Quantcast
Channel: 吉備路残照△古代ロマン
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1644

空蝉③姉と弟

$
0
0


$吉備路残照△古代ロマン-空蝉軒端荻小君 空蝉 小君


どうやら源氏のウワサをしているようだ。

源氏の君はあんなにお若いのに、もう北の方(正妻)がいらっしゃるのよ。つまらなくないかしら」

「でも、まだ17歳なのに女性関係はなかなかのものらしいわ。あちらこちらに通っていらっしゃるそうよ」

受領階級(地方の長官 知事に相当。頭中将のいう中流)の娘である彼女らは、源氏に関する情報にずいぶん明るい。


あの方との事も知っているのだろうか」

源氏が顔を曇らせていると、子供たちが挨拶にきた。

その中にひとり、12~3歳ほどのひときわ品のいい美しい少年(小君 こぎみ)がいた。

身のこなしも洗練されている。

「この少年は?」

紀伊守にたずねた。

「故・衛門督(えもんのかみ)の末の子です。父親を早くに亡くし、姉(空蝉:うつせみ)がわたしの後添いに入ったものですから、時々こうして遊びに来ます」

「器量がよく学問もできるので、童殿上になどと考えておりますが……」

童殿上 (わらわてんじょう)
宮中の作法を見習うため、元服前の貴族の子弟が殿上の奉仕をすること

「それは気の毒なことだ。この少年の姉が、そなたの継母というわけか」

「はい」

「ずいぶん若い継母をもったものだな」

「わたしよりも年下でございます」

中納言だった故・衛門督空蝉を入内させたいと思っていたが、実現する前に亡くなってしまう。

やむなく、空蝉は親子ほど年齢の離れた伊予介(いよのすけ)の後妻になった。


あの方空蝉紫の上という準主演級の3人のヒロインはそろって父親ほどに年の離れた男に嫁いでいる。

紫式部自身が父親の友人である藤原宣孝(のぶたか)に嫁したことを何かと意識していたのだろう。



源氏物語 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)/角川書店

¥1,000
Amazon.co.jp






「学力」と「社会力」を伸ばす脳教育 澤口俊之 (講談社プラスアルファ新書)/講談社

¥880
Amazon.co.jp



Viewing all articles
Browse latest Browse all 1644

Trending Articles