Quantcast
Channel: 吉備路残照△古代ロマン
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1644

夕顔⑩夕顔の亡骸を尼寺へ

$
0
0

夕顔巻の登場人物 「夕顔」巻の登場人物
 光源氏 夕顔 頭中将 六条御息所 惟光 右近

御帳台
 御帳台(みちょうだい) 天蓋付きのベッド


「人々が起き出す前に、急いで二条院にお帰り下さい」

夕顔の亡骸はどうする。私がいなくてもよいのか」

「亡骸を夕顔殿の家に運べば、女房たちが大騒ぎして泣き出す者もいるでしょう。隣近所の者が聞きつけて、噂が都中に広がるかも知れません」

「それでは、どうする」

「東山に、懇意にしている尼寺がございます。尼寺ならば、亡骸を運んでも誰ひとり怪しみません。牛車にお乗せして、私と右近が付き添います。源氏の君は、私の馬を使って下さい」

惟光夕顔の亡骸を薄い布団に包んで、牛車に運んだ。

小柄で可愛らしく、死人を持ち上げている気味悪さはない。

布団からこぼれている夕顔の黒髪を見て源氏は泣いている。

「馬を飛ばして、早く二条院へお帰り下さい。人に見られます」


源氏は茫然自失として二条院に帰り着いた。

腑抜けた様子の源氏を見て、女房たちが噂しあっている。

「今頃どこから、お帰りなのでしょう。ずいぶん、ご気分が悪そうよ」

源氏はすぐに「御帳台」の中へ入った。

胸を押さえて波立つ気持ちを押さえようとするが、やはり悲しみがこみ上げてくる。

「どうして、私も牛車に乗って尼寺に行かなかったのだろう。もし夕顔が生き返ったら、どう思うだろう。自分を見捨てたとひどく悲しまないだろうか」

頭が痛くなり、身体も熱っぽくなってきた。

「こんなに弱っては、私も死んでしまうかも知れない」

日が高くなっても源氏が起きないので、女房たちは心配になってお粥などを勧めた。

そこへ、宮中から使者が来た。




散華―紫式部の生涯〈上〉 (中公文庫)/中央公論社

¥980
Amazon.co.jp





KANJANI∞LIVE TOUR!! 8EST~みんなの想いはどうなんだい?僕らの想いは無限.../インペリアルレコード

¥6,800
Amazon.co.jp
  …… ……   ペタしてね<


Viewing all articles
Browse latest Browse all 1644

Trending Articles