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アマテラスとスサノオの誓約(うけい)
アマテラスがスサノオの十拳剣(とつかのつるぎ)を受け取り、3つに折って噛み砕いて吐き出すと、その息の霧から三柱の女神(宗像三女神:むなかたさんじょじん)が生まれた。
次に、スサノオがアマテラスの玉飾りを受け取って、同じように噛み砕いて吹き出すと、その息の霧から五柱の男神が生まれた。
すると、アマテラスはおもむろに、「玉飾りは私のものだから、五柱の男神は自分の子である」と宣言する。
スサノオは、「十拳剣は私のものだから、宗像三女神は私の子。よって私は潔白です」と誓約の勝利を宣言した。
宗像三女神はアマテラスが十拳剣を噛み砕いて吐きだした息から生まれたのだが、アマテラスの子ではなく、十拳剣の持ち主であるスサノオの子供とみなされたのだ。
このことを、「物実(ものざね)交換」という。
それではなぜ、宗像三女神を生んだことがスサノオの誓約の勝利につながり、身の潔白を証明することになるのか。
こういうことらしい。
女神は「陰気」のあらわれであり、国を奪おうとする心は「陽気」の発露だ。
よって、女神を産んだスサノオには高天原を乗っ取ろうとする気持ちは一切なかったことが証明された。
一方、男神を生んだアマテラスには戦う意思があった。
誓約の勝利におごったスサノオは、高天原で勝手気ままな振る舞いを始める。
姉の大事な食料の糧である田の畔を壊したり、水を引く溝を埋めたり、神聖な御殿に糞尿を撒き散らしたりと、これみよがしに乱暴を働いた。
だが、アマテラスは先にスサノオを疑った負い目があって、他の神々の困惑と憎悪の視線から弟をかばい続けた。
「糞尿を撒き散らしたのは、酔っていたのでしょう。田の畔を壊し溝を埋めたのは、土地がもったいないと思ったのです」
そのことに気をよくしたスサノオの乱暴な振る舞いは、一段とエスカレートする。
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