……鴨長明の『方丈記』にも記述
平家が滅んで源氏の世になると、国々は国司の命令を聞き、荘園は領主に従うようになった。
だが、長かった源平の戦乱が収まって身分の上下なく安堵していた矢先の元暦2年(1185)7月9日の正午頃、大地が激しく揺れ動いた。
白河周辺では、六カ寺からなる六勝寺はことごとく崩壊する。
六勝寺の一つである法勝寺の九重の塔は、上の六層が崩れ落ちた。
得長寿院(とくちょうじゅいん) の三十三間の御堂は、十七間まで倒れた。
御所や神社仏閣の大建築から、粗末な民家に至るまで軒並み崩壊した。
大きな建物が崩れ落ちる音はさながら雷のように遠くまで轟き、天に舞い上がる塵はまるで煙のようである。
上空は塵に覆われて暗くなり、日の光も見えない。
老若男女、みなが肝をつぶした。
朝廷に仕える者も民衆も、生れて初めて経験する天変地異に気も失わんばかりであった。
山肌が崩れ落ちて川を土砂で埋め、海では津波が押し寄せて浜辺を侵し人家をつぶした。
沖合を漕ぐ舟は大波に前後左右に大きく揺さぶられ、陸路を行く馬は脚をとられて前に進めない。
地面が裂けて至る所から水が噴き出し、岩肌は崩れて大小の岩が谷底へ転げ落ちた。
土手が決壊して川の水が一気にあふれたら、高台にあわてて逃れても助からないだろう。
猛火が迫ったら、もはや逃げようがない。
鳥ではないので空を飛ぶこともできず、龍ではないので雲にも上れない。
ただただ怖くて悲惨なのは、大地震である。
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