義経千本桜 静(坂東玉三郎) 佐藤忠信実は狐(市川海老蔵)
その夜、外の騒ぎを聞きつけた静が、義経に告げる。
「大路に武者が満ちています。義経様の命令がないのに、これほど多くの大番衆が騒ぐのは変です。きっと、昼間、起請文を書いた法師の仕業に違いありません。誰かを見に行かせましょう」
静は、故・平清盛に仕えていた童子をふたり、物見に出した。
しかし、なかなか戻って来ない。
女なら怪しまれないだろうと、今度は、召使の女に様子を探りに行かせた。
すると、すぐに走って戻り、報告した。
「童子の死体がふたつ、土佐房の宿所の門前に斬り捨てられています。門前には鞍を置いた馬がたくさんつながれ、中庭には鎧を着た武者たちが今にもこちらへ攻め寄せようとする様子。熊野権現詣でなど真っ赤なうそです」
「やはり、そうか」
太刀をつかんで出ようとする義経に、静は鎧(よろい)を着せた。
義経は馬にまたがって門を開けさせ、土佐房一味の夜襲を待ち構える。
夜半頃に土佐房率いる4、50騎が押し寄せて、鬨の声をどっと上げた。
義経は鐙(あぶみ)を踏ん張って立ち上がり、大音声を張り上げた。
「夜討だろうと昼間の戦いだろうと、この義経を討てるほどの者はこの国にはいない」
義経が馬に鞭打って駆け回ると、馬に当てられることを恐れてか50騎ほどの武者たちは中を開けて通した。
そのうち、伊勢義盛や佐藤忠信、武蔵坊弁慶といった一人当千の者たちが次々に名乗りをあげて駆けつけた。
ほかにも義経直属の家人たちが、「殿のお館に夜討が入った」と、あちらの屋敷こちらの館から駆けつける。
義経勢はすぐに6、70騎になった。
土佐房勢は勇猛に攻め込んだが多くが討たれ、鞍馬の奥へ逃げ延びた。
鞍馬は義経と縁が深いということを、土佐房は知らなかったのか。
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昨日、たまたま地歌舞伎の『義経千本桜』を観ました。
上方歌舞伎と江戸歌舞伎に対して、各地方に江戸時代からの形で残っている歌舞伎を地歌舞伎というそうです。
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コンサートが終わって前田敦子が客席に向かってお辞儀をしている横顔をご覧ください。
国民的アイドルグループのトップとしての晴れがましい表情は微塵もなく、慟哭しているのかとさえ思えるほどの苦渋に満ちています。
直前までにこやかに歌い踊っていただろうし、顔をあげた時には間違いなく満面に微笑をたたえていることでしょう。
具体的に書くと膨大な文字数になるから略しますが、こうした体験を14歳の時から20歳まで積み重ねてきたからこそ、一部の識者には、「前田敦子はキリストを超えた」と思えるようです。
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平家物語の群像 頼朝の布石⑥土佐房、鞍馬に逃走
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