斎宮行列
野宮神社出発~JR嵯峨嵐山駅~嵐山渡月橋周辺
斎宮歴史博物館内部
斎宮歴史博物館
斎宮遺跡に設置 三重県多気郡明和町竹川
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
そのとき、「行列が来たぞ~」と人々の叫ぶ声が聞こえた。
自分が辱められている様子を車からさげすんだ目で眺めているに違いない葵の上の勝ちほこった姿が脳裏にうかんできて憎々しく思っていた六条御息所(ろくじょうみやすどころ)は、たちまち心が晴れてわれ知らず胸がときめいた。
薄情で恨めしい源氏が通ると聞いただけで、心の高なる女心の切なさよ。
しかし、源氏の方からこちらが見えるはずもない。
馬の足を緩めることもなく、見向きもしないで素っ気なく通り過ぎていった。
例年よりもずっと趣向を凝らした車に乗り込んでいる女房たちは、競って、「自分こそは源氏の君の目に留まりたい」と笑顔を振りまきながら手を振っている。
居並ぶ女車の下簾(したすだれ)から、華やかな着物の裾や袖口がこれ見よがしにこぼれている。
馬上の源氏は一瞥もくれずに素知らぬ顔で通り過ぎてゆくが、たまに、微笑みながら流し目をおくっている女車もあった。
左大臣家の車は一目でそれと分かるので、とりわけ威儀を正して通った。
お供の者らは、うやうやしい表情で葵の上に敬意を表しながら通ってゆく。
打ちひしがれている御息所は、そんな情景を目にするといっそう自分が惨めになり屈辱を感じた。
○ 影をのみ 御手洗川の つれなきに
身の憂きほどぞ いとど知らるる
あなたの晴れ姿を一目見たくてきましたのに、あなたの影だけを映して流れ去る御手洗川(みたらしがわ)のようにつれないあなたが恨めしく、わが身の不幸が身にしみます
情けなさに涙がこぼれるのを、お供の女房たちに見られたくはない。
*このときの屈辱感が、後日、プライドの高い御息所をおどろおどろしい復讐に駆り立てることになる。
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昔の言葉ではありますが、「有権者は選挙のときだけ
王様で、選挙がおわれば奴隷になる」ルソー
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葵⑤馬上の光源氏
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