「源氏物語」の成立に関わった3人。左から、彰子 紫式部(髪の毛の長いことは当時の美人の条件の一つ) 藤原道長
紫式部像と宇治川と宇治橋
紫式部像の手前を右に5、6分歩くと世界遺産の宇治平等院。
川向こうに、宇治市源氏物語ミュージアム
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「情事にうつつを抜かしているふうでもなく、どこかの女房と浅からぬ仲になっているとも聞かない。それなのに、どうして人に怨まれるような事をするのだろう」
たしかに帝のまわりの女官(にょかん・にょうかん:官位をもつ女房)たちのなかには源氏を誘うようなことを口にしたり仕草で示したりする者もいる。
しかし、源氏は相手の機嫌を損ねない程度にあしらって深入りしなかった。
そんな源氏を、真面目すぎて物足りないと思っている女官もいる。
彼女たちのなかに、三代の帝に仕える源典侍(げんのないしのすけ)という老女官がいた。
典侍は、女官たちの事実上のトップである。
源典侍は家柄がよく人柄もすぐれ才気があって気品もある。
後輩の女官たちに一目置かれ、尊敬されている。
ただ驚くほどに好色で、その方面では年甲斐もなく尻が軽い。
あっちへ行ったり、こっちへ行ったり、男たちを渡り歩く。
源氏は、そんな源典侍に興味をもった。
「こんな60近い老女が、どうしてそんなにお盛んなのか」
*今の60歳とは違います
戯れに、言い寄ってみる。
源典侍は、自分が、源氏とは身分も年齢も不釣り合いとはいささかも思っていないようだ。
あきれたり感心したりしながら、「こんな女も、面白い」と何度か関係をもった。
しかし、人に知られたらいかにも決まりが悪いので、ほどなく素っ気ない態度をとるようになる。
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あなたの晩年は、いつですか。