宮崎県西臼杵郡高千穂町大字岩戸
アマテラスが、神に差し上げる衣装を機織女(はたおりめ)に織らせていたときのこと。
スサノヲはその機織小屋の屋根に穴をあけ、馬の皮を剥ぎ取って部屋の中へ投げ込んだ。
それを見て慌てふためいた機織女が、梭で陰部をついて死んでしまった。
・梭(ひ) 機を織る時、縦糸の間に糸を通すのに使う道具
機織女を死に至らしめたスサノオの暴挙に、さすがに怒ったアマテラスは、天の岩戸に閉じこもってしまう。
有名な、岩戸隠れである。
『古事記』は、この辺の事情に警鐘を鳴らす。
すなわち、アマテラスは天の浮橋を昇ってくる弟を見たとき高天原を奪いにやってきたと疑った。
一方、スサノオは姉の寛大な態度をいいことに暴虐の限りを尽くした。
「男は慢心にて身を滅ぼし、女は疑心にて身を滅ぼす」
太陽神であるアマテラスが身を隠したから、高天原と地上はすっかり闇に閉ざされてしまった。
そこで、八百万(やおよろず)の神々が天の安河に集まって、知恵者のオモイカネ(思金神)を中心に、アマテラスに岩戸から外に出てもらうための方策をさまざま思いめぐらした。
「三人寄れば文殊の知恵」ならぬ、「八百万の神々の知恵」を結集したのだ。
ブレーンストーミングをやるにしても、三人よりも八百万柱のほうが遙かに有利で、素晴らしい知恵に結晶するだろう。
ブレーンストーミングの結果、何をもって彼らはアマテラスを外に誘い出すことに決めたのか。
武力や威嚇ではない、美味しい物や財宝でもない。
それは、笑いだった。
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