錦絵 本能寺焼討之図
このまま羽柴秀吉のいる備中高松城に軍を進めて、ライバルである秀吉の指揮下にはいるか。
その屈辱に耐えたとして、その先はどうなる。
長い間、光秀が治めてきた畿内の領地を取り上げ、敵地である毛利領を切り取り次第に与えると言い放つ織田信長だ。
林秀貞や佐久間信盛ら譜代の重臣が、難癖をつけられて丸裸同然で追放される姿も見てきた。
自分もいつ追放されるか、分かったものではない。
どう考えても、信長に仕えているかぎり明るい見通しは立ちそうにない。
その時、光秀が率いている軍勢は約1万3千人。
柴田勝家や滝川一益、秀吉ら、織田家の主だった諸将は遠国に出払っている。
徳川家康は京と堺を見物中で、武装していない。
ここに至って心が決まった、
「敵は本能寺にあり!!」
信長を取り除けば、暗雲垂れ込める雲間から光が差し込むかも知れない。
ただ、光秀配下の本城惣右衛門(ほんじょうそうえもん)が江戸時代に子孫に書き残した『本城惣右衛門覚書』によると、彼は信長を討伐するという目的を最後まで知らされていない。
光秀ら上層部は末端の兵士にまで「信長を討つ」と明かしたら、収拾がつかないほどに動揺が広がりかねないと恐れたのかも知れない。
惣右衛門は、信長の命令で家康を討つのだと思っていた。
光秀軍は、二手に分かれて本能寺を急襲して包囲。
信長は「敦盛」をひとさし舞うと、火を放って自害した。
<人間五十年 下天のうちを くらぶれば 夢幻の如くなり
ひとたび生を享(う)け 滅せぬもののあるべきか>
信長の亡きがらは、今にいたるも発見されていない。
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▼夢まぼろしの如く ⑳敵は本能寺にあり!!
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