拡大←クリック
源氏物語ゆかりの地 (京都市中心部) 【ざ・京都】から
映画 『源氏物語 千年の謎』 夕顔 (芦名星)をとり殺す六条御息所 (田中麗奈)
その夜、めくるめく愛のひと時を過ごしてまどろんでいると、源氏の枕元に美しい女が座っている気配がある。
なにやら怨みがましく呟いているようだ。
「わたしがこんなに想っているのに、このところちっとも訪ねて下さらない。しかも、よりによってこんなつまらない女と……。恨めしゅうございます」
そして、隣に寝ている夕顔を起こそうとする。
源氏は何者かに襲われているような気配がして、うなされながら目を開いた。
部屋の灯りが消えていて、あたりは闇。
用心のため、枕元の太刀を抜いて傍らに置いた。
右近は、わなわなと震えている。
「宿直の者を起こして、灯りを持ってこさせろ」
「足が震えて、立てません」
仕方なく、源氏が自分で廊下に出た。
廊下の灯りも消えている。
「誰かいないか。惟光はどこだ」
そのころ、惟光は源氏を見習って源氏を女の家に送ると、自分も馴染みの女を訪ねることにしていた。
どうやら、今夜もお楽しみのようだ。
源氏が手を叩いても、音が闇夜にむなしく反響するだけ。
だれ一人、聞きつけてやって来ない。
部屋に戻ると、夕顔はぐったりしている。
「夕顔、どうした。しっかりしろ」
抱き起こすと、気を失っている。
息もしていないようだ。
しばらくたって、従者が灯りをもってやってきた。
源氏が灯りを受け取って夕顔を照らすと、まどろみの中で見た美しい女が一瞬、見えた。
「あっ」
その女は短く叫ぶと、ふっと掻き消えた。
息つく暇もないほど面白い『源氏物語』: 雅の世界に渦巻く嫉妬、濃密な性の悦び、陰謀 (王様文庫)/三笠書房
¥630
Amazon.co.jp
また会いたくなる人 婚活のためのモテ講座/講談社
¥1,575
Amazon.co.jp
↧
夕顔⑦夕顔、襲われる
↧