陰陽師 安倍晴明公像
【安倍晴明神社】 大阪市阿倍野区阿倍野元町
【晴明神社】本殿 …… 上京区堀川通一条上ル晴明町
賀茂川にさしかかったころ、意識と身体がともにふらついてとうとう馬から滑り落ちた。
馬の背から地面までの高度差はかなりのものだ。
源氏は、身体をしたたかに打ち付けた。
「こんな川べりで、死んでしまうのか。二条院までとても戻れそうもない」
息も絶え絶えである。
「何をおっしゃいますか」
惟光は、「やはり連れてくるのではなかった」と悔やんだ。
しかしすぐに気を取り直して、賀茂川の水で手を清め、清水寺の観音に祈り始めた。
源氏も、うつ伏せになったまま仏に救いを求めている。
東山の空が白みはじめた頃、源氏は惟光と随人の助けを借りて立ち上がり、やっとの思いで二条院に辿り着いた。
帰りつくと、そのまま御帳台(みちょうだい)に入って寝込んだ。
しかし、日が経つにつれて快復するどころか病状がますます重くなり、目に見えて衰弱してゆく。
桐壺帝は心配して都中の僧侶や陰陽師(おんみょうじ)を動員して、病気平癒の加持祈祷や占術を行わせた。
世間の人々も、源氏の容体を案じた。
「源氏の君ほどの美男子は、やはり短命なのだろうか」
平安の世には、「美しい男の寿命は短い」という考え方があったわけだ。
平成の今、「美しい女は早死にする」という意味で「佳(美)人薄命」というが、「美しい男は早世する」という意味合いの言葉はないような気がする。
もしかしたら、浅学菲才を自ら暴露しているのかも知れないが……。
ちなみに一部の女性から怒られるかも知れないが、私は「器量」という言葉に、女の場合は「ルックス」を、男の場合は「器の大小」をまず想起する。
源氏は右近を二条院に招いて自分の御座所近くに部屋を与え、女房として仕えさせた。
新天地で心細そうにしている今や天涯孤独となった右近を、惟光が親身になって励ましたり仕事の段取りを教えたりした。
右近はほどなく他の女房たちと馴染んでいった。
右近はとりたてて美人でもなければ不器量でもない、若い女房である。
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夕顔⑯右近、二条院へ
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