、神代(神の時代)の物語。
…… …… ……
神武東征から人代(人の時代)が始まるが、互いに不幸しかもたらさない約束破りの「のぞき」は、男女が逆転して続く。
しかし、さすがに大地に根差している女は、男の正体に恐れおののいて、脱兎のごとく逃げ出したりしなかった。
(記紀、主に古事記による)
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のぞきの系譜@記紀神話 山幸彦とトヨタマビメ⑤
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