清涼殿/帝の日常の生活空間
更衣は夜伽(よとぎ)に呼ばれると、数名の女房らとともに後宮の長い廊下を清涼殿へ赴く。
内裏の東北方向の角にあった桐壺から、十二単(じゅうにひとえ)の裾を引きずりながら歩くのだ。
毎夜のように、自分たちの部屋の前を通る更衣に対して、ほかの后たちが心穏やかであろうはずはない。
昼間は帝が前を歩くのだが、いかに腸わたが煮えくり返ろうと、さすがに反発や不快感を行動には移せない。
弘徽殿の女御などは、内心、思っていただろう。
「また帝が……。あんな身分の低い女のどこがいいんだか」
うっぷん晴らしをするかのように、更衣が通るときには、散々意地悪をした。
「ああ、またあの女が帝に呼ばれて愛されるのだ」
うす暗い中を歩いている更衣たちの足を滑らせようと、廊下に水を撒くのはまだ序の口。
糞尿をまいて十二単の裾を汚したり、両端に扉がついている廊下の両方に鍵を掛けて閉じ込めたりした。
そんないじめにあっている更衣が、帝は不憫でならない。
清涼殿に近い部屋にいた更衣をほかへ移して、そこに更衣を住まわせた。
そのことが、后たちの間に、更衣に対する反感や嫌悪感をますます募らせる。
もともと蒲柳の質の更衣、心労が重なって耐えきれなくなり、実家へ戻りたいと訴えるが、離れ離れになりたくない帝は、それを許さない。
しかたなく、更衣は帝の愛情だけを頼りに暮らしていたが、ますます心身ともに衰弱していった。
そんな時、「世になく清らなる玉の男皇子」が産声を上げる。
フルカラー 見る・知る・読む 源氏物語/勉誠出版
¥2,310
Amazon.co.jp
瀬戸内寂聴の源氏物語 (講談社文庫)/講談社
¥790
Amazon.co.jp
Q. ピート・ローズとタイ・カッブの2人しかいない領域に入った気持ちは?
A. 両方のリーグ(プロ野球と大リーグ)を足したものなので、なかなか難しい。
誇れることがあるとすると、4000本のヒットを打つには8000回以上は悔しい思いをしてきている。それと常に自分なりに向き合ってきた事実はある。誇れるとしたらそこかな。
イチローほどの野球の達人になると、人生の達人でもあるようです。