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夕顔⑦夕顔、襲われる

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源氏物語ゆかりの地  拡大←クリック
 源氏物語ゆかりの地 (京都市中心部) 【ざ・京都】から

夕顔1 映画 『源氏物語 千年の謎』  夕顔 (芦名星)をとり殺す六条御息所 (田中麗奈)


その夜、めくるめく愛のひと時を過ごしてまどろんでいると、源氏の枕元に美しい女が座っている気配がある。

なにやら怨みがましく呟いているようだ。

「わたしがこんなに想っているのに、このところちっとも訪ねて下さらない。しかも、よりによってこんなつまらない女と……。恨めしゅうございます」

そして、隣に寝ている夕顔を起こそうとする。


源氏は何者かに襲われているような気配がして、うなされながら目を開いた。

部屋の灯りが消えていて、あたりは闇。

用心のため、枕元の太刀を抜いて傍らに置いた。

右近は、わなわなと震えている。

「宿直の者を起こして、灯りを持ってこさせろ」

「足が震えて、立てません」

仕方なく、源氏が自分で廊下に出た。

廊下の灯りも消えている。

「誰かいないか。惟光はどこだ」

そのころ、惟光源氏を見習って源氏を女の家に送ると、自分も馴染みの女を訪ねることにしていた。

どうやら、今夜もお楽しみのようだ。

源氏が手を叩いても、音が闇夜にむなしく反響するだけ。

だれ一人、聞きつけてやって来ない。


部屋に戻ると、夕顔はぐったりしている。

夕顔、どうした。しっかりしろ」

抱き起こすと、気を失っている。

息もしていないようだ。


しばらくたって、従者が灯りをもってやってきた。

源氏が灯りを受け取って夕顔を照らすと、まどろみの中で見た美しい女が一瞬、見えた。

「あっ」

その女は短く叫ぶと、ふっと掻き消えた。





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