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Channel: 吉備路残照△古代ロマン
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平家物語の群像 六代と文覚②文覚、六波羅へ

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$吉備路残照△古代ロマン-六波羅  六波羅
 (平家一門の邸宅が並んでいた)


時政殿か。よし、六波羅へ行ってくる」

文覚は高僧にしては身軽らしく、すぐに六波羅へ向かった。

乳母は少し気持ちが軽くなって、急いで宿坊へ戻った。

「あなたは身を投げに出て行ったのではないのですか。私も、どこかの川か淵へ身を投げようと思っていたところです」

新大納言が語りかけると、乳母は文覚
のことを話した。

「その聖が、もし六代をもらい受けたら、是非もう一度あの子に会いたい」

まだどうなるか分からないとは思いながらも、うれし涙が止めどなく流れる。


文覚は六波羅につくと、さっそく北条時政に事情をたずねた。

「『平家の男子を根こそぎ捜し出して、亡き者にせよ』と頼朝殿に命じられております。傍流の方々を、何人か捕らえました。

直系の維盛殿の若君・六代御前は、故・藤原成親殿の娘御の御子であるとも聞いております。だが、平家一門の嫡子。

藤原成親……鹿ケ谷の陰謀で平清盛を滅ぼそうとした、源氏の敵の敵

何としても捜し出そうと努めましたが見つからず、諦めて鎌倉に帰ろうとしていた矢先、ある女房の密告がありました。

そして昨日、六代殿をこちらへお連れしたのですが、あまりにも美しい方なので、そのままにしております」

「ならば、お会いしたい」

六代は、母から渡された黒檀の数珠を手に掛けていた。

容姿や人柄など気品にあふれて美しく、この世の人とも思われないほどだが、表情が少しやつれている。

「いつ殺されるか不安で、眠れなかったのだろう」

文覚は、六代がいじらしかった。

六代は、文覚を見上げると何を思ったか涙ぐんだ。

文覚も、思わず墨染の袖を濡らす。

「後々、源氏の敵になろうとも、この人を亡き者にさせるわけにはいかない」

だからといって、頼朝に無断で引き取るわけにもいかない。

時政に、思うところを述べた。

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本日(3/5)は啓蟄、ずいぶん春めいてきました。


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