大納言 桐壺更衣 桐壺帝 光源氏 右大臣 弘徽殿女御
現光寺(源氏寺・源光寺)
神戸市須磨区。江戸時代の地誌で、光源氏が不遇をかこった地と伝えられている
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
この「秘密の子」を守るためには、わたしの身などいつ滅んでもかまわない。
源氏は出産が遅れていることとあの密会の夜のことを考え合わせると、自分の子だと確信。
事情は知らせずに、安産のための祈禱を寺々にたのんだ。
藤壺は2月10日過ぎに、ようやく若宮(男の子)を出産する。
帝や三条宮家の人々は、喜びにわいた。
一方、弘徽殿(こきでん)女御は出産が大幅に遅れたことについて疑惑の目をむけていた。
女房たちとヒソヒソ話をしては頷き合っている。
「これだけ日数が合わないのは、何かあるはずですわ」
「あるに決まっておりましょう」
『源氏物語』きっての悪役といえば、この女(父は、右大臣)だろう。
桐壺帝の寵愛を独り占めした源氏の母・桐壺更衣(父は、亡き大納言)をいじめ抜いて死に至らしめた。
のちに源氏を当時はまだ寒村だった須磨や明石に追いやる。
桐壺更衣と生き写しの藤壺(宮家)が入内(じゅだい)すると、藤壺に対しては弘徽殿女御は物理的には手も足も出ないが、何かにつけて敵愾心を燃やしている。
弘徽殿女御一派の陰口を耳にした藤壺は、気持ちを奮い立たせた。
「今わたしが死んだら、さぞ物笑いの種になるでしょう。何があっても、母としてこの子を守らなければ」
帝は、一刻も早く「わが子」を見たいと待ち焦がれている。
源氏は母子の様子が気がかりで、三条宮邸に出かけた。
「帝が、若宮に会いたがっておられます。まず私がお目にかかって、若宮のご様子を帝にお知らせしましょう」
「まだ生まれたばかりで、見苦しいものですから……」
藤壺は、若宮を源氏に見せることを頑なに拒んだ。
そして、なぜか身体を震わせている。
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