夕 顔
源氏夕顔巻
『月百姿 つきひゃくし』 月岡芳年 (最後の浮世絵師)
従者が夕顔の茎を折っていると、家の中から女の子が出てきて白い扇を差し出した。
扇には、香が焚き染めてある。
「その夕顔の花を、この扇に載せて下さい」
粗末な家だが、たしなみの深い女が住んでいるようだ。
源氏がその扇を受け取ると流麗な筆跡で和歌が認めてある。
女の方から先に、男に和歌を詠みかけるのは珍しい。
そのことと和歌の内容とで、女の素性について色々と詮索している老女流作家がいる
○心あてに それかとぞみる 白露の
光そへたる 夕顔の花
あて推量ですが、「あの方かしら?」と思っております。あなた様の白露のような美しさで、わが家の夕顔の花が一段と美しく見えます。
この歌から、その家の女を夕顔と呼ぶ。
源氏は和歌の詠み人に魅かれ、その場ですぐに返歌を書いて従者に持たせた。
○寄りてこそ それかとも見め たそかれに
ほのぼの見つる 花の夕顔
近くに来て確かめたら如何ですか。黄昏時にほのかに見える夕顔の花を
これが、はかない夕顔との出会いだった。
源氏物語が面白いほどわかる本―日本が誇るラブロマンがマンガより楽しく読める 山口 汪/中経出版
¥1,470
Amazon.co.jp
印象力で夢をかなえる 重田みゆき (単行本)/三笠書房
¥1,365
Amazon.co.jp
↧
夕顔②出会い
↧