平宗盛
時機を見計らって、蕨姫が手紙の件を切り出すと、義経は封さえ開かず時忠に送り届けた。
時忠は受け取るとすぐに焼き捨てた。
だれ宛の、どんな内容の手紙だったのだろう。
すでに平家は滅び、長かった戦乱も鎮まっている。
人々は安心して諸国を往来でき、都も静かになった。
人々が噂しあっている。
「義経殿ほどの人物はいない。鎌倉の頼朝は、何をしたというのだ。このまま義経殿の世が続けばよいものを」
そうした評判が耳に入って、頼朝は不快感をあらわにする。
「都の連中は何も分かっていない。この頼朝が首尾よく取り計って、軍勢を差し向けたからこそ平家は滅んだのだ。義経ひとりに何ができよう」
「そんな噂があるから、義経はいい気になっている。他にいくらでも若い女はいるのに、よりによって時忠の娘をめとるとは。時忠を手厚くもてなしているというではないか」
「ちやほやされるから調子に乗って、義経はいつか世の中を思うままにしようと思っているかも知れん。鎌倉へ来ても、おそらく身分不相応の振る舞いをするだろう」
元暦2(1185)年5月7日、義経が宗盛・清宗父子を連れて関東へ下ることになる。
宗盛は、義経のもとへ使者を立てた。
「明日、関東へ下ると伺いました。ついては、捕虜の中にいる8歳の童子はまだこの世におりますか。私の子です。生きていたら、会いたいのですが……」
「だれしも恩愛の道というのは断ちがたいものだろう。河越重房のところに預けている若君を、急いで大臣殿のもとへお連れするよう」
部下に命じた。
ふたりの女房が同乗した。
若君は父親の姿を見つけて、嬉しそうにしている。
「さあ副将軍、こちらへ」
宗盛が、手招きすると走って父の膝の上に乗った。
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極論すれば、長らく刑務所の塀の上を歩いてきていつあちら側へ落ちるかも知れないダーティ-な妖怪が、嘉田由紀子滋賀県知事という清純な乙女のイメージを利用して生き残りを図ろうとしているとしか思えない。
なぜ、国政経験のない嘉田知事の旗の下に「反原発」の1点で、小沢一郎や亀井静香氏など海千山千の連中が馳せ参じるのか。
彼らにとっては、嘉田知事は失礼ながら赤子のようなものだろう。
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平家物語の群像 対立①義経、頼朝と対立の兆し
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