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平家物語の群像 六代と文覚⑧母の涙

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$吉備路残照△古代ロマン-神護寺 神護寺 京都市右京区高雄

翌年の1月5日夜、帰京した。

大覚寺の門を叩いたが、誰もいないのか物音がしない。

六代が飼っていた白い子犬が、築地の崩れから走り出てきて、尾を振った。

「母上は、どこにおられるのだ」

子犬にたずねる様子が、いじらしい。

大覚寺の境内をよく知っている斎藤五宗貞斎藤六宗光は、築地を乗り越え内側から門を開けた。

宿坊はもぬけの殻で、人が住んでいる様子ではない。

「母上たちに、何かあったに違いない」

母恋しさに、六代は夜通し嘆き悲しんだ。

翌朝、里人に尋ねると教えてくれた。

「昨年の暮れに東大寺へ参って、正月からは長谷寺に籠っておられると聞いております」

斎藤五宗貞が長谷寺へ馬を飛ばして、新大納言六代が帰ってきたことを知らせた。

わが子の命を諦めかけていた母は、急いで戻ると、六代をひしと抱きしめた。

尽きせぬものはただ涙、涙……。

「六代、これは夢かうつつか。すぐに出家なさい」

しかし、文覚は六代を出家させることを惜しんで神護寺に入れる。

そして時折、ひっそりと暮らしている新大納言のもとを訪れて何かと便宜を図った。


六代は14、15歳になると容姿にますます磨きがかかって眉目秀麗、照り輝くばかりになった。

さすがに「光源氏の再来」の名をほしいままにした父・維盛(これもり)の血を引いているだけのことはある。

母の新大納言はしきりに嘆いた。

「世が世なら、今頃は近衛司くらいにはなっていたでしょうに」


一方、鎌倉の権力者は、六代を文覚に預けながらも、気を許しているわけではなかった。

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 第2回瀬戸内国際芸術祭、開幕 海の復権と島の四季

会期は、春は3月20日~4月21日の33日間。夏は7月20日~9月1日の44日間。秋は10月5日~11月4日の31日間。

会場は、直島、豊島、女木島、男木島、小豆島、大島、犬島(岡山市)の前回会場に、沙弥島、本島(丸亀市)、粟島(三豊市)、伊吹島(観音寺市)を加えた11島。

新たに参加する島の開催期間や方法については今後、島の文化や地域資源、既存イベントの特徴を生かす方向で、住民や関係自治体と協議する。

■問い合わせ 芸術祭総合インフォメーション

      電話087(813)2244


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