鬼相の六条御息所の生霊
紫式部像in石山寺
石山寺に参籠中、「源氏物語」の着想を得たとされる
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そのころ、左大臣家では、物の怪が葵の上に取り憑いて執拗に苦しめていた。
御息所は、「物の怪の正体は、御息所の生霊と亡き父・大臣の死霊だ」などと世間で噂されていることに思い悩んでいた。
「わたしは自分の不幸を嘆いても、他人の不幸せを願ったり呪ったりはしない。
だが、あまりにも悲しみや苦しみが続くと、人は気がつかないうちに魂が身体から抜け出してさ迷い離れていくという。
ひょっとしたら、本当にわたしの霊が葵の上に取り憑いているのだろうか。
ここ数年、なにかと心労が重なってきたけれど、あの「車争い」の件ほど悔しさにもがき苦しんだことはない。
あのとき、葵の上に侮辱され蔑ろにされたと思いこんでからはずっと、そのことばかりを考えている。
たびたび、こんなことがあった。
急に悔しさがこみ上げて理性を失い、自分の魂がふっと肉体から抜け出してどこかへ浮遊してゆく。
また、こんなことも幾度となくあった。
少しでもうつらうつらしていると、夢の中で葵の上らしい女の所に行って、その女の長い髪をつかんであちらこちら乱暴に引きずり回した。
それから、普段なら思いもよらないほどの猛々しい激情が湧き上がって、その女を荒々しく打ち叩く」
こういうふうに、正気を失ったように感じたことが幾度となくあった。
斎宮は去年、宮中の初斎院(しょさいいん)に入ることになっていたが、色々と差しつかえることがあって今年の秋になった。
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奇しくも09年の11月10日には、高倉健さんと同じく国民的俳優だった森繁久弥さんが96歳で、また12年の同日には森光子さんが92歳で亡くなっています。
何かしらの縁としかいいようがありません