晩秋のキャンパス
声もかけられず、うつむいたままの私の前を、Aさんを乗せたバスはエンジンの響きを残して、降りしきる雪の中を事もなげに走り去った。
その日に2か月ほど先立つ、11月下旬。
木枯らしの吹く、晩秋のキャンパス。
私の少し前を、白いコートに身を包んだ女性が歩いていた。
体育の授業で、スキーを選択した学生のための説明会の日。
夜来の雨に散り敷いた落ち葉を踏む、そのうしろ姿に妙に引かれ、心がときめいた。
しばし、魅せられたように眺めていたろう。
そんな一瞬、その人は振り返った。
目が合った。
衝撃が走り、かつてない感動が心の中に沈んでいった。
受付の名簿で、その人の名前と学部と学年を知った。
すぐ下に、自分の名前を書いた。
説明会場に入ると、すぐにAさんの姿を探した。
窓際の席で、知り合いらしい女子学生と談笑している。
その横顔は、渓谷を流れる清流のようにキラキラしていた。
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▲バス停 ①晩秋のキャンパス
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