菅原孝標女の銅像 JR五井駅前
平安時代にも、平成の今と同じように物語にあこがれ、虚構の世界を現実のものと思い込んでしまう夢見がちな少女がいた。
物語の中の美しいお姫様は、そのまま少女自身の将来の姿。
いつしか、理想的な男性と恋におち、そして結婚する。
そんな幸せな日々が、いつまでも続けばいいのだが‥‥。
1017年、『更級(さらしな)日記』を書いた菅原孝標の女(すがわらたかすえのむすめ)は10歳のとき、上総国(千葉県)に受領として赴任する父と、草深い房総半島に下った。
だが、京そだちで文学好きの少女には、本のない土地がつまらない。
当時、本は書き写すしかなく、都から遙かに遠い田舎では、満足に本を読めなかったのだ。
少女は物語の中でも特に『源氏物語』に魅かれ、だれ彼となく話をせがんだ。
そして、話をうっとり聴いているかと思うと、矢継ぎ早に質問を浴びせる。
「それからどうなるの?」、「源氏の君は?」、「紫の上は?」
華麗な物語絵巻に、少女の興味はとどまるところを知らない。
断片的に聞きかじると、ますます源氏物語全巻を読みたくなった。
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▲更級日記 少女の夢
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