「夕顔」巻の登場人物
光源氏 夕顔 頭中将 六条御息所 惟光 右近
御帳台(みちょうだい) 天蓋付きのベッド
「人々が起き出す前に、急いで二条院にお帰り下さい」
「夕顔の亡骸はどうする。私がいなくてもよいのか」
「亡骸を夕顔殿の家に運べば、女房たちが大騒ぎして泣き出す者もいるでしょう。隣近所の者が聞きつけて、噂が都中に広がるかも知れません」
「それでは、どうする」
「東山に、懇意にしている尼寺がございます。尼寺ならば、亡骸を運んでも誰ひとり怪しみません。牛車にお乗せして、私と右近が付き添います。源氏の君は、私の馬を使って下さい」
惟光が夕顔の亡骸を薄い布団に包んで、牛車に運んだ。
小柄で可愛らしく、死人を持ち上げている気味悪さはない。
布団からこぼれている夕顔の黒髪を見て源氏は泣いている。
「馬を飛ばして、早く二条院へお帰り下さい。人に見られます」
源氏は茫然自失として二条院に帰り着いた。
腑抜けた様子の源氏を見て、女房たちが噂しあっている。
「今頃どこから、お帰りなのでしょう。ずいぶん、ご気分が悪そうよ」
源氏はすぐに「御帳台」の中へ入った。
胸を押さえて波立つ気持ちを押さえようとするが、やはり悲しみがこみ上げてくる。
「どうして、私も牛車に乗って尼寺に行かなかったのだろう。もし夕顔が生き返ったら、どう思うだろう。自分を見捨てたとひどく悲しまないだろうか」
頭が痛くなり、身体も熱っぽくなってきた。
「こんなに弱っては、私も死んでしまうかも知れない」
日が高くなっても源氏が起きないので、女房たちは心配になってお粥などを勧めた。
そこへ、宮中から使者が来た。
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夕顔⑩夕顔の亡骸を尼寺へ
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