方違え (かたたがえorかたちがえ) 陰陽道の説
平安時代に盛んに行われた風習。
行き先が縁起の悪い方角に当たる場合、前夜に別の方角に行って泊まり、そこから目的地へ向かう。
(時事風にこじつけて解釈すると…) 東京から民間機でまっすぐ北京へ飛ぶと、中国の防空識別圏に入るから危ない。いったんワシントンに寄って、そこからB29爆撃機の力を借りて北京へ向かえば安心だ。
…… …… ……
『雨夜の品定め』の記述によって、紫式部はこれから書き進める「恋愛のパターン」の幾つかを示したのだろう。
女である作者は「男の目」で女を品定めするが、本来の「女の目」で男を品定めしていたらもっと面白かったかも知れない。
だがなぜ、「女の目」で男を品定めしなかったのだろうか。
当時の社会においては、「女が男を品定めする」ことが出来なかったのか、それとも単にしなかっただけなのか。
ある暑い一日のこと、光源氏は久しぶりに左大臣家に正妻・葵の上を訪ねていた。
左大臣は久々にやってきた婿殿を、「どうして、もっと足しげく娘に会いに来てくれないのか」と内心不満に思いながらも、いつものように手厚くもてなした。
しかし、源氏と葵の上の夫婦仲は、相変わらず冷え冷えとしている。
目と目を見交わすことはなく、話すときがあっても互いにあらぬ方を向いている。
そんな気づまりな時間が流れているとき、葵の上の女房が源氏に願ってもない助け舟を出してくれた。
「源氏の君、こちらは今夜、内裏から見て不吉な方角でございます。お泊りはなりません。方違えの禁忌(きんき:タブー)を破ることになります」
この頃、源氏は亡き母・桐壺の更衣に与えられていた内裏の淑景舎(しげいしゃ:桐壺)に住んでいる。
「そうか、それではどこか他のところへ行かねばならないな」
近くにいた従者が勧めた。
「紀伊の守の屋敷がよろしいかと存じます。つい最近、川の水を引き入れて涼しくなったと聞いております」
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