源氏物語色紙貼交屏風 夕顔
映画『源氏物語 千年の謎』 夕顔(芦名星)をとり殺す六条御息所(田中麗奈)
源氏は、乳兄弟で腹心の惟光(これみつ)に尋ねた。
「お前の家の隣に住んでいる女は、いったい何者だ」
「5~6日ほど里帰りしておりますが、母の看病に気を取られて隣の家のことは何も聞いておりません」
またまたやっかいな病気が始まったと苦々しく思ったのが声に出たようだ。
「そうか、気に入らんのか。だが、この扇の和歌が気になるのだ。とても巧みだし、私だと分かっているのに少しも気後れしたところがない。だれか、あの女を知っていそうな者にたずねてくれ」
惟光としては、源氏の女好きには付き合っていられないと思っても、まさか断わるわけにはいかない。
その家に入って、使用人らしい男にたずねた。
そして、源氏に復命した。
「女は5月頃、あの家に引っ越してきたそうです。風流を好み、姉妹たちがちょくちょく遊びに来るようです。みんな、宮仕えをしております。それ以上のことは分かりません」
「もう少し、調べてくれないか」
「女のもとには、以前、頭中将殿が通われていたそうです」
そういえば『雨夜の品定め』のとき、頭中将(とうのちゅうじょう)は、「中流にイイ女がいる」と体験談を語っていた。
そして、「自分が通っていた女の存在を気性の激しい正妻が知るところとなり脅しをかけたので、その女は行方をくらましてしまった。それっきり、会っていない」と話していた。
夕顔は、頭中将が通っていた女なのだ。
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夕顔③夕顔とは何者?
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