藤原道長
紫式部は道長の娘、彰子(しょうし)に仕えた。
式部に、『源氏物語』執筆を依頼したスポンサーである。
光源氏のモデルのうち唯一の式部と同時代人。
中流出身の式部は上流の人物や生活ぶりを描くにあたって内裏や道長邸での体験やウワサ話を参考にしたであろう。
鳥辺野(とりべの) 葵の上葬送の地
藤原道長は、藤原一族の火葬の地である鳥辺野で荼毘(だび)に付されている。親鸞聖人の荼毘所もこの地にある。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
人事の決まる夜だが、葵の上の死というよんどころない事情で、彼らの昇進はすべてご破算になってしまった。
このことが、源氏と左大臣家の人々の苦難がはじまる予兆となる。
「もう大丈夫だろう」
気を緩めていたところに、思いがけないこととなった。
夜が深いので、比叡山の座主(ざす)や僧都(そうず)たちを招くことができない。
ほどなく邸内が弔問客でごったがえし、上を下への大騷ぎになった。
身内の者の悲嘆は、いかばかりか
葵の上はこれまでも再三、物の怪に取り憑かれて気を失ったことがある。
「今度も、生き返るかもしれない」
淡い期待のもと、枕の位置などをそのままにして二、三日ようすを見ることにした。
そして、物の怪を退治するためのありとあらゆる加持祈祷をたのんだ。
しかし、時間の経過とともにありありと死相が顔に現れてくる。
ついに、生き返ることはなかった。
「やはり、もうだめか」
そう諦めたとき、一人娘を亡くした左大臣は、立場を忘れて身も世もなく泣き崩れた。
「こんな老いぼれが、若い盛りの娘に先立たれるとは」
葵の上は、紫式部と『源氏物語』のスポンサー・藤原道長とおなじ、清水寺の南側にひろがる鳥辺野で荼毘に付された。
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民主国家と思っていたわが日本が、ほんの一部の復古主義者によって、中国や北朝鮮と
おなじ統制国家へ回帰しようとしている
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葵⑳鳥辺野
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